親戚関連の付き合いでお見合いをすることになった。26歳女。彼氏は人並みにいたが、モテることはないし出会いもない。まあいいか、と思って面談に行った。
ご希望はと訊かれて、悩んでしまった。別に希望はない。顔が良ければ良い方ががいいし、高収入ならいいにきまっている。でも、大好きな俳優のそっくりさんなど現れないだろう。石油王もお見合い仲介は使うまい。だったら、「希望」なんて意味があるんだろうか。
希望ですか、と口ごもるとスタッフの女性が見合い会社に登録している人のプロフィールを見せてくれた。年齢、身長、職種、子供の希望とか、煙草を吸うとか。何かピンとくるものはありますか。そう言って見せられた写真で、私ははたと気づいてしまった。これは無理だ。私は、今まで男を顔で選んでいたのか。
今まで縁のあった男性は、決してイケメンではなかった。好みの系統はあったが、よくてクラスの平均くらいの顔。女友達から「なんでこっちが好きなの?」と揶揄されることも多い。手渡された写真の男性だって、普通に出会えば好きになれる人もいるんだろう。そう、きっと「普通の男性」なのだ。でも、この中から好きな男を選びなさいと言われたら、欠点ばかりが目についてしまう。この人は鼻が大きい、この人は眉の形が苦手。趣味や職業や年収なんて、問題ではない。特に眉の形は私にとってかなりのネックになるらしい。友達からの紹介を、眉の形が気になって断ったことがあった。生理的に無理、というのが当てはまるのかもしれない。
逆も然り、だ。20代の女がずらっと並んでいたとして、私を選ぶ理由はなんだ?一人暮らしが長かったから家事は人並みにできるが、子供好きではないので家族を大切にしたいタイプの人とは合わない。かと言って仕事で向上心のあるようなタイプではない。惰性で生きている女だ。そんな女を性格で好きになるような男はいないだろう。それを、写真で覆すなんて。相当な美人でなければ無理だ。私は好きな人は好き、というレベルの顔。26は若くはないし、子供嫌いにとって年齢はメリットではない。彼氏を作ろうと思うなら趣味の場で出会うとか、そういうきっかけで付き合うしかない。
親戚の手前断りきれなくて愛想笑いをしていたら、2人と会う話を進められてしまった。全く好みの顔ではない男性。1人目の男性はすでに会ったが、やはりどうしても無理だった。ニコニコ笑ってやり過ごして、お断りの連絡をした。相手も私など嫌だっただろう。2人目も同じように愛想笑いをして2時間足らずの食事をやり過ごし、断り断られるんだろう。
子供の頃は、普通に結婚して楽しい家庭を築くもんだと思っていたのになあ。結婚にまつわるあれこれが、全く魅力的ではなくなってしまったのはどうしてなんだろう。自分が顔で異性を取捨選択しているなんて、気付きたくなかったな。とりあえず、お見合いはもう二度とごめんだな。