2013-12-30

引きこもりの弟が統合失調症だった。 (文末追加あり)

うちにも引きこもりの義弟がいた。

10月末に義父と連絡がとれなくなり、家に入ったところ、浴室であおむけに倒れて意識ないままの義父を発見した。

向いの部屋には引きこもりといわれ、「誰にも会わせたくないから」という義父に言われて結婚して以来7年間全くあったこともない(もちろんそれ以前にもあったことはない)

義弟がいるはず。おそるおそる部屋をノックして中をのぞくと、腰まで届く髪、恐ろしく長く伸びた爪、部屋の壁は四方とも穴だらけで長い年月かけて積み上げられた土壁で覆われて廃墟のようになっていた。テレビも本もパソコンも何もない。きっと誰にもいえない苦しみをぶつけていたのだろう。

彼は何もない壁に向かって座っていた。初めて言葉を交わす私と顔を合わすのがつらそうだ。声は全くでない。かすかにうなずくか首を振る程度の反応しかうかがうことはできない。

「お義父さん、倒れてるけど、いつから?気づかなかった?」尋ねるわたしにかすかに首をふるだけの彼。

大急ぎで救急車を呼んで義父を病院に運んた。体重20キロ台になって衰弱しており、おそらく2日間ほど風呂場で倒れたままになっていたようだ。

真向いの部屋にいた義弟がそれを本当に知らなかったのか、それとも「なんとなくわかったけど、自分は何もできない、したくない」と放置していたのか、それはわからない。

けれど、2日間もトイレにすらいかないなんてことはないだろうから、おそらく倒れている義父の姿は見ていたはずだ。だけど、なにもしなかった(できなかった)に違いない。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131230/waf13123010560008-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/131212/waf13121213220024-n1.htm

引きこもり、あるいは無職お金もないため、高齢の親の死に瀕しても葬儀も出さず放置していたというニュースをみて、彼のことを思わずはいられない。

彼の場合、幸い「父親を死後放置」するまえに、父が救出された。

そして、彼自身も強硬に他人に見せたがらなかった当の父親自身が倒れたことによって、家庭裁判所保護者選任の手続きをとったわたしたちが病院に運んだ結果、統合失調症とわかり、長期間発話もなかったために脳が委縮しているとわかり、精神科入院している。

引きこもりと言われる人の中には、彼のように統合失調症の症状のひとつとして、誰ともコミュニケーションをとらず、引きこもっている人も少なくないように思う。

彼の場合は、高校卒業から徐々に引きこもるようになったようで、その頃に専門医機関受診をしていれば、と思わずはいられない。

彼の実母は彼が2歳の時に自殺、うちの夫は年の離れた異母兄にあたり、早くに家を出ていたため、家族らしい心の交流はなかった。母親の死後、父親が一人で育ててきたものの、父と息子の二人の生活ではたいしたコミュニケーションもなかったらしく、食事は作ってあれば誰もいないときに出てきて勝手に食べてまた部屋に引っ込むという生活中高生からずっと続いていたようだ。 そして、高齢でもある父親は、妻が自殺したことの子供への影響を懸念して、「精神科受診させたら、かえって自殺してしまうかもしれない」などと言って、周囲が受診を勧めても頑なに首を縦に振らなかった。そういう懸念もあったのかもしれないが、その精神的な病への偏見や知識のなさ、そして特に男の子が家にこもり、仕事にも行かないことを恥じる考えもあっただろう、結局は彼を放置することになってしまった。そしてその結果、統合失調症という本物の精神的な病にさせてしまったのかもしれないと思うとまだ30歳になったばかりの彼の人生が不憫でならない。

ひきこもり、これは「症状」にすぎない。 どこかに原因がある。きっかけがある。

楽しい引きこもりかどうか、見ればわかる。

何もない部屋で崩れ落ちた壁に向かって日がな座っている生活のどこが「好き好んでしている」ひきこもりだと?

つらくて長い年月だっただろう。

せめていえることは、彼を「死亡した親をそのまま放置した」と新聞に書き立てられる当事者にせずにすんだこと、それだけだ。



(以下追加)

障害者であってもみんなが年金もらえるわけじゃない。

障害年金を受け取ることができるのは、きちんと年金を払ってきたか免除の申請手続きをしていた人。

あるいは「未成年の時期に病院で診察をうけた」証明ができる人。

彼は高卒あたりからひきこもってしまって、その頃以降外部との連絡もほとんど取らず、郵便物もおそらく見もしなかったか、見ても理解できなくなっていたのかもしれない。

免除手続きもしないまま、一度も年金を払ったことがなく、また医療機関に一度もかかることなく、30歳になってしまっていた。

統合失調症場合、症状が出てから病院受診するまでに何年もブランクがある人が少なくないらしい。また18、19歳あたりで発症して判断力が低下して年金手続きなど何もわからないまま数年経ってしまい、障害年金受給資格を失う人も。彼の場合はまさにそれ。

入院中の医療費は毎月10万(限度額申請してようやくこの金額)と、それ以外に病院でお世話してもらう費用が別途数万円かかっている。

それも父親の扶養保険に入れている今月までの話。1月で父親が後期高齢者になると、自分国民健康保険に加入しないといけなくなるが、そんなお金は彼にはない。

私たちもこれ以上の金銭的負担をする余裕がなく、途方にくれていたとき後見人の手続きをすること、生活保護の申請をすることなどを教えてもらった。

そして先日ようやくそれらが認められて、これでなんとか年を越せる、とほっと一息ついたところ。

義弟の症状は相変わらずで、退院の目途は全くたっていない。

※義父のことが中心の日記ではないので深く書かなかったら釣りだとかかかれてるので一言

もともと体が小さい人でしたが、1か月ほどまともに食事ができなかったらしく、入院させたときには敗血症20キロ台になっていました。

20キロとは書いてません。20キロ台です。骨と皮ってこういうことか、とおもいました。今は要介護2で運よく空きがあった老人ホームに入居しています

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