2023-01-26

今日ブコメ裁判官を見下すが

https://www.asahi.com/articles/ASR1T63TLR1TPTIL011.html

https://b.hatena.ne.jp/entry/s/www.asahi.com/articles/ASR1T63TLR1TPTIL011.html


本件では、特定個人原告)が行った投票行為が正確に扱われなかったことによる選挙権侵害理由にした損害賠償が求められている。

しかしながら、記事にも記載れいているとおり、公職選挙法では秘密選挙制度採用されていて、誰が誰に投票したのかはわからないし、わかるべきでないと考えられている。有権者は、候補者を通じて国政に参加するべく投票を行うが、当選した議員は数としての民意に従う形になっていて、自分投票したある有権者個人的な「代理人」ではない。

そうである以上、集計のミス(あるいは意図的不正)により自身投票がある候補者の得票になっていないとしても、個人権利として当該候補者への得票として数えられる権利観念することは難しい。無論、一票を投じるということの意義を考えれば、投票が正確に扱われることも選挙権範囲ではあるだろうが、それは、「数」としての意義=これによって候補者当選たかどうか、に比べると中核的な保護は受けられないだろう。なお、当該ミスが重大なもので、これによって選挙結果が変わる場合には、選挙権の中核的な部分にかかわってくるものであるから、その選挙結果を争うということは可能であるべきだが、今回はそのような訴訟形態はとられていない(該当の候補者はむしろ当選している)。

今回は0票という、1人でも投票者がいれば矛盾する結果であったことがわかりづらくしているため耳目を引いているが、これが10票と記録されていたとして、10人の原告訴訟が提起できるか、原告が15人ならどうか、逆に1人ならどうか…と考えたときに、統一的なルールを作れるだろうか。集計時の数え間違いや、文字の読み間違いなど、人がかかわる以上必ずミスは出るし、大量の票を迅速に処理する選挙制度を考えればなおさらだが、選挙のたびに損害賠償請求訴訟を通じて再確認を行い、間違いが発見されれば賠償するのかと考えれば、現実的ではないことは明らかだろう。それとも、0票の候補者投票したと主張する人がいる場合のみ損害賠償を認めるのだろうか。

もちろん、原告立場から選挙権重要性を理由損害賠償を認めるべきという立場はあるだろうが、パッと見た時の直感裁判所判断馬鹿にできるほどおかし判決であるとは思われないし、少なくとも専門的に学んだ経験等があるわけでもない中で簡単に飛びついて専門家馬鹿にする態度は改めた方がいいのではないかと毎度のことながら感じる次第である

なお、対象となった選挙結果は公開されているので、誰でも簡単ネットから見ることができる。

https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/36046/00329171/kaihirei201907220508.pdf

これを見る限り、堺市全体の投票傾向から共産党山下よしき候補10票~多くて30票程度の得票であったのではないかと推測される。これに対し、国民民主党山下ようこ候補は一桁でもおかしくなさそうなところ、49票とやや不自然に多く、取り違えではないかという推測は説得力があるように感じる。

不正を疑うコメント選挙制度の根幹の信頼性が揺らぐとしているコメントがあるが、この結果を見たうえで、少なくとも過剰な表現ではないかということはもう一度考えた方がいいのではないか

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