大学に入学してから私は今まで自分がいた環境のおかしさに気付いた。
私の出身高校はガツガツ勉強したのにインフルエンザであえなく落ちまくって滑り止めで入った私はとてもイレギュラーな存在で、生徒のほとんどが親の中学生の一番楽しい時期に受験なんて可哀想ざます!で中学受験をした割と裕福な家庭の(学力はお察しな)子供が多かった。
そんな環境であるが故か、友達もその友達も大体が一部上場企業の息子を始めとする中小企業の社長の子供、世界的〇〇の子供、神社仏閣の跡取りやマスコミのお偉いさんの〜〜などというラインナップであった。
リーマン家庭の我が家は当然下流の存在であったものの、よくある漫画のような貧乏人差別などは全く無かった、というより友人が六○木ヒルズに住んでいるような環境が標準状態で生きて来たお嬢様お坊ちゃんの意識のなかに自分達が恵まれていることなど全く存在しないのである。
私は都内から通える首都圏の大学に進学したのだが、これが私の転機だった。
まず驚いたのが公務員の子供の数だ。私は今まで地方公務員に縁遠い生活を送って来たのだが、大学に入ると突然の公務員率に見舞われた。
更に彼らの多くは進路に公務員を入れていた事にも驚かされた。
今までの友人の口から公務員という言葉を聞いたことはなく、そもそも進路に関して真面目に考えている人間の方が少なかった。
家という後ろ盾があるからとほとんどが指定校推薦でやりたいことを大学にしに行くというのが高校のスタンダードで、高卒で働く選択肢なんてものは考えたことすらなかった。
しかし大学の友人達の友人は同じ年で既に自分の将来を見据え、様々な理由から勉学よりも仕事を選ぶ子がいるという事実に少し恥ずかしくなった。
冷静に考えると、アホ高校から全員わざわざ大学行って人生の夏休みを体験する必要が本当にあるのだろうか。いや、ない。
また、アルバイトに関しても私の中でアルバイトは大学生がやるものだと勝手に認識して何も気にせずお小遣いをせしめていたがそれもまた違った。奨学金も成績上位者のご褒美ではなかったのだ。
1年に何週間か海外に行くのは普通ではないし、我が家の国内旅行年3回も少なくない。お母さん達が働くのは暇潰しじゃない。都内の真ん中に持ち家があることは貴重なことなのだ。
我が家は下流ではなくあくまで中流であることもここでようやく気付く。
高校の友人たちを世間知らずと馬鹿にしていた私も同じ位世間知らずだったことを知った。
私と同じ様に、高校の友人は同じ反省をしている子がかなりいる。共通の困りごとは高校の調子で口走ると嫌みに聞こえてしまいそうなことがあること。
こんな事匿名でも無い限り言えない悩みではあるが結構本気で悩んでたりする。