今回はとなりのヤングジャンプで読めるシンマンGP2017エントリー作品No.2~No.4
うーん、作者の画風や物語作りから考えても、方向性は間違っていないとは思うんだけれども。
読み終わったときの第一印象としては、「弱い、薄い」って思った。
画風だとか静的プロットはまあ置いておくにしても、それでも演出だとか表現力が……。
コマ割りや構図がイマイチなのも、そう思う要因になっているかなあ。
食をテーマにしているのに食べ物やそれを食べるシーンがそそらないと感じたのも、個人的には特によろしくない点。
テーマがありふれてて、プロットもありふれているというかシンプルすぎる。
身長差というハンデ、嫌な性格をしていて不当な扱いをする敵役、それを主人公が情熱と努力で乗り越える。
テーマがありふれていること自体は必ずしもマイナスではないんだけれども、そのテーマをどんな構成で、どんな言葉で表現するかってのは大事。
画力は割とある方だとは思うけれども、テーマもプロットもセリフも凡庸では、票を得るのは厳しそうだなあ。
同じことはやればやるほどつまらなくなるし、比較対象が多ければなおさら。
もちろん細部を挙げていけば全く同じ作品というものはないけれども、同じ食材をメインに取り扱った料理を1週間出し続ければ、よほど工夫しない限りは途中で飽きると思う。
その点では、食漫画が跋扈している現代で食をテーマにした上述の『灰とリコピン』も厳しい目で評価されやすいと思う。
おー、気合入っている。
構成が纏まってて、コマ割りだとか絵で魅せようという意識も窺える。
ただ、屋敷で巻き起こる事件に加え、登場人物の設定やら人間ドラマと、読みきりにしては色々と詰め込み気味な印象。
それで尚、構成自体は纏っているのは評価したいけれども、それぞれの要素がやや希薄になって、クオリティの割には全体的にこじんまりとしている側面はあるかもしれない。
まあ、粗探しするならいくらでも言えるのは他のエントリー作品も同様なので、総合的には中々いいと思う。個人的には高く評価したい。
このシンマンGPという企画は優勝した人が連載権を得るわけで、その点では連載に適した能力があるかってことも考慮すべき点だと思うんだよね。
連載漫画は、作家の100%が常に発揮できるよう待ってくれる環境ではないので、仮に70%程度でも作家の実力を示せる漫画を描けるかってのは大事なんじゃないかなあ。
まあ、投票している大半の人は単純に面白い漫画に投票していると思うので、そこらへんを考えるべきなのは編集側の方なんだけれども。
ただ、まあ今回の『蒼の閃』や『蛉目奇譚』などを100%に近い状態とした場合に、70%だとどうなのかって視点で評価してみるのも一興かもしれない。