2017-10-30

[] #40-2「お菓子祭り作戦

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この街にようこそ」

歌:マスダと愉快な仲間たち 作詞作曲ポリティカルフィクション


覗いてみないか 不毛すぎる世界

案内するよ 僕らのダイアリー

これがダイアリー 楽しいダイアリー

弱者が悲嘆にくれてる

これがダイアリー オタクが騒ぐ

TRACK BACK STAR この世界死ぬ日まで

不毛の街に響く自分語り 索敵なダイアリー

トイレで管まく俺を見ろ 情緒に溢れた身の上話

お題を出してる俺を見ろ ほら何かを言いたくなったきた

これがダイアリー 楽しいダイアリー

ダイアリー ダイアリー ダイアリー ダイアリー

アノニマスダイアリー この街センセーショナル流星群

アノニマスダイアリー この街はみんなが栞を大歓迎





俺たちの町のハロウィン企画はこんな感じだ。

このイベントのために参加した“有志”の在宅に、仮装した未成年訪問すれば菓子が貰える。

まあ“有志”とは言っても時間を持て余した富裕層酔狂で名乗りをあげているくらいで、市民団体企業組合関係しているものほとんどだ。

「今回は俺が常に目を光らせているから、前回みたいなことはできるとは思うなよ?」

弟は前回のハロウィンでトリートばかりであることに不満を抱いて、仲間たちとイタズラ騒ぎを起こした。

今のところは大人しいが、念のために俺は釘を刺す。

「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ」

「見くびるなよ。俺がお前の話を鵜呑みにするとでも?」

別に信じたくないならそれでもいいけどさ。前回と同じことしたってツマらないし、今回はお菓子をどれだけ集められるかを目標にしているんだよ」

こいつの性格から考えて、実際そのつもりなんだろう。

弟が何かをしでかすとき一見すると大層な志があるように思えるが、その実は思いつきで行動していることが多い。

所詮教養を育んでいる最中の、未成熟なガキなのだ

自我確立できていないかコントロールすることもできず、社会に上手く順応できていないのである

弟のこういう気分屋なところは嫌いだが、まあ菓子代が浮くし、今回は『お菓子祭り作戦』に付き合ってやろう。

「よし分かった。だが目標と掲げるからには、それなりの結果を出すための態度を示すべきだぞ」

「分かってるって。効率の良いルートは事前に予習してきた。当分は菓子に小遣いを使わなくていい自分シミュレート済みだ」

皮算用にならなきゃいいがな。



そんな俺の不安をよそに、菓子集めは順調に進行していく。

トリオアトリ、はいこの袋に入れてね。ハリーハリー!」

流れるように菓子をせびり、迷うことなく次の在宅へと歩を進める。

予習しているとは言っていたが、まさかここまでとはな。

ちょっと、このお菓子消費期限が短いじゃんか。俺たちは別のところでもお菓子をたくさん貰っているんだ。こんなの貰っても処理しきれないよ」

俺が口出しするまでもなく、お菓子の選別もしっかりしている。

シミュレートもばっちりってわけか。

弟に言われて120リットルゴミ袋を持ってきたが、始めてから1時間でおよそ3分の1。

さすがに120リットルゴミ袋はやりすぎたと思ったが、このペースだと本当に満杯になりそうだな。

それを持って帰れるかどうかのほうが心配になってきた。

だがそんな俺の不安は、またも新たな不安によって塗りつぶされることになる。

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