どこかの誰かがもうとっくに言ってるかもしれないけど、この間の千秋楽で私は初めて見たので許して欲しい。
あと、刀剣乱舞のこともミュージカル刀剣乱舞のことも、知ってる前提で話すから本当にチラシの裏だけど、ごめんね。
自分のために書かせて欲しい。
今私は、なんで皆あの三日月宗近を受け入れて、なおかつなんで褒め称えられてるのか本当にわからなくて
疑問通り越して困惑している。
つわものどもがゆめのあと、いつもキャラとか物語に解釈違いを起こす友人がべた褒めしてたので、
なんか嫌な予感がするなーと思って千秋楽のライブビューイングを見に行ったんだけど、
嫌な予感どころじゃなかった。
このルールがあったから、過去の作品の中では他のキャラクターたちは、
自分の大切な人が死ぬ運命にあったとしても、涙を飲んでそれを受け入れてきた。
死ぬはずだった義経をこっそりと逃がし、物語は大団円を迎える。
混乱した。死ぬはずの人を生かして逃がすなんてタブー中のタブーではないか。
しかも話を見るに、それを実行したのは三日月宗近の個人的な判断で、主人から命じられたというわけでもないし、
彼がやろうとしていることを他の登場人物たちは誰も知らなかった。
彼は過去の人物に積極的に接触し、介入し、時には人心を操ってまで『義経を生かす』結末に歴史を操作した。
これが、ルールに反する行為なのは誰がどう見ても明らかだと思ったし、
皆彼のやったことに対して困惑するか、更に言えば怒るだろうと思った。
でも終演後Twitterを開いて飛び込んできたのは、三日月宗近を褒め称える言葉ばかりだった。
優しい、そこまで人間のことを考えていてくれたなんて、素晴らしい作品、今までで一番好き。
愕然とした。その後怒りがこみ上げてきた。
ちょっと待って。あなたも、あなたも、前作も前々作も見たはずだ。
過去登場したキャラクターたちが、ルールと自分の心の狭間でとても苦しんだことを知っているはずだし、一緒に涙を流したはずだ。
三日月宗近がやったことが許されるなら、あの時彼らが苦しむ必要なんてなかったじゃないか。
みんなみんな、つじつまをあわせて助けてしまえばいいじゃないか。
だって、これが許されるんだから。あなたたちは許したんだから。
歴史というのはいろんな解釈があるからルートは一つじゃないとか、
今回はこのルートが成立する条件が揃ってたから~とかいろんな解釈を見た。
私だって義経生存説は知っている。でも問題にしてるのはそこじゃない。
その前提があったとしても『独断で、誰にも相談無しに積極的に歴史に介入した上で、自分の思う通りに操作していい』と三日月宗近が思っていることが問題なのだ。
そして彼はそれを『悪いことだ』と思っていない。
彼は今剣に義経を殺させないことで義経とともに今剣自身にも救いを与えようとしていた~とか、そんな感想も見た。
救いを与える、ってなんだ。今剣は三日月に救いを与えられなきゃならないほど、か弱い存在なのか。お前何様だよ。
私から見ると彼は『相談無しに独断で仕事を進めて、俺は仕事ができる、と思っているタイプ』にしか見えない。
べた褒めしている人たちは、彼がルールを破っている、ということに関してはどう思っているんだろう。
それがわからないし、そういう意見も見かけないのでとてもなんというかすわりが悪い。
過去の作品で歴史を変えてはいけない葛藤について、涙を流していた人たちがいるからなおさらだ。
前々から、ミュージカルの三日月宗近は、どこか他の刀を見下しているように感じることがあるのが気になっていた。
これが許された脚本とこれを許した空気があるのが信じられずにいる。