2024-06-26

ある日ニーチャンがネーチャンになっていた

2つ上のお兄ちゃん。すごい変わっててでもすごい賢くて、小学校中学校では誰もが知っている、「何とかと天才紙一重」を地で行く変わり者だった。実際に国内最高学府に行って、よくわかんないけど私たちみたいな次元では生きてないんだなぁと思ってた。アカデミック世界にずっと生きていくんだろうなぁと思っていた。

結局大手企業就職したけど、それでも趣味勉強、みたいな人だったのでキッタナくてろくに足の踏み場のないようなお兄ちゃんの部屋には小難しいメモくずや論文参考書漫画趣味のものに紛れて落ちていた。そんな汚部屋をつま先歩きで入って、ごみに紛れる猫を引っ張ってくるのが日課だった。

そんなお兄ちゃんがいつのまにか女の子になっていた。

え?

まぁ、でもいいと思う、お兄ちゃんが生きてさえいれば。

悩むこともあったと思う。私は家を出たからあまり詳しく触れていないけど、お兄ちゃんのおんなのこ黎明期にはうちの両親もそれなりに悩んで衝突したようだ。今でも悩んでいる節はある。兄も両親も。

それでも今は吹っ切れたかのようにオシャレを楽しんでいるみたいだ。今のお兄ちゃんの部屋は、いつの間にか化粧品スカートブラジャーなどの服が論文メモくずに紛れて散乱する部屋になっていた。猫は変わらずそこで寝ている。かわいいピンクふわふわの手触りのパジャマを枕にしている。

私よりもいい化粧品使ってるし、小物もフランフランでそろえたのかかわいい。散らかってさえなければ年頃の女の子みたい。

お兄ちゃん、手術はしないみたいだ。親がそこまでの決断をまだしないでくれ、と懇願したらしい。

そんなお兄ちゃんは、服装も化粧もあまりに若々しく、そして少しメイクが下手だ。ナチュラルメイクの対極をいっている。

ぶっちゃけすごく変だ。なんでそこに?というところにいれたシェーディングは、色味も位置おかしくて、山姥メイクみたいになっている。でも突っ込めない。服も年齢不相応に若々しく、へそ出し肩出し超ミニスカートだ。

でも、私も母親も、否定したら今すぐ家を出て行ってしまうのでは?と感じるほどギリギリ人の世界に紛れている兄をなんとかつなぎ留めたくて、少しの否定言葉でさえ言えない。否定したらその時点で心のシャッターを下ろされるからだ。

本当はトー横の地雷女子みたいなファッションじゃなくて、年相応の格好をしてほしい。だって35歳だ。オフィスカジュアルとかでいいんじゃないかと思う。でも誰に迷惑をかけているわけでもないと言われればまぁそうだ。お兄ちゃんは女湯にも女子トイレにも入らない。多目的トイレに入り、好きだった温泉銭湯はいかなくなった。でも化粧や身なりが明らかにおかしいので道行く多くの人が振り返ってまでジーっと見てはうわー…という顔をしてくる。一緒に歩いているとよく感じる。気分は確かに悪い。どういう感情かわかりかねているけれど。

メイクも、地雷メイクじゃなくて、もう少し抑えたらかわいいのにと思う。でも言えない。

もしかしてお兄ちゃん女性になりたいのではなくて、自分のあこがれる若くてかわいい女の子になりたいだけなのかもしれない。

応援したいのかしてないのかわからない。心の奥底では整理がついていなくて嫌なのかもしれない、まだ。

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  • バ美肉(3次元)

  • kosodatech?🤔

  • いるよね〜こういう人って思いながら読んだ。 増田のお兄さんは違うかもしれないけど、自分の周りで青年期になってから女性装を始めた人で女の子っぽい格好をする人は女性になりた...

  • 「お兄ちゃん最近すごいかわいいからメイクも含めて全身コーディネートさせてほしい!」って誘ったらどうだろうか

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    • でもクリィミーマミは

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    • 増田のオネニーチャンは明治時代にトー横の地雷系ファッションをしていたのか それは今以上に世間からの風当たりが強かっただろうなあ

  • なんか文才あるなーと思った。 こういうタイプの文章の小説好き。 ふわふわしてて現実と夢の狭間みたいな文章。

  • いるよねこういう人。 こういう人ってそもそも心が女な訳ではないよね。 そもそも心が女なら普通に30代女性の格好すればいいだけなのにそうではない。 こういう人がいてはいけないと...

  • anond:20240626094624

  • 元東大教授の安富先生か

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