2018-10-10

anond:20181010083204

なんか新人は大変そうだなって。

年いったら年功序列が良くて若い頃は成果主義がいい、でも自分業界では年功序列会社ばっかり、みたいに思わないのかな。

私がその増田で話していたのは「著書」の話です。ふつう論文ではない。著書を出してる時点で既に何本か業績があるのは前提。

そんなん常識だろって思って文系キャリアパス説明しなかった私も悪かったと思うので詳しく説明します。分野によって違うけど、私の分野では、

院生時代査読つきも含めて論文を何本か出す→博士号取得→前後して博論を元にした著書を書く

というのが「最初単著」に至る流れです。

さて、学術書というのは分厚いですね? 基本的文系学術書というのは論文を何本も積み重ねてようやく書けるサイズのものです。というか博士論文の時点で学術書として出版できるくらいのボリューム要求されたりします(まあここは院によりますが、しかし薄い博論学位を取れたとしてもそんな論文は本として出版できないかマイナー出版から出版するほかないので、評価されるちゃんとした書籍を書こうと思ったらめっちゃ書き足す必要があったりして、要するに「書籍出版」を業績とみなすのも故なきことではないのです)。なので、実質的論文を何本も書いたことがないと単著なんて出せません(私の院では、博士論文の提出に際して既発表の論文数などは問われません。なので発表した論文ゼロ状態博士論文を提出することも理論的には可能なのですが、実質的にそんなの無理です。私の周囲の博士号取得者は何本も論文書いた上で博士号獲ってます)。

まり単著出してる時点で論文デビュー済みのことが多いわけです。

(ちなみにこの辺は国によって違ってて、日本だと博論は既発表論文を寄せ集めて書いても問題ないけど、たとえばドイツだと博論に既発表の論文を組み込まずに書き下ろす必要があり、なおかつ博士論文には出版必須なので、ドイツ最初単著を出した人のその時点での業績は日本基準では少なかったりします。そのへんの話はこちらのまとめを参照→https://togetter.com/li/9904

もちろん、最初の著書が新書です、みたいな人もいます院生時代研究成果をもとにした新書書いて、そのあと博士号取って分厚い単著しましたみたいな(『パンダ外交』)。むっちゃ分厚い修論書いてそれを単著にしちゃう猛者もいます小熊英二)。ただそういうのはレアケース。また、博士号取得→別のテーマ単著出版→その後に博論に基づいた単著出版という流れもありえます。こっちは割とよく見るかな。講談社選書メチエの『湾岸産油国』とかそうじゃなかったっけ。

んで、良い論文を何本も書いたり、単著出したりしてると、インテリ向け商業誌とか権威のある学術誌とかからお呼びがかかります。「お前、うちの出版社が出してる商業誌に書いてくんね?」とか「お前、うちの学会で今度組む特集号に書いてくんね?」って感じです。これが例のセンセが言ってた「招待論文」。「依頼論文」と呼ぶ業界もありますね。当たり前ですが、程度の低い研究ばっかりしてると呼ばれません。

査読がなくても良い論文が有り得るってのはそういう意味です。最近だと院生向けの紀要にも査読つきが増えてるけど、そういうマイナー誌の査読論文よりも商業誌に載った論文の方がよく読まれていたりする。当たり前だけど紀要の無査読論文とかよほど内容が良くない限りめったに読まれませんし参照もされません)

要するに、昔はどうだったかは知りませんが、最近では査読誌の論文新人登竜門として使われ、ある程度実績が増えると査読なしの論文を書く機会が増える、というのが私の周囲での割とよくあるキャリアパスです。それまでの実績がない若い人にも当然チャンスはあります

記事への反応 -
  • anond:20181009025322

    しがない人文系研究者だが、被引用数ってどうやって数えりゃいいの? 以前、英語論文をネットの片隅に載せたんだよね。査読つきのやつ。そうしたら外国の人から引用された。1回は...

    • anond:20181009040817

      残念ながら出版することは誰でもできるんだ、金さえあれば。 論文の内容の正しさはどうやって保証されてるの? 出版すること自体が業績になるなら、金持ちが妄言を論文だって言って...

      • anond:20181009051334

        残念ながら出版することは誰でもできるんだ、金さえあれば。 論文の内容の正しさはどうやって保証されてるの? 出版すること自体が業績になるなら、金持ちが妄言を論文だって...

        • anond:20181009070341

          文字数足りないからこっちに。 自分で読んで判断しましょうよ……理系だって、査読を通ったんだから正しいに違いない! なんて思わず、批判的検討するっしょ? それともそうい...

          • anond:20181010083204

            なんか新人は大変そうだなって。 年いったら年功序列が良くて若い頃は成果主義がいい、でも自分の業界では年功序列の会社ばっかり、みたいに思わないのかな。 私がその増田で話...

            • anond:20181010090540

              院生時代に査読つきも含めて論文を何本か出す→博士号取得→前後して博論を元にした著書を書く あ、そうなんですね。 それなら大きな疑問はないです。 著者名でバイアスかかるの...

            • anond:20181010090540

              紀要の無審査論文って、Ciniiで適当に検索するとよく出てきて、 しかもだいたいオープンアクセスだから、 学部学生がレポートの参考文献に適当に持ってくるためによく使われてるって...

        • anond:20181009070341

          社会学者バッシングされてイライラしてるんだろうけど 匿名じゃ説得力ないな

        • anond:20181009070341

          気持ち的にはよくわかるものの、社会学は土足で踏み込むことを続けてきた学問というのがねぇ。

        • anond:20181009070341

          読みにくい文だなあ 結局結論としては質は出版社、編集者頼みであとは顔馴染みが書いたかそうでないかで判断ってこと? 追試とかはしないの? 出版イコール実績なら、何冊も出版し...

        • anond:20181009070341

          こういうときだけ出版社の編集者の質ガーとか言うバカ何なんだろ クソ取次・ゴミ小売書籍店は死ね!amazonマンセー!の結果がこれだろが

        • anond:20181009070341

          結局第三者機関が機能(あるいは存在)しているのか? と言う話から逃げてるとしか思えない。 身内で注意しあったり褒めあっても意味無いんだよ。

        • anond:20181009070341

          俺たちキモオタにとってはフランスアメリカイギリスあたりは自国語でやっていても世界水準なわけ。日本語でやっていても世界水準じゃない。これが俺たちキモオタのお気持ち。

        • anond:20181009070341

          追記でも肝心な事には答えずはぐらかすのはなんなの リケイガーしか書いてない

    • anond:20181009040817

      人文系にはcitation indexはないの? 一定の信頼性が担保されているcitation indexがないとすると、少なくとも業績を客観評価する取り組みは文化的に重視されてないんだろうね。

      • anond:20181009044911

        citation indexってなんや……ってググって初めて知ったレベルです。文系研究者そういうの知らんと思うがひょっとすると知らないのは俺だけで俺の周りの人は知ってるのかな。 ただこの...

        • anond:20181009052014

          人文系は研究対象として地理的にローカルかつ繰り返しはあるかもしれないけど一過性の現象を主に扱う以上、 研究内容自体がごくごく限られた人にしか興味を与えずほとんどは歴史的...

          • anond:20181009054725

            人文系は研究対象として地理的にローカルかつ繰り返しはあるかもしれないけど一過性の現象を主に扱う以上、 研究内容自体がごくごく限られた人にしか興味を与えずほとんどは歴...

            • anond:20181009070921

              増田が挙げてるのは応用性と資料的価値があるな。 ただそうでなくても、そもそもわたしは人文系は時間的・空間的にローカルな現象を扱うマイナーな学問だから無価値だと言ってるの...

            • anond:20181009070921

              生態学とか生物学のしきたりは知らんが、 超新星爆発とか一過性の極みだよな。個々の超新星は一度しか爆発しないもんな。天文学もいらねえな。 はいくらなんでも、個々の学問分野...

              • anond:20181009073756

                社会学って歴史学とかと比べて理論を志向する傾向の強い学問だと思うんだが、それを捕まえてローカル志向で一過性の出来事とか言っちゃったらニッポンバラタナゴも超新星爆発もロ...

      • anond:20181009044911

        学問は、ヒョウカガー、セイカガー、と言うところから発したわけではないし、学問というより政治として捉えられるべきだな。   端から見ると、理系研究者が、透明性のある評価シス...

        • anond:20181009052051

          学問に対する競争原理を強化したのは財務省と文科省だけど、 確かに客観的評価の重視というのはそれに対処する理系研究者の自衛のためのマインドセットかもしれない。 ただし、自然...

          • anond:20181009060116

            うん、研究者の競争が、政治によって煽られているのは間違いない。 あと、人文系へのその批判は、妥当な部分が多分にあると思う。上流階級のサロンかここは?みたいな。   大学で...

            • anond:20181009062234

              今のシンプルな対立は、文系が大学の中で力を失った後、理系研究者の間の競争を更に煽るのに使われると予想できるし 理系の中にも本当に何の役にも立たなくて同業者からも蔑まれ...

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