技術書展に対する疑問があるので書いておきたい。反論などあったら聞かせてほしい。
まずネットが当たり前にあるこのご時世で、同人即売会、同人誌(物理)というものへの疑問があるのだが、それは一旦置いておく。
まず売られていると嬉しい本について書く
著者自身にバリューがあると良さそうだ。「この人はこういう本書くんだ、こういう考え方、切り口なんだ」作家みたいな感じ。
企業出展も多かった。この辺もその会社や扱ってるサービスが好きだと、著者にバリューがある場合と同じで楽しめそう。
この辺までは、考えてみると作家やアーティストの本みたいな感じで需要がありそうだ。まず人やプロダクトに対するファンであって、本の内容が良かろうと悪かろうと、その考え方に触れるという意味で楽しめそう。
その他のサークルはどうだろう。
まず内容について、読み物、エッセイ、事例紹介、そして技術書などの種類があるかと思う。読み物、エッセイはもちろん、事例紹介も書き方によるだろうが個人の経験や視点に基づくものだろうから多様性がありおもしろうそうだ。
多様性は同人、アマチュアの生命線と言えると思う。商業出版が叶わない需要量、クオリティでもどこかでそれを必要とする人がいる。ということでその頒布も理解できる。
この先からが本題だ。
存在が疑問なのが、上で挙げられている以外の本、つまり「その他のサークル」の「技術書」だ。「技術書」ってなんとなく使ってる言葉だけど、本屋に並んでる「〜入門」とか「〜アンチパターン」とか動物の絵が描いてる表紙のやつとか、そういうのを指している。技術についての情報が載ってるやつだ。
まず「編集者がいないので正確性の担保はどうなってるんだろう」と思ってたんだけど、自分はよく個人ブログのお世話になってるからそれは言う資格ない。
問題は「情報に多様性はあるのか」ということだ。上で「多様性」と書いた。たしかに絵や漫画、小説、エッセイなどは多様性に価値があると思うんだが技術情報はどうだろう?情報の中には多様性はない。真実はいつも一つ。多様性が存在するとすれば、その情報を扱う視点、切り口、または情報自体のニッチさだ。
技術書展で頒布されている技術書を精査したわけではないのだが、大体「機械学習」「Webサーバ」「FPGA」「ブロックチェーン」手垢のついた単語ばかりが並んでいる。本自体のタイトルも「〜入門」とか「〜アンチパターン」とか本屋で並んでるようなのが目につく。見本誌を手に取ると目次を見るだけで飽きるやつばかりだ(また似たような体裁の本ばかりなのだ)。
これになんの意味があるのだろう。ここで行われていることは、商業出版の本の再生産ばかりじゃないだろうか。いや、ブログならそれでも気にならないけどいきなりそれに数百円とはいえ値段がつくと面食らう。
ニッチな内容なら素晴らしいと思うけどけどそれもタイトルや表紙からわからないものばかり。見本誌出してるところ多いけど混雑してるから内容精査できないし。
頒布する人はその内容や公開方法を少し考えてみてほしい。切り口を気にしてほしいし、その切り口を本の表紙やタイトルで伝える努力をしてほしい。
結局、技術書展で売られている技術書はブログで広く公開されていた内容が都内のイベントでしか手に入らなくなっただけではないだろうか。(しかも他の同人イベント同様、開演前に長蛇の列を作っていた)
タダで公開しろ、という権利は自分にはない。ただ情報へのアクセスを難しくすることはやめてほしい、と思っている。技術書展に出展する人なんてこれまでもブログなりネットで情報公開している人が多いんじゃないだろうか。