母親は妹が自分の知らない洗剤や掃除用具をたくさん持っていたことに驚いていた。
母は私と妹が母よりも家事の知識があることにびっくりしていた。母親はスマホを持っていて、すぐに情報のカタマリにアクセスする術を持っているのにあまり生活に活用していない。知らないことはすぐ娘たちに教えて教えてといい、ググレカスという言葉がお似合いの人間である。
親から生活に必要なことはあまり教えてもらっていない。でも、情報が溢れに溢れた社会に住んでいる私と妹はそれぞれがそれぞれの方法で家事の情報を集めて主婦業をやっている。
私はクックパッドを活用しているときに、色んな他人の家庭のおふくろの味のレシピを教えてもらえることにすごく感動した。母親からは玉子焼きの作り方すら教えてもらっていない。誰にも料理を教わっていなくても、本人が学ぶ意思さえ持っていればネットやテレビや本で料理を学ぶことができる。
栗原はるみの本を読んでいたら、母に料理を教わった思い出が微笑ましい文章で綴られていて、いいなあと思った。
私は両親からは人生訓のようなものは教わっていない。強いて言えば、両親のような夫婦には絶対になっちゃ駄目だということを学んだ。反面教師のような存在ではある。そういう意味で「こうなったらおしまいだ。両親とは真逆の人間にならなければ」ということは教えてもらったのか。
育ちの良い私の友達は、良い親と良いコミュニケーションをとっており、親から色々と賢い生き方を学んだんだなぁと思わされる。うらやましい。
私は親からトイレトレーニングとか、日本語とかそういう二足歩行の人として生きていくための必要最低限のことは教えてもらったが、人生の土台となるような大切なことは学んでいないと思う。
他の皆は親から何を教えてもらったんだろうか。気になる。
さくらももこのエッセイを何冊か読んで、さくらももこの子どものときのエピソードを調べてみた。彼女は親から何か学んだと言うよりは親の言うことをあまり聞かず、彼女の感性のままに生きてきたという感じがする。さくらももこは母親からたくさん叱られてもぐうたらしていたし、自宅で自営業でやっている八百屋のレジからお金を盗んだりしていて、親からしてみれば育てにくい娘だったのではないか?と思う。それでも、国民的人気漫画家になり大金を稼ぎ、しかも面白いエッセイを書ける文才まであり、さくらももこはギフテッド。親からすれば自慢の娘である。離婚して出戻ったりはしているけど。それでもさくらももこは親から見て自慢の娘だろう。
もう何が言いたいのかわからなくなってきたが、自分以外の他の皆は親から何を学んできたんだろうかととにかく気になっている。
私は両親から自転車の乗り方とかそういう人として必要最低限のことしか学んできていないので、Twitter等でときどき「親から○○ということを教えてもらった」というツイートがたくさんRTされていたりして、他の家庭の親はすごいんだなあと感動している。
教養とか礼儀とか常識とかをあんまり親から教えてもらわずに大人になると、いざ社会に出たときに周りのレベルの高い人間と自分の格差を感じてめちゃくちゃ苦労するが、いちおう健康で丈夫な体はもらったし、発達障害もない健常者だし、強く生きたい。
田舎の思い出の料理とか作ってもらったことない?そのレシピを教わったことない?自分から教えて?って聞いたことない? どんなことでも聞かなければ教えてもらえないと思うよ