2020-08-25

円城塔がめちゃくちゃ嫌いだ。評価されてほしくない

後藤さんのこと」を読んでめちゃくちゃ面白いと思ったのがおよそ10年前。大学生の頃だった。

この短編集は今でもかなりの名作だと思っているし、ハードカバーを買って大事に持っている。(小説絶対文庫版で買うという決意を持っているこの俺が、だ)

どの短編もこれまでに読んだことのない新鮮な後味で、何度でも読み返した。

この人の小説もっと読みたいと思った。

そこで読書メーターレビューサイトを見ると、「数学物理を使って書かれた純文学」みたいな書評が目についた(ちゃんとした表現は覚えていない)。

そうかな。と思った。

作者・円城塔理系出身者らしい。

なるほど。確かに、「さかしま」「考速」「ガベージコレクション」あたりには、理系的なモチーフがふんだんに埋め込まれていたし、その中には確かに数学物理単語もあった。

どちらかというと情報系分野の香りの方が強く感じたけど。まあ情報数学の一部だしな。

でもなんか、「数学物理を使って書かれた純文学」みたいな批評にはなんとなく頷けない感覚があった。

言い忘れてたけど、自分は一応ちゃんとした大学数学出身であるので、数学物理単語を言われたらそれが何のことかはわかるし、学問においてどういう立ち位置だったりどう使われるか、はおよそ知ってる(あんまり高度なのは無理だけど)。

からこれらの話はすごく面白く感じた。理系用語が雑に使われてたから引っ掛かったとか、そういうことじゃない。むしろ日本語としてこれ以上ない適切な位置にそれらの単語は置かれていたのではと思う。

次に「バナナ剥きには最適の日々」を買った。これも素直に面白いと思った。

equal」には妙な居心地の悪さを感じたけど、「捧ぐ緑」は今考えても円城塔最高傑作なのではと思えるくらいだ。

なので最初違和感がはっきりと形になったのは、その次に買って読んだ、「Self-Reference ENGINE」ということになる。

全ての可能文字列。全ての本はその中に含まれている。

しかしとても残念なことながら、あなたの望む本がその中に見つかると言う保証は全くのところ存在しない。これがあなたの望んだ本です、という活字の並びは存在しうる。今こうして存在しているように。そして勿論、それはあなたの望んだ本ではない。

皆はこの小説をどのように楽しむのだろう。

言っていることは理解できるし、示唆的ではある。人に何かを「考えさせる」文章でもある。しかしそれは「考えさせる」だけで、後に何も残さな文章しかなかった。

ストーリーもあってないような状態。各章の繋がりもバラバラだし、場面は突然切り替わるし、急に新キャラが出てきて急に退場するし、何もかも説明が不十分で、衒学的な、鼻につく文章けが延々と続く。

端的に言って、「最初から最後まで何も言っていない」。文字無駄に消費しているだけの、中途半端文字列らしき何かだと思った。

そして「エピローグ」を買った。

これでもう俺の円城塔嫌いが確立されたと言っていい。

何故って彼はエージェントで、エージェントとは人間よりも器用にチューリングテストクリアすることのできるスマート・クリーチャにしてオーバーチューリング・クリーチャだからだ。

人間理解できるのはせいぜい、N文字を利用して作成可能な全ての文章であるにすぎない。Nはある程度の大きさのところに留まり、そこには有限個の文章しかない。

「敵艦影、三。天頂方向より接近。ダミー放出。並列存在を開始。複雑性迷彩が起動しました。オーバーチューリングテスト実行。成功成功。失敗。失敗。失敗。当該宙域には、法則69805f9944ed4298311d0cdaa75da2629d6f3bb3756455d504243fla6c565f75が適用されていません。」

はあ。これでやっとわかった。

彼は詩を書いているんであって、小説なんか最初から書く気が無いのだ。

円城塔の紡ぐ文字列の並びは確かになんとなく美しいと思う。なんか感性に訴えかけてくる。なんか良いこと言われているような気にさせられる。

しかしその実、中身が全くない。その点に限って言えば詩としても程度が低いように思う。詩にも訴えたい内容とかあるからね。

そしてそれに「ていよく」使われているのが、SFだったり、数学物理言葉だったりする。

数学SFが、詩を美しく紡ぐための新しい言語の代わりにさせられている。これがなんとなく違和感を覚えた原因だったのだ。

まりこれを「詩集」ですと言われて手に取ったら、「おお、面白い詩だね」といえるんだけど、「小説です」と言われたから、「小説か??」となってしまう。

苛々するのは、読書メーター書評サイトレビューたちだ。

軒並み、「なんだかわからないけどすごい」「深淵」「自分には理解できない新境地と感じる」「文系殺し」といった単語が並ぶ。

お前らホンマに頭で物考えて言ってるんか??????

端的に口をそろえて「理解できませんでした」と言ってるだけだろうが。理解できないものを、適当に高評価するんじゃないよ。ボーッと生きてるにもほどがあるでしょ。

詩の材料にされている数学物理言葉がわからないものから、その意味不明さに脳が酩酊させられてるだけだよ、それ。酒飲みみたいにその酩酊を楽しみたいなら、いいんだけどさ。

自分文系から知識がないから、それらの語彙が入ってこないだけで、ちゃんと語彙力があったらそこに何か深い意味が込められているんじゃないかと思った?

なかったよ、なんにも!!

さらに頭にくるのはそのやり口で芥川賞なんか取っちまったところだよ!

選考委員も、軒並み騙されてんじゃないか。誰か一人でも意味わかってたんか?「道化師の蝶」のモチーフとなっているという、自己言及プログラムを一人でも書いてみたんか??

俺は、この世に理系人間文系人間とやらがいるとはあんまり思ってないけど、もし芥川賞選考委員がそういったSF数学物理に疎い人で構成されているんなら、円城塔作品はまさしくそ脆弱性を突いたクラッキングだよ。

以下が「道化師の蝶」受賞時に高評価をつけていた選考委員コメントだ。高評価だぞ?低評価じゃない。よく読んでほしい。

『二回読んで、二回とも眠くなるなら、睡眠薬の代わりにもなる。』

完全に酔っぱらってるじゃねえか。

あと、円城塔は、いい加減に繋がっているようで繋がっていない短編の寄せ集めを長編と言い張るのをやめて、最初から最後まで一貫して繋がった長編を書くべきだ。詩集から無理か。

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