新卒で大手と言われる企業に就職し、営業に配属された。しかし、私は2年で退職することになる。
人と話すのは大好きだ。話を聞くのも勿論。年の差がある人とも近い人とも知り合えるのは刺激的だった。もっと言えば、性別も国籍も問わず色んな人と会える仕事であったから、自分の世界が広がるのが面白かった。
どこかに行くのも好きだった。地方で営業をしていたが、今日は東京、明日は名古屋、明後日は地元、というスケジュールも全く苦ではなかった。
お客様の要望を先読みして提案するのも好きだった。こういうことを聞かれるだろうから、この情報も準備しようとか、お客様の立場に立って想像を巡らせるのはワクワクしていた。
あまり親しく無い人には、「増田さんって営業って感じですよね!」とよく言われる。
お世辞だとは重々承知しているが、昔から明るくて、しっかりしてる女性だとよく言われてきた。確かに、営業として働いていた私はいかにも営業畑の人間らしかっただろう。
でも、私は営業に向いてなかった。
例えば工場になにかしらのトラブルがあって、お客様への納品スケジュールが遅れたとしよう。
工場側に詳しい事情や先のスケジュールを聞いても、忙しくてそれどころじゃないと一蹴される。お客様もそこまで拘らないはずだから適当に言っておけとまで言われる。
お客様には当然そんなことは言えない。出来るだけ誠実に対応しようとすればするほど、私は自分の首をしめてしまった。
罵倒されたり、がっかりされたり、説明出来なかったりするのがもどかしかった。
工場に早くしてと言っても勿論工場には工場の都合がある。意図的に遅らせてるわけではないのだ。
そんなトラブルが立て続いたとき、糸がぷっつり切れてしまった。
自分がなんのために働いているのか、分からなくなってしまった。
営業に向いてる、と今も言われる。転職のエージェント、ハローワークの職員、たまたま仲良くなった飲み屋の人、友達の友達、病院の看護師さん。
営業に向いてる、という言葉がどういう意味合いを持っているのか、それはその発言をした人にしかわからない。
当たり障りのない社交辞令のようにも思えるし、間に受けなくてもいいのだろう。
で、辞めてどうすんの?
なにしよっかなー
まあとりあえずのんびりしようぜ 女なら家事手伝いで世間体はなんとかなるんだから
ありがとう!
嘘松
嘘だったらいいよなあ〜〜