2013-11-11

IT受託開発と大企業

IT受託企業中小)と、発注企業(数千人規模)の両方に正社員として在籍できて感じたひどい仕組み。もはや国になんとかしてもらいたいので、ここで書いてみる。

大企業強すぎの件

とにかく金がある点

金儲けの仕組み作りにおいて、金があるというのはとにかく強い。受託側にいたとき感じたのは、金が回る仕組みを作るのに元手がそれなりにいるのに、元手がないので、金が回る仕組みが作れないというジレンマに悩まされる。金がなくても、アイデア次第で確かに金が回る仕組みは作れるかもしれないが、当たる確率が本当に低い。一方で、金のある側が金の回る仕組みを作るのは、金がないのに金を回す仕組みを作ることに比べれば、はるかに簡単(感覚値ですがはっきりいって100倍ぐらい楽かと。)

とにかくマーケティング面でチャンスがある点

人が集まる場所に何か出そうとして交渉を掛けにいった場合大企業から行くととにかく優遇される。一方で、受託から行くと話すら聞いてもらえないか、話は聞いてもらえるフリはされるが実質嘘だろ?都思うぐらい相手にしてもらえない。また、大企業側だと大企業トップと人脈がある人がそれなりにいるので、トップ交渉に持ち込むともはやチートか?というレベルの配慮がなされることが多い。こうして、マーケティングの面から大企業ますますチャンスに巡り会い、受託側はますますチャンスを失っていく。

とにかく人材が集まる点

企業活動のエンジンは、人の能力に集約する。どんなにすばらしい理念だろうと理論だろうと、結局企業の実力やら底力企業を構成する人材能力にかかってる。で、大企業場合、とにかく優秀な人を楽によりどりみどり採用できる。人材紹介/派遣会社もこれでもかっていうぐらい、優秀な人を格安で送り込んで来る。一方、受託側は、そもそも紹介されないか、優秀な人を採用するにはもはや人脈に頼るぐらい。これも感覚値ですまんが、大企業受託側=1:100ぐらいで人を雇う労力の量/難易度が異なる。また、大企業はとにかく金があるので、金にものを言わせて大変優秀な人材をすぐさま借りる事もできる。

とにかくIT受託企業(中小)が集まる点

仕事欲しさに兎に角IT受託企業中小)が営業に来るわ来るわ。なので、すぐ相見積とって値段叩く叩く。結果、「社員福利厚生考えたら、俺ならこの金額じゃ受けねーよ!」という異常な安さにあっさり落ち着き、とても安く仕事が出せるようになる。ついでに、優秀で安いIT受託企業が多数寄ってくるので、能力面もよりどりみどりルールのない完全競争ってホント怖いなあと思う瞬間が多々ある。もちろん、安かろう悪かろうという話はあるが、そもそも優秀なIT受託企業側も、値段競争に敗れると、仕事のチャンスすらもらえないので、値段引き下げに応じるしかない。こうしてとても安くて優秀なIT受託企業を楽に使う事ができる。

とにかく規模の論理が働きまくる点

大企業側は必要な物資は、とにかく量が多くなるので、あっさり規模の論理を振りかざせる。このため、ほぼチートだろ?と思うような大変な額の値引きをしてもらえるため、物資調達もチート並の価格で手に入る。物資売る側は、単に実績が欲しいのかなんなのかわからんが、なんでこんな値引きするのかまったくわからん

とにかく物を作らん点

大企業側はそれこそ企業理念やら哲学に「自分で物作ります!」というのを掲げて自社開発にこだわっているところを除けば、はっきりいってIT受託企業に開発ばらまいた方が金儲けの効率はとても良い。おまけに開発するために必要コスト(研究開発含む)は、先の相見積りの仕組みで自社で人材かえるよりは圧倒的に安くできる。また、優秀なIT受託企業は自らの努力で優秀になってくれるので、優秀にするための膨大な教育費/研究開発費について大企業はまったく出さなくて済むという点も大変おいしい。

国のルールですらねじ曲げる点

大企業側は経済への影響力、コネ等が、ものすごいがあまり、国へのちょっかいもたくさん出せる。IT受託開発側では考えられないようなアンフェアな仕組みで、ルール大企業側に有利な方向にチェンジ出来る。

IT受託開発側弱すぎの件

大企業の反対の件が襲って来る点

いうまでもない。先ほどの大企業強すぎの件の逆が襲って来る。

研究開発してウハウハが難しすぎる点

まず、研究開発の結果ウハウハになれるというアメリカンドリームみたいな話もあるが、そもそも、研究開発がうまく行く(最終的に金儲けに繋がる)という確率は非常に低い。また、大企業側の人材確保の状況及び資金的状況を鑑みるに、IT受託開発側が研究開発する余裕はほぼない。研究開発はそもそも金と時間必要な作業。なお、大企業から金銭的支援を得て研究開発を行う事が可能だが、その場合は、支援を受けるときに交わす契約に、成果利用は全部大企業の物だかんね!勝手につかうなよ!とかかかれる事が普通。また、IT受託開発側が研究開発した成果とノウハウを誰かがうっかりブログにでも書けば、代用品をあっという間に他の企業に作られてしまい、研究開発にかかった費用を回収出来る前に、成果物競争力自体がなくなっていく。

結論

とにかくIT受託開発側が努力できるレベルはるかに越えて、大企業側が強すぎなので、国が意志を持って、ルール変更(規制かけるとか)して大企業がこれ以上強すぎることの無いようにしてほしいなあと思う。特定の分野に大企業は国のルールで参入できないようにするとかしてくれぇ。そうしないと、競争原理で、IT受託開発側が死滅して、大企業競争力のある物が次第に作れなくなり、結果双方共倒れになってしまう...

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