2016-06-21

高校生の時、俺はとんでもないDV野郎だった

 もう十数年前のことだ。高校生の時、最初彼女ができた。そのとき、俺はとんでもないDV野郎だった。顔も、腹も、痣だらけになるよう、俺は彼女を殴り続け、逃げ場がなくなるような言葉を吐いて、彼女を傷つけた。そして、その子と別れた後、数人と付き合い、それから約十年後の今、妻と結婚した。どんなに苛立っても、最初彼女以外に手を出すことはなかった。

 なぜ殴るんだ?最低だな?

 わかってるよ。殴っている側もわかってるんだ。わかっていて、止めたいんだけど、腕が止まらなくなるんだ。何度か同じことで殴っていて、前と同じことに対しての、何度目かのごめんなさいを繰り返される度に「これで何度目なんだ。本当は殴りたくないけどまた殴りたくないから、それをわからせるために徹底的に殴らなきゃいけない。つらい。苦しい。」そう思いながら殴り続けていた。「ごめんな。でも、お前みたいなダメなやつのことを好きでいられるのは、俺だけなんだよ。」「大丈夫、どんな顔になっても俺が守ってやるから。」そう言って退路を塞ぎながら、俺は大人しい彼女を殴り続けた。そして、周りの友達の前では、いい彼氏の顔をしていた。絶対に見られてはいけなかった。要するに、当時の俺は彼女を完全に所有して、コントロールしたがった。この関係は、高校生のよくあるいざこざで最終的には終わってしまった。

 次の彼女自分の思ったとことをはっきりと言うタイプだった。最初に腕が出そうになったときに、手が止まった。「この子は殴っても自分の思い通りにはならない。だから、殴っても意味は無い。」自分の汚い思考パターンに気付いた。そして、ふと自分を外側から眺めて、自分の思い通りにならないことに対して、自分感情が異常に暴れていて、それを抑える力がない自分精神の薄弱さに気付いてしまった。暴力だけではなく、言動すべてが、相手コントロールするためのものだと、稲妻が走ったように気付いてしまった。

 すぐにはそのコントロール思考は治らなかった。だけど、最低限「これは他の人に見せられるか?聞かせられるか?」と、問いながら過ごすことで、自分言葉暴力を抑えた。そして、その頃、文学出会い、それらを読み漁った。そこにいる人々はとてつもなく弱く、自分に似ていて、過ちを犯しては、悔いていた。俺は、人間の汚いところを見つめて、自分投影して問い続けた。そして、数年かけて、俺は自分の未熟さを少しづつ克服して、在るべき自分の姿と、ここに在る自分の姿を重ねていった。


 何が一番の間違いだったかって、「すべてが自分の思い通りになる」と思っていたことだ。世界自分の思い通りになると思っていた。そこそこ勉強部活もできて、俺は人気があった。一人っ子だった俺は、俺が機嫌が悪くなれば、周りが合わせてくれるし、ほとんどのことが自分の思い通りになっていた。勘違い甚だしい。そんなはずがない。そして、俺の初めての彼女は、俺の彼女なのに、俺の思ったことと違うことをした、だから俺は最初は機嫌を悪くしながら、彼女自分に従わせた。今ならわかる。これは、何も言葉を発していなくても、DV所謂モラハラ(モラルハラスメント=精神DV)だ。それが、徐々に言葉暴力になり、そして実際の暴力となった。

 俺は自分絶対的な自信を持ちながらも、自信がなかったのだ。自分コントロール下に置かなくては、コントロールできなくなってしまうから自分の元から離れていってしまうから、だから力で押さえつけた。力で押さえつけて手に入れたものに、何の価値があるというんだろうか。俺に力が無くなって、俺が心だけになったときに、離れていってしまものに、何の価値があるというんだろうか。

皆に問いたい。「恋人貴方のやりとりは、友達にそのまま見せられるか?」

 イチャイチャしてて恥ずかしいとかではなくて、「俺の体外的な良い人間イメージが崩れる」と思ったか、を聞きたい。思ったら、黄信号だ。よく考えてほしい。貴方恋人は、貴方パートナーであって、物じゃない。人の心というものは、貴方の思い通りに動きやしない。貴方の思い通りに世界は動かない。貴方にとってどんなに大事ものでも、時には世界貴方を裏切る。誰かを守るためでなく、自分のために力を振るうとき、それは貴方の弱さだ。力がある者ほど、その力の使い方を支える心の強さが必要だ。ちなみに俺は武道を嗜んでいたが、武道ではこれに気付くことができなかった。あのとき文学出会っていて本当に良かった。

 ある場所絶対の力を振るえる王様は、最もそこで精神的に薄弱であることがある。自分の思い通りにはならないことに、耐えるだけの力を持っていない。それに耐えて合わせてくれる周りの優しさや、哀れみに似た慈悲の心や、ただの恐怖に支えられているだけだと、王様は気付かなくてはいけない。ただ、本当に気付いてほしい人間は、「俺が一番頑張っているから当然だ」とか「いいじゃんそのくらい」と言ったりするものだし、既に多大な力を持っていてどうしようもなかったりするものだ。貴方がそんな人間の側にいるのなら、今すぐ離れたほうがいい。引き止められても、当人が変わらないかぎり、同じことが繰り返されるだけだ。離れてあげるのが、その人のためにも貴方のためにもなる。優しさを持って、離れよう。

 よく言うようにDVは、被害者にはどうにもできないのだ。加害者が気付いて変わらなくてはいけない。しかし、加害者自分加害者であることに、多くの場合は気付くことなく、事態悪化する。DV被害者の声はよく聞くが、加害者の声はあまり聞くことがないだろう。だから、少しでも引っかかることがあるのなら、貴方に変わって欲しいと思う。

追記:

http://anond.hatelabo.jp/20160621152011

記事への反応 -
  • いかにもDVと共依存を引き起こしそうな陶酔したやつだなあ…

  • 普通に引くけど、このタイプのクソは、表に出て話すことないから、まだましなクソ。 クソによるクソための啓蒙記事としていいんじゃね。

  • どの口がほざく へどがでるから黙れ

  • 一人っ子としては、一緒にすんなボケと言いたい

  • 前半の殴ってるシークエンス、どっかで見たことあるぞと思ったらアレだ、山本直樹『レッド』だ 総括しろっ!総括しろっ!って言いながら殴るんだ

  • おいブクマ共、毎度毎度マウンティング以外の気の利いた事言えねえのかよ。 こいつは自分の犯した罪に気がついた。これ以上の反省があるか? 殴った彼女に全財産渡して腹掻っ捌く、...

  • まーたブクマで反省した者へのリンチやってるよ。外野のくせに加害者をいつまでも許すことが出来ないセカンドレイパーばかりだな、はてな民は。教室で同級生BL描いてたのがバレたこ...

  • "俺は自分に絶対的な自信を持ちながらも、自信がなかったのだ。" これ、本当にそう? 俺様の思い通りにならない俺様って可哀想!どうして俺様のことをわかってくれないんだ!!とい...

  • これ読んでて、いったいどういう切っ掛けでDV辞めたのか気になった。 多分、暴力振るった瞬間にプリキュアに瞬殺されたんだろう。 それ以外の理由が考えられない。 とか考えながら...

  • ちんたま取れろ

  • http://anond.hatelabo.jp/20160621003527 の追記  あの記事の趣旨は、まだ気づいていない同じような加害者たちに伝えるためで、懺悔のためではなかった。だから、ブコメで真っ当な人たちにボ...

    • 不思議なんだが、よく自殺しないなあ。 なんで自殺しないでいれるのか教えてほしいわ。

    • 批判が多いのも分かってた、と口だけでは言ってるけど、 追記で反論したくなっちゃったことこそが、自分とは異なる意見を受け入れること出来なかった証拠でしかなくて またきっかけ...

    • 身内がDVの被害に遭ってるから、身を守ったり逃げたりする方法を教えてくれたほうが助かる。 「俺が謝る」ことばかり考えて、怯えてたのに追ってなかった? 信頼なんか回復しないよ...

    • 元モラハラ被害者だけど、別のまともな男と結婚した今でもつらい記憶がフラッシュバックすることがある。 被害者はいつまでも苦しみ続けるのに、「謝っても許してもらえない」とか...

      • 被害者はいつまでも苦しみ続けるのに、「謝っても許してもらえない」とかムシが良すぎて笑える。 お前、記事読んでないだろwこいつは、彼女には数年かけて謝っても、俺たちに頭...

    • 増田は元彼女に対して「俺達の関係修復できる」という関係性しか許さなかったんだろうな。だから何度も謝り続ける。そこにモラハラがなかったのか? 普通、謝罪は誠意さえあれば一...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん