営業部門で採用されたはずが、経理部門に配属された。請求書の処理や物品の購入など購買に近い業務が主でそんなにスキルが必要ということではなかったけれども、計算が苦手で大雑把な自分には地獄の新卒からの4年間でした。
理由は主に業務内容のやりがいのなさと、計算を好む同僚たちと馬が合わなかったことです。
毎日数字ばかり打ち込む同じ作業にやりがいを感じることができませんでした。基本的にミスなく作業することが前提の経理の業務。100%正しくやりきっても、感謝されることも評価されることもない。
しかしミスが一つ起こるとかなりの大事になる。他人のミスに気づかないこと自体、自分のミスになる。
褒められることはなく、謝り続ける、自分が悪いのか分からないまま怒られ続ける毎日。
この環境でどうやってモチベーションを保つのか、真剣に悩んで先輩に相談した。
「数字が合った瞬間って気持ち良くない?」と言われた。ごめんなさい、全く理解できなかった。数字はもう見たくないと日々落ち込むだけでした。
ここから下は弊社の先輩が変わっている、という話で全ての経理や購買の人がそうではないと分かっている。
自分のミスはしっかりピックアップされるが、ミスが起きないように新たな施策を実行するのは許されなかった。
当時その部署では複雑な計算も電卓と手書きで行っていた。大雑把な自分は、計算の途中どこかで数字が合わなくなる。エクセルに計算式打ち込んで、数字を入れれば最終金額が出るような簡単なシートを作った。
先輩に「ズルしないでください」と言われ、目が回った。
何かを変える、ということに部署の人たちは猛烈な拒否反応を示すことが多々あった。それゆえ、書類のフォーマットも何年も変わらず、他部署や取引先に対して異常に面倒な手続きを頼まなければいけないことが多かった。その度に嫌みを言われたり、逆上されたりということが何度もあった。自分だって変えたいわ…と思いながらひたすら頭を下げるしかなかった。
残業は30時間程度だったので、身体は問題なかったけれどこのままファーストキャリアを摩り下ろすのってどうなんだろうと悩みに悩み、胃に穴が空いたところで、異動希望が通らなければ退職しようと考えていると上司に打ち明けた。
救いだったのは上司が積極的に人生に介入こそしないけれど、訴えをきちんと汲んでくれる人だったこと。
ちょうどストレスチェックに引っかかり、産業医が後押ししてくださったこともあり、紆余曲折ありましたが今は営業職です。
自分の工夫によって結果が変わり、評価につながるのが本当に楽しい。
経理の仕事を通じて分かったのは、当たり前だけれど人には向き不向きがあるということです。
不向きな面でしか勝負できなければ、達成感がある仕事をするのは難しいし、周りからの評価も低くなる。
羽生結弦はフィギュアで勝負すべきだし、五郎丸はラグビーで勝負するべきです。
自分の得意分野で戦えないとき、努力で苦手分野を乗り越えるのももちろん素晴らしいけれど、土俵を変えた方がいい結果が出ることもあると思いました。
経理の仕事が好きな人には毎回否定されるけれど、不向きな人には特に難しい業務だと思う。
仕事が難しいのではなくて、モチベーションを保って取り組むのが致命的に難しくて辛かった。