震災直後、
地震に乗じて値上げする企業を批判するのは違うでしょ。値上げによって本当に必要な人に数少ない商品が分配される。無料提供は素晴らしいことだけど、数が大量にあるからこそできること。
http://twitter.com/#!/GkEc/status/46853898253778944
私も、震災直後まだ親族との安否も覚束ないところで見た記事であるため、脊髄反射としてか見下してしまったのだ。
どちらにせよ、私が取った行動が変わるわけでもないので、少し落ち着いた今、私なりに考えてみたい。
震災時、貨幣の信用が毀損されていたか、というと今振り返ってみればそんなことはなかったと思う。
しかし、震災直後は著しく経済活動が停滞したことは事実である。仙台駅前は都市機能こそ沿岸部に比して少なく、数日でスーパーが開店するほどまで再開したが、流通の停滞、限られた資産の切り崩し、労働市場の損害など被害が甚大だったことは疑いない。(私の父は無事だったが事業停滞により退職となった。)
さて、流通が停滞しているのだから、商品の分配の問題が浮かび上がる。寄付や自治体などの尽力で一定の確保は見込めるものの、それでも頼りないだろう(だいいち、寄付は適切な分配以前に適切な供給が難しいという問題があるが、それは本旨ではない)
となると、適切に市場へ物資を供給するため、調整が求められる。具体的には非被災地の値上げによる供給抑制だ。それをせずとも、「被災地へ優先的に物資を回しています」というポジションをとれば値上げはしなくてもすんだかもしれないが。
が、だ。その時被災地でもあるが、比してダメージの少ない関東圏は衝動買いの只中にあった。流通機能のダメージが少ないにもかかわらず物が売れ、原発の影響から水が売れ。私の住む埼玉南部ではいまだ水が売り切れるときがある。
先にも書いたが、商品の値上げは企業が取りうる手段としては数に含まれる。これは供給量が減ったために必要な人へ物資が供給されないためのやむを得ない措置である。特に、関東圏では実施してもよかったのではないか、と今は考えている。
それをしないために次に考えられる措置は供給量を増やすしかない。
店舗側では購入制限の徹底も必要だろう。私の近くの某大手スーパーは、一時期550mlの水にまで購入制限がついたときがある。
ところで、いくつかの店を回ったところ、海外から輸入された水がたくさん売られていたのは多くの人が確認したところだと思う。コントレックス・ミネラルウォーターやヴォルビックなどが出回った。
しかし、日本の消費者は震災直後でもワガママであった。なんということだろう、硬度の高い水を購入せずに、比較的柔らかな水だけが売れたのだ。
結果として硬度の高い水、具体的にはコントレックス・ミネラルウォーターが売れ残り、まあどちらかと言えばヴォルビックが売れる。そして、硬度の高い水だけが売れ残るという奇妙な光景が見られた。いろはすのみかんフレーバーも残っていた。クラブソーダ(炭酸水)の方が売れていた。
店長もまさかこうなるとは思わなかったのではないだろうか。せっかく水を仕入れたと思ったら硬度で選ばれてしまった。軟水だけの供給量を増やせなどという要求を、まさか震災直後にされるとは思うまい。
こんな生物に職を選ぶなだというのは言ってもムダだというのが骨身にしみたであろう。そう、人は選択と行動で表現されるのだ(某八月エロゲより)
となると次はどうするだろう。今のまま押し切るか?いやいや、今のままでもクレームが来るのに、そんなことをしてはそれこそ店の信用問題であるw
というわけで、次に出てきた水が 日田天領水 だ。
私はまさかスーパーでこれを見ることになるとは思わなかった。なんせ、胡散臭い。一時期私の体調を気遣ってか祖父が「まあ使ってみろ(ドヤ」と段ボールで送ってきたのがこれだ。なんのことはない、料理に適した普通の軟水である。
まあ、ブランドなんてそんなもんかと思いつつも「あ、おいし~い。さすがだね」と相槌を打ったのは忘れません。祖父もニコニコ。さすが日田天領水!
しかし、値段が高い。2L一つで400円近くはしたはずだ。おねだん四倍(近くのスーパー基準)。
この高価らしい水を出すまでしないと、震災直後にあっても揺るがぬ消費者マインドを発揮した国民を満足させることは出来なかったということなのだ。
余談だが、ある程度供給も安定してきた今となっては、このお水はただのお荷物に成り下がっています。起きていることは全て正しい(キリッ
あのツイートを見て「被災地に水持ってって高値で売りつけるなんてヒドイ!」と脊髄反射した人先生怒らないから手をあげなさい。
ノ