2016-09-08

PEFボトルの件

はじめに

http://www.asahi.com/articles/ASJ9645CSJ96PLFA00C.html

http://b.hatena.ne.jp/entry/www.asahi.com/articles/ASJ9645CSJ96PLFA00C.html

もう業界関係者じゃないので時効だと思っていろいろ書いておこう。

PEFが商業ベースに乗るのは初めてかもしれない。

物質自体は公知(だと思う、調べてない)で、ずいぶん前からCoca-colaがいろいろやろうとしていた。

原理

フランジカルボン酸というものテレフタル酸の代わりに用いることで、ガスバリア性が向上するという謳い文句

詳しい機構不明だが、イソフタル酸を共重合するとガスバリア性が上がったりするらしいので、直線構造を取らないほうが酸素などを通しにくくなるのかもしれない。

フランジカルボン酸の極性の効果の方が大きいはずだが。

PETのガスバリア性について

b:id:hmmm 実際には、他の材料比較しても、ガスバリア性はそんなに悪くない。

ただやはり長期保管すると、どうしても酸素を通しがちなので酸化を嫌う製品PETボトルにガスバリア層を挟んで成形する。

スバリア材としては、MXD6と呼ばれるナイロンやEVOHを挟むことが多い。

バリア材としてのEVOHは神のレベルで、汎用性の高い成形しやす材料としては、他に代替材はないといって過言ではない。

他の手法として、PETボトル内面炭素を蒸着するという手法もあり、これも市場流通している。

最近はやりのワインPETボトルなどはこれを採用しているものがあったと記憶している。

多層のPETボトルで有名なのはHOTのお茶で、ペコペコ押し続けると剥がれてくる。いちどお試しあれ。

うまく成形してあると剥がれないが、顕微鏡でみればすぐわかる。

PETボトルリサイクルについて

b:id:naga_sawa PETボトルリサイクルというのは、ボトルボトルになるだけではない。物性が求められにくい繊維へのリサイクルもある。

ボトルボトルキリンサントリーが一時期熱心に行っていたが、そんなに儲かるものではない。

今のPETリサイクルは圧倒的にメカニカルリサイクルが多い。

メカニカルリサイクルというのは、ボトルを洗浄したあと、フレークにして再度高温・高真空状態にし、その後再溶融してリサイクルするもの

対義語ケミカルリサイクル。低分子まで分解したあと、再度重合してリサイクルするものコスト高なのであまりこれは用いられない。

さっきからちょろちょろ出てきているように、PETはいものの、市中で回収するとEVOHやナイロン、あるいはシリカ炭素など、いろんなものが混ざっている。

なので、基本的には現行と変わらないリサイクルスキームになるのではないか

いろいろ

余談だが、Coca-colaはいろはすでペコペコの容器を作ったのは画期的だったと思う。

もちろん、途上国ではもっと薄いPETボトル散見されるが、日本というマーケットであの容器が当たったのはさすがという感じ。

大本目的は、使用する樹脂を減らせることによるコストダウンだと思うが…。

更に薄くなることによる剛性を懸念する声があるようだが、そこはしっかりやるだろう。あの界隈の品保をナメてはいけない。

彼らは性能を満たす一番安いPET(基本的に、純粋PETが使われることは少ない。ごく微量のイソフタル酸が共重合されている)を世界中から買い付けて回り、自分たちボトルを打って充填している。

日本企業応札できるような値段ではなかったはず。

今後の展開

ぶっちゃけた話、この業界はサチっているので、市販ボトルに使われることはよっぽど特殊用途でもない限りないのではないか

おそらくバッチプラントで作るため、価格も相当高くならざるを得ない。

今市場に流通しているボトル用のPET基本的連続重合プラントで合成されており、中国産品がかなりのシェアを占めている。

まーしかし、よくFDAとか食品衛生的な監督官庁の認可をとるまで東洋紡は頑張ったなという印象の方が強い。

化審法とかメじゃないくらいの費用時間がかかるため、なかなか突っ込めないのが現状ではないか

炭酸が抜けるのはフタからなので、諦めましょう。

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