元記事はこれ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160617-00009939-kana-l14
ブコメはこれhttp://b.hatena.ne.jp/entry/headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160617-00009939-kana-l14
そもそも何が問題となっているかを理解していない様に見えるブコメが散見される。
問題となる条例は、海老名市海老名駅自由通路設置条例である。(以下、断りのない限り、条文は、同条例のもの。)
この条例では、30条1項2号において、自由通路における「集会、デモ…その他これらに類する行為」が禁止されている。
これらの行為をしたと認められる者については、市長は中止命令等を発することができ(30条2項)、これに従わないと5万円以下の過料に処される(41条)。
一方、「募金、署名活動、広報活動その他これらに類する行為」や「催事…その他これらに類する行為」については、19条1項により、指定管理者の承認が必要とされている。
今回のケースでは、市長が、
市民団体の行った行為は、30条1項2号の「集会、デモ…その他これらに類する行為」にあたるとして、同条2項に基づく命令をしたということだと思われる。
(なお、今回は、すでに行為が終了した後に、将来の行為を禁止する命令が発せられているようなので、中止命令ではなく、「必要な措置」の命令だと思われる。)
これに対する市民団体側の主張は、
①30条1項2号は、違憲ゆえに無効であり、本件の命令は違法である。
②仮に条例が合憲だとしても、市民団体の行った「マネキンフラッシュモブ」は、「集会、デモ…その他これらに類する行為」にあたらないから、本件の命令は違法である。
というものだと思われる。
(②については、主張されているか記事からは明確には読み取れない。)
条例で決まってるんだから当たり前、ブコメがあるが、①の主張のとおり、そもそも、その条例が違憲であり、無効だという主張がされているわけで、条例の内容が所与の前提となるわけではない。
また、条例が合憲としても、市民団体の行為が30条1項2号に規定される行為にあたるかの問題もある。
この問題は、「約10人が、プラカードを持って数分間立ち止まる行為を1時間行う」行為が、「集会、デモ…その他これらに類する行為」にあたるかの問題であり、市民団体の行為がいわゆるフラッシュモブにあたるかどうかは無関係である。
(また、表現の自由を考慮すれば、「集会、デモ…その他これらに類する行為」については、狭く解釈するべきだ、という議論も成り立ち得るので、単に集会やデモにあたるかどうかを直感的に考えただけで解決する問題でもない。)
なお、市民団体の行為が、フラッシュモブかどうかは、その言葉の定義の問題であり、本件で法律的には本質的な議論ではない。
「原告は他所でやることも出来た。条例は歩行者の安全で快適な往来に資するための管理を定めたものであり、表現の自由を制限しない」で棄却、というブコメがあるが、そんなに簡単な話でもない。
催事等は承認制で可能なのであり、許可制・届出制等ですらなく全面禁止しか安全かつ快適な往来確保の方法がないのか、という点は議論を要するように思われる。
「催事、興業、音楽活動レベルでも事前承認は必要」とあるが、市民団体の行為が承認が必要な行為だったとしても、30条1項にあたらないのであれば、命令を発することはできず、違法である。
「普通にデモやったらいいんじゃないかな」というブコメもあるが、自由通路でのデモは一律禁止であり、許可をとる余地すらない。
以下、個別に書いていくときりがないが、デモの規制については、(ブコメにおける議論よりおそらく厳格な)憲法上の議論が蓄積されているところだあり、興味があればもう少し調べてほしいと思う。