2018-10-31

[] #64-3「ヴァリランキン」

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「どうしました?」

「このエピソードの方のランキングなんだが、第5位が『こんな感じのスクロールありませんか?』になってる」

23話『こんな感じのスクロールありませんか?』

ヴェノラの仲間であるリ・イチが、新しい巻物を求める話だ。

しか漠然とした要求をするため、それに付き合わされるヴェノラたちは悪戦苦闘

最終的に町の住人全てを巻き込んでオススメ魔法書談義になるというコメディ回だ。

「どうしました?」

同じく会議室にいたマツウソさんが、シューゴさんに尋ねてきた。

マツウソさんは今回の人気投票企画運営をしている人だ。

「思ったより順位が低かったとか?」

「いや、高すぎるんだよ」

なぜなら視聴者目線からみれば、この回は本筋とは関係のない話だからだ。

シューゴさんたち作り手目線から見ても、スケジュールの調整も兼ねてローコストで作られたものだ。

最低限の体裁こそ調っているものの、冒険活劇をメインにしている本作においては明らかな箸休め回。

メイン視聴者層に、ことさら評価されるようなエピソードではない。

「そういわれれば、そうですね」

「少なくとも、他のエピソードをさしおいてまで、これが5位になるというのは不自然かもしれないですね」

一部のファンはこれを推すこともあるらしいが、それが高い順位であるというのには違和感があった。

シューゴさんに指摘されて、父とフォンさんもその違和感に気づいたようだ。

ただ、マツウソさんだけはそう思っていなかった。

とはいえ投票しているのはシューゴさんたちではないですからねえ。割と評価の高いエピソードなんでしょう。そう結果は物語っています

マツウソさんの所属する会社は、ヴァリオリのシーズン1時代からスポンサーだった。

そして彼はその重役であり、スタジオに大した要求をするわけでもなく制作者本位で作らせることを方針としている。

父たちにとっては、いわば上客といえる存在だ。

だが、それ故に現場に立つ人間感覚理解しきれていないところがあった。

シューゴさんたちの違和感が、個人価値観レベルの話だとしか認識していない。

作品公表された時点で作者の手元から離れるといいますしね。今回の結果も、そういうものじゃないでしょうか」

最もらしいことは言ってはいものの、その実は無理解からくる正論だ。

しかし、強く否定できるほどの確信がもてないのもあって、父たちはその日の会議粛々と終わらせた。


…………

「ん~、やっぱりおかしいよなあ」

翌日も、シューゴさんはランキングの結果を納得できずにいた。

「どこかの掲示板で、組織票を募っていたりしていないか。マスダさん、片手間でいいかネット調べといてくれねー?」

父はシューゴさんほど、この件に強い違和感は覚えていなかった。

だが、このままシューゴさんに引きずられても仕事に影響が出るかもしれない。

後顧の憂いを絶つため、父は調査を始めることにした。

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