2020-06-09

脇が臭いアラフォー女の話

前回までのあらすじ:

 偶然にも去年「使用済みバスタオル臭い」と同居の母に言われた増田は、希釈した塩素系消毒液にその都度タオルを浸すことで夏を乗り切ったが、今年もまた同じクレームが来たのだった

要人物紹介:

増田

アラフォー

両親と3人暮らしパラサイトシングル(就活資格取得の勉強中だけど進んでない)

母が言う、自分使用したバスタオルのニオイがわからない(嗅いでも何も感じない)

服とかについた、自分の汗のニオイはわかるので、ぶっちゃけ濡れ衣or母の感覚過敏を疑っている

増田

60代・体臭なし

無職だが、たまにボランティアなどする

増田使用済みバスタオル臭いと主張するが、服は臭くないと言う

増田

70代無職・汗臭さはないが時々加齢臭あり

ニオイに鈍感なので今回の記事にはあまり関係ないが、仕事メンタルやられて退職を決意した増田に「お前の就活絶対にうまくいかないし、お前はこの先堕落していくだけに決まっている」と言った前科あり

1.ねっとりと春が来た

 時期は4月後半頃だったと思う。増田母が「またタオルが臭くなってきたよ」と言ってきた。ついでに

ちゃんと腋にデオドラント使ってるの?」

「こんなこと、他人はわざわざ忠告してくれない。親しか言わないから、あんたのために言ってるのよ」

というダメ押しまで、去年と一言一句同じである。だが去年もそうであったように、増田には母の主張するそのニオイとやらがわからぬ。しかし、己の自己肯定感を下げる言葉に対しては、人一倍敏感であった。まして、ニオイとなれば今後の就活にも影響しうる要素である。これからの季節、発汗必至のスーツ姿で満員電車に揺られ、会場に入る前に毎回腋のニオイを確認するような就活は嫌すぎるし、何よりお祈りメールが届く度に「やっぱり汗臭かったのが悪いのかな」と自分を責めるような就活は嫌すぎる。タオルは家の外に出ないからいいとして、現在使用しているデオドラントその他を使ってもなお、人を不快にするような体臭があるのなら、手を打たなければならない。

 増田は新しいデオドラント石鹸を求めて、密林の奥地へと旅立った。

2.消臭、ゲットだぜ!しかし……

 幸い、密林で入手したアイテムは体質に合っていたらしく、増田からは「もう臭くない」というお墨付きを得ることができた。だが、おわかりいただけるだろうか……「(増田が使った)タオル臭い」というのは、あくま増田母の一方的な主張なのである増田自身にも、同居の増田父にも感じられない、たった1人だけの主張。しかし、そこのお前! 3人家族中1人の意見に含まれ発言力は、家の空気の約3割だぜ! まして、体臭のない『女親』からそうでない『娘』に対して放たれるその主張は、さながら「お前は女じゃない、私の娘じゃない」と言われているに等しく感じられた。まして増田メンタルやられてからの失職中であり、家の中でも外でも、何の生産性もない存在である。もうやめて! 増田自己肯定感はとっくにゼロよ!

 とはいえ、これは去年の夏にも通過した道。増田はできるだけ冷静に「臭いと言われると、正論であったとしても傷つく」旨を、増田母に伝えた。しかし、あくまで「あんたのためを思って言っている」というスタンスを崩さな増田母。

「においの問題なんて、親が言わなかったら、誰も言わないのよ? 誰にも指摘されないまま、嫌われてもいいの?」

それ去年も聞いたよママン。

 それではと、切り口を変える増田

「じゃあ、もし今のデオドラント石鹸が効かないくらい臭くなったら、ワキガの手術受けるわ」

 これなら賛成する……かと思いきや、何故か渋い顔をする増田母。

「そんなん、お金だってかかるし、痛かったらどうするの」

「でも、実際臭いんでしょ? なら、仕方ないじゃない。周りにも迷惑かけるし」

 すると、ここで何故か突然キレる増田母。

「じゃあ、言わなければよかったの!? あんたのためを思って言ったのに!」

 正直、首がもげるほど頷きたかった。あなたさえ余計なことを言わなければ、私は自己肯定感マイナスに突っ込ませず、せめてゼロのままでいられたんだよ、お母さん。

 しかし、それができないのがパラサイトシングルの悲しさ。あと、増田母は追い詰められるとガチ泣きするので、正直めんどくさい。

「じゃあ、せめて柔軟剤抗菌防臭のものに換えてほしい。お金も出すから

柔軟剤なんて、どれ選んでも同じよ! それに、今の買い置きがまだ残ってるのに!」

「わかった、じゃあ次に買う柔軟剤からでいいよ。実際に効き目があるかどうかはともかく、ニオイが出ないようにベストを尽くしたいから。お願い」

「だから、今は臭くないって言ってるでしょ!」

というわけで結局、増田母の怒りは収まらず、会話は何だかうやむやに終わってしまった。

3.増田には母の心がわから

 正直、増田母が言う「タオル悪臭」が本当にあるかどうか、増田には全くわからない。増田母は「自分のニオイはわからいからだよ」と言うが、着てた服を脱いだ時の汗臭さはちゃん自力で感知できるのに、タオルのニオイだけわからないということは正直ありえないと思う。何ならストレス認知症か娘憎さか、とにかく増田母の側に何らかの精神的な原因があっての言いがかり、もしくは幻覚(幻臭?)を疑うレベルであるしか増田が今、この自己肯定感マイナス状態で家を飛び出しても、セルフネグレクトを経て最終的に床のシミになる未来が見える。つまり増田母の主張するニオイが、実際にあるかどうか」という客観的事実は脇に置いて、とにかく「増田使用済みタオルには不快なニオイがある」という前提で、母のお気持ちに寄り添わなければ生きていけないのが現状だ。自分で書いていても情けないが、これは動かしがたい事実である

 しかタイトルの通り増田には、その母のお気持ち理解できない。「増田タオルに、不快なニオイがある」ことを「あくまで親として、娘のためを思って」指摘する一方で、それに対して増田が傷ついたことを表すと怒り出す。柔軟剤の交換や手術という改善案を出しても、これまた怒り出す。正直、怒られる側としては、メンタルが弱っていることも重なって「ニオイを抱いて溺死しろ」……もとい、「改善しなくていいから、黙って私に殴られろ」と言われているようにしか聞こえないのである(注:『殴られろ』はあくま比喩です。増田母は言葉の選び方が時々えげつないだけで、身体虐待を行う親ではありません)。

 これから梅雨に入り、夏が来て、汗臭さはいっそう避けがたい問題になるだろう。化繊のブラウスジャケットストッキング、あらゆるものがニオイを発するようになったら、実家から増田の居場所はなくなるのだろうか。ボランティア仲間に、よそゆきの声でLINEの使い方を手取り足取り教えている増田母の声を聞いていると、その情の一欠片だけでも、どうして実の娘に与えてくれないのかと虚しくなる。

 夏が、怖い。

  • この場合『お元気でなにより』と返していいものかどうか迷う マダヤッテタノアンター

  • これは天国のいかりや長介も忙しく嘆くレベルですわ

  • 増田も分かっているとは思うけど一刻も早く仕事を見つけて家を出るべき。実際に臭いか臭くないかはどうでもいい問題。 不満とか親心とか混濁した結果でしょうね。

  • 洗濯やらしてんの?自分でちゃんと高温短時間乾燥やってる?体臭判定は共同生活者の間では嗅覚が麻痺(ある程度そうならないと暮らせない)するからあてにはならんぞ?

  • 臭い奴ほど自分は臭くないっていうからなー。

  •  とはいえ、これは去年の夏にも通過した道。増田はできるだけ冷静に「臭いと言われると、正論であったとしても傷つく」旨を、増田母に伝えた。しかし、あくまで「あんたのためを...

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