仮にここでは、B君とする。
彼は、今までの出席とか評定平均を見て、指定校推薦を選んだのね。
この手法や指定校推薦の是非は置いとくとして、彼はとある大学への指定校推薦を教師に頼んだ。
受け持った教師は、評定平均の確認やその他諸々も終えて、オッケーサインを出したのね。
それで、彼は喜んでいたんだけれど、1ヶ月ほど経った後、自分に「勉強を教えてくれ」といきなり来たの。
「え、どしたんオマエ指定校推薦だったやん、なんで?」と聞くと、
「推薦がポシャってしまったから、一般入試を受けなきゃいけなくなった」
自分は一般入試組で推薦入試にも詳しくなかったから、大学側の基準が相当に厳しいものだったのかなあ
指定校推薦も舐めたもんじゃねえなあ、恐ろしいとか思ってたら、そういうことではなかった。
「評定平均の数値」を教師が間違えて算出してたの。
どんな計算かは知らないけど、とにかくミスっちゃって、わずかだけど実際よりも高く見積もってしまった。
その結果、志望してた大学の推薦基準には届かなくなってしまい、推薦も出せなくなった。
このミスが、指定校を決めた時点ですぐに判明してたら別に問題などなかったんだけど、
実際に判明したのは、ほとんどの大学の指定校推薦の出願時期が終わった時期だったんよ。
彼には他にも2、3個大学の候補があって、第一希望がダメだと分かれば当然志望校は変えたんだろうけど、
第二希望以下の大学の出願時期も終わってて、つまるところ指定校推薦が不可能になってしまった。
教師からは「悪いことをしたが、一般で頑張ってくれ」との旨を伝えられて途方に暮れていた。
最初に聞いた時には、あぜんとした。口ぽっかり。
勉強を教える云々の前に、そんなことがあって何で問題にならないんだ???と頭の中はハテナマークで混乱状態。
本人もすごく怒っていたけれど、まあそんなこと言ってても仕方ないねと、一緒に勉強し始めたんね。
あんまりこっちから何かできたとは思わないけど、彼はすごくバイタリティのある人で頑張って勉強してた。
それで、B君は一応のレベルの大学に進学できたんだけど、当初望んでいた大学とは就職率その他諸々に歴然たる差があった。
終わったことだからと、かれはおくびにも出さずにその大学に通って卒業して就職した。
その大学が決して悪いわけじゃなくてね、一応だけど。
それで、先日久しぶりに「会おう!」ってなって、居酒屋で飲んでるとその話題が出たのよ。
やっぱあの指定校推薦のゴタゴタひどかったよなあっていう気持ちもあって、心の片隅で残っているようだった。
彼は、その話題以外は終始笑顔だしそのことに強く憤る様子は見せなかったけど、
話題に出した時には少し苦笑いになって、引っかかってる様子ではあった。
そんで、広島の万引き誤認の推薦取り消し問題を見たときに、この事を思い出したんね。
なんであんな大事が当時は、問題にならなかったんだろうと考えると、語弊があるかもしれないけれど自殺までしないと問題にならないのかって思った。
とうぜん、広島のあの子には何の罪もない。全面的に教師や学校が悪くて、本当にあの子は何も悪くない。
だけど、じゃあB君のような、
「死ぬまでに至らなかったが、人生を大きく決める教師のミス」に対して、どうやって対処したらいいんだって思うようになってしまった。
(市教委はその地方にもよると思うけど、先生方の保護を優先するし。経験がある人は分かると思う)
B君は、自分の命を断ってはいないまでも泣き寝入りしてるわけで、それっておかしくねえかと。
自殺した子はとうぜん可哀想だけど、自殺しないと問題にすらされねえのはどうなの?っていう風に思った。
どこに問い合わせたら、きちんと問題として扱ってくれるんだろうと。
広島のみたいな故意犯は殺すべきだけど過失に怒っても仕方ない