いろいろと悪い評判があるAO義塾だが、
やっていることは必ずしも悪いことではないと思う。
前年度の合格実績の不当な操作に引き続き、今年も高くもない合格率を
「高い」と称して生徒を集めている疑いがあるのだ。
2016年2月、初回の東京大学推薦入試の結果を受けて、AO義塾は、「東大推薦入試でAO義塾が合格者NO.1へ!」と発表した。
全合格者77名中、14名の合格者をAO義塾から出したのだという。
しかし、AO義塾公表の数字は無料講座を受講した生徒を含めたものであることがその後すぐに明らかになった。
さらにその内実は、すでに一次選考合格した者に対して提供した講座分も加えての数字だったのだ。
これは予備校業界のガイドラインにも反するだけでなく、スカイプで無料講座を受講した者も含めた、「どんぶり勘定」による数字の操作ということになる。
このことが世の人の知るところになり、AO義塾の評判も見事に炎上したことも記憶に新しい。
それだけではない。
AO義塾の無料講座を受講した生徒と、そうでない生徒の合格率に差がないことも判明した。
<参考記事>
「東大推薦入試が塾に攻略された」は誤解だ 「14名合格」のAO義塾に疑問をぶつけてみた
http://toyokeizai.net/articles/-/110872
東大推薦入試の「合格実績」は誰の手柄なのか AO義塾・報道の矛盾の真相があきらかに
http://toyokeizai.net/articles/-/110931
以下のAO義塾のページを見てほしい。
http://aogijuku.com/tokyo/todaisuisen2017.html
カウント対象が、「AO義塾で書類対策を行った塾生」に変わっている。
それにともない、合格者数も 6名 に変更されていた。
たったの6名。
特に入塾試験や選抜を行わず、全希望者を東大対策クラスとして受け入れてのこの数字です。受験者全体の書類通過率は約86.1%(173名中149名)・全体の合格率は約44.5%(173名中77名)でしたから、その差は歴然としています。
だが、統計上とはいえ「無駄な講座」しか提供できないAO義塾が高い合格率を出すというのは一見して不自然だろう。
その数字を検証したところ、やはり、統計的有意性を持たない(有意水準 p < 0.1)ことがわかった。
つまり、「AO義塾のおかげ」と言えるような、合格率の意味のある差は統計上存在しないということだ。
サンプル数が少なすぎるだけかもしれないが、責任ある会社ならそれを考慮して宣伝すべきである。
少なくとも、数字に誠実に向き合えば、「歴然」などとは言えないはず。
これに対して、あくまで数字を単純に比較しただけと擁護する意見もあるだろう。
しかし、研究者なら捏造と言われかねないようなデータの扱いであることは間違いない。
AO義塾は、統計の基本も使えないで、研究者への道も示されている東京大学推薦入試を突破できる指導ができるのだろうか。
疑問と言わざるをえない。
<参考>