そもそも社会は万人に向けて作られているため、誰もがある程度居心地よく過ごせるが、同時に我慢せざるをえない不満もついてくる。
だから、社会に不満のない人間なんて、リア充でもオタクでも政治家でも、ほぼいない。
その上で、たぶん社会適応しやすい人間は、社会に何の不満も持たない人間ではない。それは存在しないから。
向いているのは、社会にある程度の不満を感じるので、そこから抜け出そう、いっそ自分たちで変えていこうと思えて、そして志を共にする仲間もいる、みたいな人間だと思われる。
親や先生の言うことに従順に頭を下げて生きてきましたというタイプは義務教育レベルでは褒められるが、就活ではあまり求められないというのはよく知られている。
就活では、ある程度の礼儀は保ちつつ、変えていきたい若さや情熱、チャレンジ精神のあるものが評価される。だから海外経験などが評価される……いわばそれは「冒険」の経験なわけだ。
そして、ワンピースの善玉の海賊は、反社会的略奪者というより冒険者に近い。
夢や理想に向けて、仲間を集め、強い絆で結ばれ、仁義を通し、苦難に立ち向かい世界を変えていく。
これはまるでベンチャー企業だ。
だからワンピの仲間コマ好き達は、起業して社会を生きていく、またはベンチャー的な積極的人材をとりたい企業に採用されて、社会でやっていける。
あるいは普通のサラリーマンや無職になってしまっても、密な仲間関係があるから、支え合ったり気晴らしをしたりして、腐らず社会とわたりあっていける。
だがワンピ好き達は、「厳しい社会の荒波をこえていく俺ら気の合う仲間たち」というスタンスで戦っていけるし、それがうまく社会に適応するということだ。
陰気なオタクは、荒波に立ち向かう気力もなく、陰口をたたきあえる程度の友達はいても極限状態で信頼しあえるわけでもなく、社会や人生と正面から対峙することに半笑いを浮かべてしまうわけで、これは適応できていない。
起業したり勉強会したり冠婚葬祭とか出産祝いとかやってるような集団と、シェアハウスに引きこもってるような集団では、同じ集団でも違う。
ちなみに、完全に社会に馴染めず、反社会的な方向に行って犯罪とか犯罪まがいの行為で生き延びてる若者もいるし、
その層もあの仲間のコマが好きな人たちも結構いるかもしれないが、それは陰気オタクとは接点が薄くて、彼らが「ワンピの仲間のコマ好きだわ」と言ってる姿が目に付くことは少ないのでこの場合は問題としない。