2023-07-06

夏への扉』はとんでもない愚作なので褒めないでください

SF小説好き1480名に聞いた「絶対に読んどけ」っていうSF小説ランキング、という記事話題だ。

ホコリの被った旧作(「古典」ではない)ばかり挙げられていて本当に辟易する。

SFアイデアの新奇性、センス・オブ・ワンダー重要なのであって、

さらヴェルヌやウェルズを読んだところで、価値はない(ギブスンやディックも同様)。

そしてこういう「オススメSF」の話題になると必ず出てくるので『夏への扉』を薦めてくるやつだ。

はっきり言えるが『夏への扉』を薦めるやつは見る目がなく、センスに欠けていて、信用できないってことだ。

私もその手合いに騙されて、貴重な時間無駄にしてしまった。

夏への扉』は読まなくて結構。今からその理由を端的に3つ述べる。

 

夏への扉』は決して猫小説ではない。

夏への扉』は猫好きなら読んでおくべき、みたいな薦め方もされる。

読んでみて驚いたのだが、これはまったくもって猫小説ではない。

なぜなら猫はストーリーの本筋とまるで関係いからだ。

夏への扉』は共同経営者に裏切られた主人公が、

冷凍睡眠未来ジャンプして復讐を果たそうとする話だ。

では、猫は何なのかというと、主人公が猫を飼っていて、たまに触れられる程度。

一緒に行動するし、『夏への扉』というタイトルは猫の行動から来ているが、

猫が作品テーマだったり、猫の行動が何かストーリーに影響を与えるわけでもない。

ただの添え物であり、これを「猫小説」だと思ってしまうやつは、どうかしている。

最近、『世界から猫が消えたなら』という小説20万部?かそのぐらい売れていたが、

これもとんでもない愚作で、主人公消失物について浅い思弁を展開するだけの小説とはいえない代物だった。

どうやら世の中には猫が出ていればほかはどうでもいい連中がいるようだ。

猫好きは『綿の国星』でも読みなさい。こっちは掛け値なしの名作です。

 

プロット杜撰すぎる

主人公復讐を果たすために未来に行くのだが、

しかし、想像した未来と違い、不可解な点が散見されるので、

その理由を正すために過去へと舞い戻ることになる。

主人公未来にきたのは「冷凍睡眠」によってなので、過去に戻ることはできない。

じゃあ、どうやって戻るのか・・・というのが肝になるはずだが、『夏への扉』は驚くべき処理をする。

たまたま未来世界で知り合った男が、たまたま時間旅行を研究しているマッドサイエンティストと知り合いなのだ

そして、マッドサイエンティストを紹介してもらって過去に戻る・・・なんじゃそりゃ?

ほかのも「たまたま」で処理される部分はいくつかある。たまたま通りがかったとか、たまたま見逃した・・・とか。

それに未来過去へと行ったり来たりするが、そこでタイムトラベルらしい伏線を張ったり、解消したりということはない。

例えば『バック・トゥ・ザ・フューチャー』なら、「過去でのあの行動が未来にこう生きてくるのか!」という驚きがあるが、

夏への扉』では一切そういうのはない。時間移動というより、単なる舞台移動にしかすぎないのだ。

夏への扉』はタイムトラベルものとしても優れていない。プロット杜撰復讐ものなのだ

 

ロマンスご都合主義すぎる

夏への扉』のなかにヒロインと呼べる人物がいて、

最後はそのヒロインと結ばれて物語は終わる。

夏への扉』において、それは一緒に会社を興した男の義理の娘だ。

このヒロインは幼い頃に主人公なついていて、未来世界主人公と結ばれる。

仲のいい少女がずっと思っていてくれて、未来で結ばれる、というロリコン白昼夢のような展開だ。

しかし、それでも合理的説明がなされていてれば文句はない。

ヒロインがなぜ主人公なついているのか、なぜずっと主人公を思っていてくれてるのか(何十年も!)、その説明がなされればいい。

だが、驚くことにそこら辺の理由が一切説明されない。

ヒロイン理由なく主人公なついていて、理由なくずっと待っていてくれるのだ。

これをご都合主義と呼ばずしてなんと呼ぶ。私は読み終わって背筋が凍った。

こんな展開を「感動のラブストーリー」だと思っているやつもいるようで、SFファンはどうりでモテないはずだと合点がいった。

 

聞けば、海外では『夏への扉』の評価は決して高くない。

オールタイムベストの類では上位には入ってこないという。

夏への扉』が人気なのは日本特有ことなのだ。それを知ってはは~んと納得がいった。

夏への扉』はJ-POP歌詞みたいなものなのだ

中身はないが、何だか心地よい。日本にはそういうものに騙されるやつが多い。

なんていったって『負けないで』みたいな中身空っぽな歌がミリオンになる国だもんな!

『負けないで』に励まされるやつってどんだけ寂しい人生を送っているんだろう。可哀想だ。

うん、おれも仕事がつらいときたまたまラジオから流れてきて、泣きそうになっちゃったけどな。

お前ら、他人評価に惑わされるんじゃねえぞ。お前にとって何が面白いのか、知っているのはお前だけだ。

  • うん、おれも仕事がつらいときにたまたまラジオから流れてきて、泣きそうになっちゃったけどな。 おい

  • 白人様の評価に縋るイエロー

  • 初心者に古典SFを勧める奴は全員死ねばいいのにって思う

    • シュレディンガーの箱に入れてあげよう。

    • どの領域でもそうだけど、ある程度経験を積むとわざわざ初心者向けの本を読まないので、初心者に教えるようなことでもやってない限り「いま旬の初心者向向けの作品」って知らない...

  • バックトゥザフューチャーとマイケルJフォックスが好きな世代がここの中心層やぞ おまえなんぞのいう通りにするとおもう? というかこの10年だけでも何回ブチギレた?たぶんおま...

  • SFはアイデアの新奇性、センス・オブ・ワンダーが重要なのであって、 今さらヴェルヌやウェルズを読んだところで、価値はない(ギブスンやディックも同様)。 同意しかねる。 ア...

    • 老害乙 『大奥』がSF大賞を受賞する時代に何言ってんだ? そうした老害仕草がSFというジャンルが持つ可能性を狭めてるんだよ

  • 最後ズルいわクソオヤジw

  • そもそも娯楽小説を読む暇があるなら新聞や週刊誌を読んで政治に興味を持つべき パンとサーカスに騙されて政治に興味を持たない日本人にはSF読む時間すら無駄

  • おまえアレだろ「関西人はアルフォートを」だろ もう『夏への扉』がリストに挙がれば必ず勃発するプロレスだよこんなの

  • なので私は猫好きには「猫のゆりかご」を薦めています

    • ちょっと今「猫のゆりかご」って検索したらそう言う動物愛護団体かなんか見つけた 縁起悪すぎてワロワロ

  • 冬になった猫の行動と「そして僕も夏への扉を探していた」で終わる冒頭が素晴らしいからそれで良いんだよ。すごく褒めるほどのものではない(それは「星を継ぐもの」も同じ)だが...

  • 過去のローカス誌のオールタイム企画で 36位(1975年版) 29位 (1987年版) 43位(1998年版) そして2012年の20世紀SF小説オールタイムベストで61位と昔から今にいたるまでランクインし続けて...

    • 本でも音楽でも、オールタイムベスト的なものって「当時の価値、歴史的な価値」を重視するか「現在的な価値」を重視するかによって見方は変わるから、過去の名作への評価が辛い人...

      • だからそれは別にいい この増田は『聞けば、海外では『夏への扉』の評価は決して高くない。』というデマを書いてるから指摘しただけ

    • しかもそのローカスの夏への扉より上あるハインラインの作品は異星の客とか月は無慈悲なとか宇宙の戦士とかヒューゴー賞とってる代表作ばかりなので夏への扉も間違いなく人気作な...

  • 名作だっていうから高校の頃読んだけど、あきれた。

  • >お前ら、他人の評価に惑わされるんじゃねえぞ     だからおまえの書いたことにも価値なんかねえよ、黙ってろ。

  • 件のランキングに付いてるコメントとかこの記事読んでSFファンにSFの話振らないほうが良いんだなってことはわかった

  • はぁ? やっぱSFってIQが3桁ないと楽しめないんだな―。 可哀想に物事を表面的にしか見れないらしい。 私がちょっと啓蒙してやる必要があるな。 ノーとは言わせんよ絡んできたのは君...

    • そこまでドやりたいならもっと本筋に反論しろよとは思うが お前の書いてる部分に関してはお前が完全に正しい。 さすがにあれをロリコン小説として読んでるやつにどうこう言われた...

  • ド嬢でタイトルを知っていつか読みたいと思っていた内の一つだ。多分。 そう思った作品で実際に読んだのは・・・ あれ、一つも読んでないかも・・・・ イーガンはここで薦められて...

    • ド嬢をきっかけに読んで良かったやつ(既に読んでいたものは除く) 『タタール人の砂漠』 『さあ、気ちがいになりなさい』 野﨑まど六部作(『2』が最後のやつ)

      • ほう、ありがとう。 御礼に100万円を(以下略 『さあ、気ちがいになりなさい』は電子版を今ぽちった。 『アムリタ 』『舞面真面とお面の女』『死なない生徒殺人事件』『小説家の...

        • 野﨑まど六部作は確かに面白いには面白いんだけど、メインストーリーの巻と顔見せ兼箸休めみたいな巻が交互にあってぶっちゃけ「六冊もいらねえ」と思うところはあった 人に勧める...

  • あーあ最後で海外様頼っちゃった 台無し

  • ドラえもんは猫型ロボットだけど猫を期待するとそうでもないし プロットが杜撰すぎる回はそれなりに多いし ダメ男のび太がしずかちゃん射止めるなんてロマンスはご都合主義すぎるで...

  • 愚作というほどのものでもないかな いろいろツッコミどころはあるけど軽く読める古典というところで星新一の作品みたいなものだよ

  • 「好みは人による」 の、一言に尽きる話だな。 薦めてるやつひとまとめで馬鹿にしてるけど、そんだけの人数が薦めてるってことは、合う人は合うってことなわけで、合わない人もそり...

  • 『老人と海』のように、ヘミングウェイの中では凡作なのに、ヘミングウェイの他作品を読まない人たちからすごく支持されて 名作にでっちあげられた例もある。

    • ファンってホント贔屓の引き倒ししかしない迷惑集団ストーカーだよね

  • 「夏江の扉」って書くと、場末のスナックみたいな雰囲気になるよね。

  • SFはアイデアの新奇性、センス・オブ・ワンダーが重要 まさかとは思うが、先端サイエンスを勉強するためにSFを読んでいるのではあるまいな SFは文学であり、書かれた当時の科学レベ...

  • つまんなかったことしか覚えていないので、ここまで語れるのはすごい

  • どこでも悪い評価を聞かない星を継ぐものは間違いないってことですか?

  • https://anond.hatelabo.jp/20230706151026 確かに夏への扉はプロットもロマンスも今から見ると杜撰でご都合主義的という批判は分かる。現代のある程度、大人になって小説もそれなりに読んでいる...

  • 夏への扉否定しとけば通に見えるからな

  • 再投稿? 何ヶ月か前にも見た気がする 猫好きは『綿の国星』でも読んどけ。あっちは名作だからていうのが見覚えある 何度か同じ主張をしている増田がいるのだろうか

    • そもそもおすすめSFがクソ定期だから 夏への扉は駄作もクソ定期になる

  • ぼくは『星を継ぐもの』の方が好きです。

記事への反応(ブックマークコメント)

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