2018-11-01

[] #64-4「ヴァリランキン」

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ヴァリオリ人気投票は、あえて面倒くさい手続き要求するシステムになっている。

1人につき1回のみで、アカウントとも紐づいているので連続投票は出来ない。

もしもそれを潜り抜けたとしても、まだ関門があった。

手続きの途中では、ヴァリオリに関する様々なクイズランダムで出題されるようになっているんだ。

それに正解しなければ投票することが出来ないってわけ。

クイズファンならば簡単だがニワカには分からない、絶妙難易度になっているらしい。

投票する人間をふるいにかけることができるし、自動化などで連続投票することも防げる。

まり、よほどの工作作業でもない限り、この人気投票の結果は誠実なものであるはずなんだ。

しかし、そんなことはシューゴさんだって分かっている。

十中八九杞憂だろうとも感じていた。

それを踏まえて、そう安心できる材料が欲しいってことなんだろう。



システム上、少数名による工作作業は難しい。

ならば可能性として考えられるのは、シューゴさんも言っていた通り組織票だ。

父は、人が多く集まりやすい有名なコミュニティサイトを一通り回ってみた。

しかし、第23話『こんな感じのスクロールありませんか?』について言及された、組織票を目論むようなやり取りは見つけられない。

というより「そもそもない」と結論づけるべきか。

父はそのことをシューゴさんに伝えた。

「うーん、腑に落ちないが、オレの気のせいってことなんだろうなあ」

どこか喉に引っかかりを覚えつつも、確信があるわけではない。

とどのつまり自分たちが思っているよりも評価されているエピソードってことなのだろう。

シューゴさんは、そう納得することにした。

「いや、ちょっと待ってください」

だがその時、今度はフォンさんが“ある違和感”に気づいた。

「むしろ変じゃないですか」

「『むしろ変』とは、どういうことです?」

「その23話は、各SNSであまり話題にあがっていなかったんですよね。なのに他のエピソード差しおいて、順位は5位ってことでしょ?」

フォンさんの指摘は核心をつき、そして確信へと近づいていく。

「……ああ、そうか!」

問題にしているもの順位である以上、その正否は相対的判断すべきだ。

それを考えると、他の高順位エピソードと比べて23話だけは明らかに自然だった。

その他のエピソードは、父の回ったコミュニティサイトでもよく話題にあがっている。

5位になるようなエピソードであるなら、これも話題になっているようなものでないとおかしいんだ。

「やはり“何か”あるな」

企画運営に連絡を取りますちゃんと調べてもらいましょう」

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