2018-09-13

あるナンパ師の話を書くね

特定されると怖いから少しぼかしながら書くんだけどさ。

まだ今ほどナンパセミナーなんて胡散臭いもの跋扈してなかった牧歌的時代の話。

大学時代友達と飲んだ帰りに友達ナンパしようぜって話なった。

男ばっかりでつるんでたから。

俺はナンパなんて全然経験もなくて、「お姉ちゃん飲みに行かない?」みたいな事言って撃沈してた。

だけど友人の一人が声をかけると明らかに女性の反応が違ったんだよね。

最初はそれこそ俺と同じ感じで、少し声をかけてはあしらわれていたんだけだけど、数人に声をかけるうちに女性が足を止めて話を聞いたり、連絡先を交換したり、挙句の果てには俺たちを置いて女性と二人で飲みに出かけたんだよね。

後日詳しく話を聞くことにしたんだけど、言ってることが意味不明なんだよね。

まず相手を選ぶときにはオーラが出てる人と出てない人がいるとか、目があった瞬間に脈のありなしが分かるとか、あとは少し会話をしたら相手ボディランゲージ視線や声の抑揚でイケるかどうか分かるって。

彼はあんまり経験が無いって言ってたけど、俺からすると理解不能だった。

よくいる大学生で、特にトークうまいわけでも、イケメンなわけでもなかった。

服装だって俺と大して変わりがない。

それでもたまに街に出てナンパをすると、彼は必ず成果を出してくる。

そのままワンナイトときもあれば、彼女を作ってしばらくナンパに付き合ってくれなかったこともあった。

ナンパ遊びをはじめて日が経つと、彼は服装や立ち振舞いが変わってきて、それに伴って更にナンパが上手くなった。

会話も俺たちや大学サークル内の人相手でも、自然言葉を引き出したり、伝えたいメッセージが明確に伝わるようになった。

サークル女の子も彼に惹かれる人が何人か出てきてたみたいだけど、サークル内で付き合ったりって話は聞かなかった。

何度も彼のナンパを眺めていると、ぼんやりと彼のやっていることが分かるようになってきた。

言葉相手コミュニケーションを取るんじゃなくて、音のリズムだったり、距離感だったり、非言語的な部分で同調するのがとても上手かった。

ただ、何度聞いてもコツは教えてくれなくて、相変わらず雰囲気がどうとか、バランスとか、リズムみたいなことを繰り返すだけだった。

同じ場所ナンパをしていると、スカウトだったり同じナンパをしている人と一触即発になることや、逆に仲良くなることもある。

俺は数撃ちゃ当たる戦法のヘボナンパ師だだったけど、友人は違った。

別のナンパからも一目置かれていた。

他のナンパ師が撃沈した相手でも、彼が声をかけると足を止める。

彼の噂を聞き、人が集まるようになり、その地域ではナンバーワンって言われるようになっていた。

芸能人をゲットしたり、誰もが認める超一流企業(激務なところ)の美人彼女を作ったりしていた。

でも彼はあるときナンパをやめた。

飽きたって言ってたけれど、本当かどうかは分からない。

彼はナンパ世界に帰ってくることはなかった。

俺は彼とは少しずつ疎遠になり、大学でも顔を合わせることはなくなった。

彼が大学に来なくなったこともある。

大学院を卒業する頃には、彼はぼくの知る世界には居なかった。

ヤバい人の女に手を出したとか、事業に失敗したとか、イベンター大成功して得たお金投資家やってるとかよく分からない噂だけは聞いたけど、真相は分からない。

彼はフラっとナンパで一番になって、フラっと見えないところに消えてしまった。

でも、俺が見た彼の魔法のようなナンパだけは未だに忘れることができない。

もういい歳のオッサンなんだけどさ。

よくいる強引なナンパじゃなくて、本当に空気みたいにフワッと相手の心に入り込んでたんだよ。

彼は元気にしているだろうか。

生きているといいし、幸せだといいな。

あんまりぼかせてないから、当時のことを知る人は読むと想像がつくかもしれないな。

あ、そうそう、一番ヤバイなって思ったエピソードが、たまたま歩いてて横を通った女性を彼が捕まえたんだけど、匂いでイケると思ったって言ってたのが意味不明だった。

それでも、ものの数分で出かけてその日は帰って来なかったから、俺は一生足元にも及ばないんだろうなって思った。

あとマッサージがすげーうまかった。

  • 人相が悪いから格下判断して虫すると怖いと思って女がその場を切り抜けるために調子を合わせるんだろ

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