だいぶ前に読んだ。読み返すほどの価値を感じないので、初読の印象のみで感想を書く。読み込んではいないので誤解や誤認もあると思う。
自分は理系ではないけど、物理や生物、化学の本が理路整然と書かれていれば、難しい定理や公式はともかく、内容はわかる。でも小保方さんがこの本の中で、自分の研究内容を度々紹介しているんだけど、なんと言えばいいのかな、「同じ分野を研究している人にはわかるけど部外者にはよくわからない」感じの説明になっていたように感じた。一般の人に向けて出版するつもりの本に書くような親切な説明ではなかった。彼女なりに平易な表現で書こうという努力をしていたのはわかった。でも「教科書通り」でもなく「彼女なりの理解」でもなく、どこかから借りてきた、上っ面だけの内容に見えた。それだと部外者にだって何が言いたいのかさっぱりわからないのだ。
さりとて専門書に書くとすると説明足らずで稚拙な書き方だった。まだあんまりちゃんと研究してない学部生が、同じゼミの子たちと「ねーねー今度のレポートの課題ってこんなんだよねー?」なんてランチタイムに喋っているような感じかな。あくまでも私個人が受けた印象ですが。
そして、小保方さんご自身の、研究に対する姿勢も、その印象のままなのではないかなと感じた。一般の人にはわかりにくいような高度な内容を研究している割に、専門家としての認識や自覚があまり足りていないような。
繰り返しになって申し訳ないけど私は理系ではない。でも自分の興味の範囲で学術論文を数十本読んだりしてきた。研究者の知人も数名いる。
彼らの仕事ぶりも知っているし、書いた論文を見せてもらったこともある。みんなすごく真剣にデータとってそれをまとめて精密な論文を仕上げていた。
翻って小保方さんはどうかというと、自分が書いた論文に瑕疵があったら後から言い訳をするだけで、書き直す機会を与えられてもそれを生かすでもない。
私のような素人でも、論文に使う図表や画像を他から持ってきてしれっと使うのはどうなの?と疑問に思う。
その程度の人が飲み会の席上で、酔った勢いで「ハーバードに留学したいですぅ〜」と口走ったらそれが実現しちゃう。
アカデミアってそれでいいのか。
彼女自身の無自覚に加えて、周りの環境がそれを是正できるほどシビアではなかったことが、一連の騒動の背景にあるんじゃないかなと思いつつ読了した。
ナントカ細胞の真相とかそんなんはもはやどうでもいい。行く必要のなかった人、行っちゃいけなかった人がハーバードに行っちゃった。それだけの物語だったんだと思った。
婦人公論もちら読みしたけど、寂聴が小保方さんを擁護して励まして、それに小保方さんが「わかってくれる人がいてよかったですぅ〜」と同調しているだけの中身のない記事だった。
外に出るのも怖いとか言いながら、髪をぐるんぐるんに巻いて、膝上ミニのワンピースを着て、首をかしげてカメラ目線で写真におさまる小保方さんを見ていると、なんつーか、本当に、なんであんた研究者とか目指しちゃったん、としか思えなかった。
研究者はおしゃれしちゃいけないとかじゃないですよ。
でもねえ、論文の体裁を整えるよりも自分の体裁を整える方に興味がある人は、そんな仕事やる必要ないし、そのことを売りにする資格はないでしょう。