3月、C.R.A.C (旧しばき隊)はFact Check 福島を「ファクトチェック」し、そのほとんどは言いがかりだと糾弾した。
指摘した中には双方の主張に揚げ足取り(誇張表現)も見られ、シノドス側にも事実の確認ではない部分も存在したが、普段「反差別」を掲げる彼らが見落とすべきでない部分が見落とされていた。
以下はC.R.A.C.の「ファクトチェック記事」の一部である。
(6) 被曝者差別(テクストと正反対の解釈を導く明白な文意の捻じ曲げ)
辛淑玉:自分の親戚や身内が、福島の人だ、というだけで、「あの地域はがんになるかもしてない」とか、だからまずは結婚差別が来ます。それから次に来るのは就職差別です。その差別を前にして、「自分は被曝していることを言わない」という風に決めた人たちが、沢山います。放射能というのは遺伝子を直撃します。ですから、壊れた遺伝子が、自分の代に出るのか、子どもの代に出るのか、その後に出るのかがわからないんです
シノドス:この妊娠・出産に関する発言は、住民自身の恐怖や不安を強く煽り、県外での偏見や差別を生むものです。この発言のなかで辛淑玉氏は、「福島の原発事故由来の放射線により、福島の人々の遺伝子には突然変異が起きた」と断定しています。しかし、福島第一原発事故後に福島の住民の遺伝子に突然変異が起きたという科学的根拠はありません。まして、福島で次世代へのなんらかの影響が出ることはまったくありえません。
FACT→辛淑玉は「福島の人」に言及しているのではなく、放射線に被曝した人について言及しており、それが「福島」という地域で括られて差別の原因となるおそれがある、と言っている。明白な文意の捻じ曲げ。「次世代への影響が全くない」ということは、不安を抱える人々に向けて広く啓蒙すべきことであり、デマと糾弾すべきことではない。しかもこの次世代云々については、2015年の辛淑玉の講演に対して2017年の日本学術会議の研究結果をもって「ファクト・チェック」しており、それを理由に差別や偏見を助長すると辛淑玉を非難するのは論争の手続きとして極めてアンフェアである。
http://kdxn.tumblr.com/post/172539341255
たとえば、自分の親戚や身内が、福島の人だ、というだけで、「あの地域はがんになるかもしてない」とか、だからまずは結婚差別が来ます。それから次に来るのは就職差別です。その差別を前にして、「自分は被曝していることを言わない」という風に決めた人たちが、沢山います。放射能というのは遺伝子を直撃します。ですから、壊れた遺伝子が、自分の代に出るのか、子どもの代に出るのか、その後に出るのかがわからないんです。そしてそれを、因果関係というものを立証することは、じつは私たちにはできないんです。だから、差別に耐えなければいけない。〔強調部分は引用者によるもの〕
https://web.archive.org/web/20180402092350/http://fukushima.factcheck.site/life/1497
指摘すべき点は2つある。
ひとつは、「結婚差別」「就職差別」が来るおそれがあるとして、その差別を「耐えなければいけない」という点。これは差別されても仕方がない、結婚や就職が出来なくても仕方がない、といっているに等しい。彼らは水俣市や広島・長崎の住人にもそういうのだろうか?
もうひとつは、子孫に影響が出るほど被曝していないという点。これは広島・長崎の調査でもあきらかになっている。「因果関係を立証することは出来ない」という点においては正しく、統計的にも疫学的にも先天性異常の増加は見られないだろう。
というか、百歩譲って「結婚差別」がおきるかもしれない、という理由わかるとして、「就職差別」とはなんぞや。子供が障害者になるからという意味なのか、ただ単に被曝を「ケガレ」としてみているのか。いずれにせよ、これが反差別側から出た発言で、それを誰もとがめないことには驚愕する。