リビングのドアを開けた途端、子供が「お腹すいた。今晩(夕ごはん)何?」と聞いてくる。
仕事の帰り道にお好み焼き粉の買い置きがあったことを覚えていて、キャベツがあるかなとチルド庫をのぞく。
残念。キャベツはない。2束もある太く長ネギが、存在感を出している。
意思の疎通が悪い夫婦が別々に買い物をすると長ネギの束2つも冷蔵庫に入ることになる。実に家計に無駄が多い。
炊飯器にはずっと保温のままで、茶碗1杯に満たない水気のないご飯が釜の底にある。
シンクには子供に昼食を作りに来たときに片付けていない汚れたお皿がそのまま残っていた。
いちごのヘタとオレンジの皮が流し口にこれみよがしに捨ててある。
そっとひろってゴミ箱へ。
妻が2パックを買ってきたが僕の分はないようだ。いちごがたべたかったわけではないが、思わずためいきがでる。
キャベツないけど、どうしようかな。他の野菜で・・お好み焼き粉に触っているとテレビにむかったまま振り向きもせず、お好み焼き粉は使わないで。と妻が冷淡に言った。
甘口タイプ1箱で6人前(3人前x2)が作れる。
5人家族なので1箱つかうことにした。娘がお腹が空いたといったため、たりないかなと思い、パックのひき肉を足した。小さめの豆腐を3丁入れた。。
ようやくできあがったご飯とおかずを食卓に全部運んで並べたが、誰も食卓に座らない。
お腹がすいたと訴えた末娘は食い入るようにTVを見つめている。
次女はソファーに寝転んで、ニンテンドースイッチのマインクラフトに夢中だ。
ボクは、こういう瞬間が一番イヤだ。それを妻はよくわかっている。だから無視しているのだ。
ご飯ですが。と小さく言ってみる。
やはり食卓にはだれも来なかった。
仕方がないので、お箸を取り上げ自分のご飯に麻婆豆腐をよそる。
食べ終わり、片付け始めても無視は続く。
なぜか僕の席に麻婆豆腐が入っているフライパンが押し寄せられている。
子どもたちはテレビを見ながらダラダラと食べていたが、妻は不機嫌そうにしていた。
妻「いったい何人分をまとめて作ったの!しょっぱすぎて腎臓がだめになっちゃう。」
ボク「1箱をつかったけど。」
妻「水の量を間違えている。6人前を3人前の量で使ったのよ!それと塩を足したでしょ!」
ボク「いいや。水や分量はきちんと(6人分で)量ってつくった。塩も足していない。」
妻「ひき肉を足したでしょ。ひき肉ははいっているから必要ないの。それといったい豆腐はいくつ使ったの?」
ボク「おかずがこれだけしかないから、ひき肉は足らないかと思って足した。豆腐は3丁入れたけど。」
妻「この豆腐の大きさで3丁じゃたらないでしょ!」(パッケージをゴミ箱から持ってきて)「見なさいよ。ここに3人前が450gって書いてある!この麻婆豆腐には半分しか入ってないの!
こんなのしょっぱくて死んじゃう。こんなの残さずに食べろっていうほうが無理に決まってる!(子供に向かって)これ以上食べないほうが良いよ。いくら買い物してきても全部無駄にして!」
買い物なんかしてくれと頼んだこともないが、ボクはずっと言い返さずに黙って不満をぶつける妻の顔を見ていた。それを昨日決めたのだ。感情的な相手に引きずられまいと。
妻に聞かれないよう、子供に小声で聞いた。しょっぱかった?ごめんね。といったら、
妻の顔色をうかがいながら子供は小声で「少ししょっぱいかもしれない。」
子供はためらう。どっちの顔をたてようかとそんな顔つき。
そうですか。それは申し訳ないといった。おいしいと思ったボクの味覚がおかしいのかもね。
フライパンにのこった麻婆豆腐は皿に移し替えラップをして冷蔵庫へ。
さてとそろそろ食器を洗わなければ。
子供と風呂から上がった妻が昨日のボクの風呂マットの干し方が悪いと嫌味を聞こえるように言っている。
逆のパターンもあるんだけどね。 法律相談受けたら?
実話なのかなこれ?
こどもがかわいそう