はてなキーワード: 遠山雄亮とは
将棋棋士の過去の対局によったイロレーティングによるランキングが有志の手で公開されている。
2012年度 棋士ランキング(http://homepage3.nifty.com/kishi/ranking2.html)。
大雑把に抜粋して以下のような感じ(2013/03/29時点、太字が第2回電王戦出場棋士)。現役プロ棋士はこの時点で総数163名。
順位 | 名前 | レート | 今年度増減 |
1 | 渡辺明竜王・棋王・王将 | 1975 | 73 |
2 | 羽生善治棋聖・王位・王座 | 1965 | 29 |
12 | 三浦弘行八段 | 1751 | 10 |
32 | 船江恒平五段 | 1659 | 9 |
43 | 阿部光瑠四段 | 1623 | 15 |
79 | 遠山雄亮五段*1 | 1543 | -84 |
95 | 佐藤慎一四段*2 | 1511 | -10 |
100 | 塚田泰明九段 | 1496 | 1 |
105.5 | 奨励会員*3 | 1478 | -41 |
125.5 | アマチュア*4 | 1426 | 35 |
私の事前の予想では三浦八段、船江五段、阿部光瑠四段はおそらく安牌、佐藤慎一四段が勝てるか怪しい、塚田泰明九段は負ける、といったところだった。GPSの賞金イベントからもコンピュータ将棋がプロ上位クラスに及ぶとは到底思えず、しかし(短い持ち時間ではあるが)清水上アマ*5には完勝している、というところから、プロ中位以下にはソフトも善戦すると見積もったのだ。
そんなわけで明日の佐藤慎一四段対Ponanza戦は、現役プロがソフトに負ける可能性が高い重要な対局になるわけである、と思われた、のだが。
事前にソフトの提供を受けた阿部光瑠四段は習甦を見事丸裸にして*6、本番でも研究手順に誘導し研究通りに圧勝した。
プロ棋士が解説「第2回将棋電王戦」初戦で人間が勝てた理由(http://nikkan-spa.jp/409911)
研究されればプロが圧勝というのはほぼ確定の模様。現状のソフトは様々な戦形において地雷のように弱点となる筋が埋まっているようだが、しかし機械学習による評価関数パラメータ構築では個別局面における弱点を潰すことは難しい。古くなった定跡をそうと知らずに学習してしまうという問題もあるらしい。
Ponanzaはプロ側へのソフト提供を断っている。研究されることの圧倒的な不利を回避したわけだ。
第1局のニコ生では参考用として、局面毎のボンクラーズ*7による評価値が表示されたのである。
このボンクラーズの形勢判断、習甦の(プロが一目で無謀と判断した)仕掛け以降、ニコ生解説者阿久津主税七段のそれとことごとく食い違った。一時は習甦大優勢とも言える+400点をつけながら、習甦の攻めが切れるに至って頭を垂れ手のひらを返したのだ。
阿部光瑠四段は習甦の研究を重ねることで、実質的にボンクラーズ改めPuella αにも勝利した、といえる。
そしてPonanzaと(PonanzaはもはやBonanzaチルドレンではなかったです。追記有り)Puella αはともに先駆的将棋ソフトBonanzaの発展形(Bonanzaチルドレン)、、、
阿部光瑠四段が習甦に圧勝し、同時にPuella αが株を下げまくったおかげで、第2回電王戦も趨勢が見えてしまった感がある。明日の第2局で佐藤慎一四段がPonanzaに勝利すれば、おそらく第4局で塚田泰明九段もPuella αに勝つだろう。第3局の船江五段は勝つんじゃないかな多分。三浦八段はさすがに格が違う。
とはいえ。
最強棋士羽生三冠の通算勝率は0.7236、これから最強棋士渡辺明三冠は0.6877(いずれも2013/03/28時点)。
プロがプロレベルの相手に5局指せば、一発二発くらいは食らうものではある*8。
Ponanzaは2012年からBonanzaライブラリは使っていないようです。
http://www.computer-shogi.org/wcsc21/team.html
http://www.computer-shogi.org/wcsc22/team.html
これは熱戦が期待できる、かもしれない。
追記おわり
*1 将棋倶楽部24でレーティング3000になかなか届かないらしい、最近2800台に落ちたともfrom将棋連盟ライブのコラム。
*3 ここでの奨励会員は三段リーグ参加者、プロとの公式戦対局数が少ないため一緒くたに扱っている、順位が小数なのは引用元では順位が空欄のため。
*4 アマチュアも奨励会員と同様、一緒くたに扱っている、順位が小数なのは引用元では順位が空欄のため。
*5 断トツに最強のアマチュア棋士、実力はプロレベルって渡辺明三冠もブログに書いてた。
*6 阿部光瑠四段が事前に習甦とみっちり練習対局してきた(できた)ことは、個人的にはどうかなと思う。言ってみればタイトル戦の相手とスパーリングしておいて、相手側の記憶だけ消去するような行為で、圧勝もさもありなんとなる。ソフトはプロの棋譜食べて強くなってるわけだから問題ないって意見もあるが、棋譜と実戦は違うでしょ。今後のプロソフト戦ではソフト本体の提供は無し、代わりに本番に近いバージョンでの棋譜を戦形ごとに何枚か公開、とかがいいと思う。
*7 このボンクラーズは先の日刊SPAのレポート(http://nikkan-spa.jp/409912)によると第4局のソフト側「Puella α」の最新版とほぼ同じバージョンであるらしい(Puella αはボンクラーズの改称名)。