2017-11-05

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今回は少年ジャンプ+

ファイアパンチ 74話

サンネネトのやり取りが中々に興味深い。

サンアグニに対する信仰偶像に近いんだけれども、それが軽薄ではなくて確固たるものだということを読者にも分かる理屈説明している。

「人は信じたいものを信じたいように信じる」と語られているが、実際それがままならないことがよく分かる。

物語を追っている読者目線で見れば、どちらが正解を言っているかは明白なんだけれども、その前提がない立場だと主張を信じてもおかしくないような論理が展開されている。

メタ的に見れば、本作の能力における説明の粗探しを逆手にとっているとも言えるね。

ジャンプ作家育児に精を出してみた 15話

社会通念に対して、中々に優れたバランス感覚をお持ちだなあと思った。

公衆ベビーカーのスペース問題や、赤ん坊の泣き声問題について正当な権利を主張しつつも、それをウザったいと思う人間気持ち自体否定はしていないのが良い。

もし論理の殻に閉じこもった社会不適合者だったら、「正当な権利行使しているだけで何も間違っていないのだから、ふんぞり返ってればいい」なんてことを言ってたかもしれない。

作家自身がそう思った経験もあり、思われるような立場になって、経験つんからこそだってのが伝わってくる。

社会において重要なのは許容と順応で、それを育むのに杓子定規正論はむしろ害悪だってことを、経験者だからこそ理解しているんだと思う。

「そういうのに寛容でいられない人間愚か者」となるのではなく、「そういうのに寛容でいられる人間は偉い」のほうが健全だもんね。

意見押し付けることはよくないことだが、どうせ押し付けるならポジティブであってほしいし。


彼方のアストラ 45話

上手いこと繋げたなあというか、こじつけたというか。

説得のためにすげえ尺使ったなあとは思うけれども、実際問題として人間が長年積み重ねてきたもの本質ともいえるもので、ちょっとやそっとのことじゃ変わりたくても変われないだろうからね。

メタ的に見れば、「生まれから宇宙に飛ぶまでの十数年の人生」と「宇宙に飛んだ後の数十日間の人生」の戦いなわけで、後者が勝る説得力を持たせたるためには必要ドラマだったとは思う。

それにしてもアレだね、『ナルトしか古今東西ドラマにおいて、主要人物が体の一部を失うことによる絵的な力は凄まじいよね。

今回、「もうどうしようもないんだ」のシーンのくしゃくしゃな表情も中々よかったけれども、ラスト付近の見開きが個人的に効いた。

「そこに見開き持ってくる!?」と思ったんもん。

まあ粗探ししようと思えばいくらでも思いつく場面ではあるけれども、それで持っていかれた。


ヒット作のツメアカください! 1話

あー、あの作者のかあ。

『デッド・オア・アニメーション』は「やりたいことは分かるんだけれどもなあ……」みたいな作品だったが、そのあたりの作家性の問題点担当がちゃんと指摘しているところが良いね

それをメタネタにして、「氷コーヒー」だとかいう話の本筋と全く関係ない情報に1コマ割いている箇所が、あんまりちゃんと機能していないのも良い。

そんなつもりで描いていないならそれはそれでネタだし、そのつもりで描いているのならさほど面白くなっていないのが、これまた担当の指摘を裏付け構成になっている。

本題の話については特に感想を書くようなものはないかな。

そもそも「中堅漫画家が色んな人に話を聞いて学ぶエッセイ漫画」は割と“鉄板”になっているんだよね。

近年だけでも『ジャンプの正しい作り方! 』などのサクラタケシ氏の企画モノ、『大亜門ドンときいてみよう!』、『中川いさみマンガ家再入門』とかあるわけで。

特にコンセプト丸かぶりな『中川いさみマンガ家再入門』とは確実に比較される。

あの漫画、色んなクリエイターの言ったことを読者にも何となく伝わるよう落とし込んで説明するのが上手いからね。

有名な漫画家に話を聞いているだけでも面白いけれども、それだけだと作家の手柄じゃなくて担当など企画を持ってきた人間の力が大きいよねってなっちゃう。

それを今後どうするかってのが課題だろうね。

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