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自分はAKB48のファンでもなんでもないが、フライングゲットのMVだけは何度も見てしまう。
それこそ最初にYoutubeにUPされて以降はかなりの頻度で見ていた。
曲の良さはもちろん、メンバーも最盛期でパワーがある。振付の完成度も文句のつけようがない。
そして何より衝撃的だったのはカメラワーク。
監督(堤幸彦氏!)がいいのかカメラマンがいいのかわからないが、例えば一人にスポットを当てる時も急速にカメラを動かしブレーキを掛けたように目当ての子で止まる。
このスピード感が素晴らしく、相当のカメラコントロールの技量がないと出来ない芸当と思われる。
そしてメンバーの子の表情の良い所をしっかりピックアップしているところも評価できる。
これは編集の技量だと思うが、印象的な表情をバッチリ押さえている。
例えて言えば「♪その目〜」のところの柏木由紀だろう。相当な眼力がある。
あまり長時間映ることは無いが、要所要所で印象的な表情を見せる。この采配も監督に一本だ。
色々バッシングはされるが、センターの前田敦子の存在感も素晴らしい。なぜ前田敦子がセンターなのか納得のできるオーラをしっかりと映している。
というわけで、かなり緻密で製作時間も掛けられたこのPVを久々にYoutube見たらHD化されていた。
以前は480Pくらいの画質だったため本気でDVDでも買おうかと思ったがこれで買わずにすんだ。
各メンバーの全盛期の表情、神がかり的なカメラワーク、衣装、背景を高精度で存分に楽しめる。
一方で、檸坂46の「サイレントマジョリティー」。
最初からHDで配信されているのは評価できるが、なにせPVの完成度が低い。
いや、それ以前に曲の歌詞が全く前に出てこない。とてもストリングスやピアノが美しい曲ではあるが、その楽器類にボーカルが埋もれて浮上して来ないのだ。
ミックス以前にアレンジの問題だろう。とにかく派手にするためにボーカルを殺してしまっている。メロディが良いだけに惜しい。せめてミックスでボーカルをもう1.5dBでも上げることができれば、である。
そしてカメラワークだ。特徴的な機械的な動作を取り入れたダンスを見せるために淡々と全体を映すことに特化し、まず個人が出てこない。
そして全体を撮るために思い切ったカメラワークはできず、ゆったりとしたパンニングで曲の持つスピード感、エネルギー感を全く生かしてない。
またメンバーの表情も全体的に死んでしまっている。「フライングゲット」のように明るい曲では無いものの、シリアスな表情でもぐっと視聴者を掴むことはできるはずだ。
メンバーが最初から諦めているような気配さえ受ける。全体として現場の熱意が感じられないPVなのである。
監督は1979年生まれとまだ若い。ベテランの堤監督と比べるのは酷だが、キャリアの差をまざまざと見せられる結果となった。
段々何を書いてるかわからなくなってきたのでここでやめるが、せっかく日本の音楽業界で唯一潤沢にお金を使えるアイドルというジャンルである。
素晴らしい監督、曲、歌詞、振付、アーティストがいればたとえアイドルでも素晴らしくクオリティの高いものができるということである。
個人的にはRockが好みではあるが、素晴らしい作品にこの際ジャンルは関係ないだろう。
ぜひフライングゲットに続く、国民的ヒットを生みだしてもらいたい。それにはただお金を掛けるだけではダメで、現場の熱意が必要不可欠ということを加えておこう。
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