詩織「新たな愛を見つけるラブ発見型新感覚ラブリーラジオです」
愛海「これあの、結論はよくわからなかった、というお話なんですが、お話してもいいですか?」
詩織「まあ…… 聞くだけなら……」
愛海「この間、昼間にぶらぶらしてたら声をかけらたんです。
「アイドルの棟方愛海ちゃんですよね! 私ファンなんです!」って」
詩織「あなたねえ…… マスクつけたり帽子かぶったりメガネかけたりしなさいよ……」
愛海「一応お団子は解いてたし、帽子もかぶってたんですよ。それでも見つけられてしまいまして」
愛海「それがですね…… すんごい美人のお姉さんなんですよ。年頃は20代半ばぐらいですかね」
愛海「その説はしりませんけど、とにかくその人はまずその服装からして、なんかこう爽やかで綺麗な感じで」
愛海「肩があいてて露出度が多めで可愛い格好だったんです! しかもその肩の穴からこうチラチラっと何かが見え隠れするようなしないような」
愛海「うちの事務所で例えると楓さんとレナさんを足して割ったような」
詩織「それで何があったのよ…… ただ声かけられただけなの……?」
愛海「それがですね…… そのお姉さんがツーショットの写真を撮らせてほしいって言うんですね」
詩織「いいじゃないの…… SNS禁止ですよーとだけ言って撮ってあげなさいよ」
愛海「もちろん承諾しましたよ。ただ、その、誰かに撮ってもらうと騒ぎになっちゃうんで、お姉さんがあたしをこう抱えて、自撮りをすることになったんですね」
詩織「……あー」
愛海「もうお姉さんのお山があたしの背中に押しつぶされんばかりに当たってるんですよ」
詩織「いや、そんなのおかしいでしょ…… あなたそういうことがしたすぎて夢でもみてたんじゃないの? 暑いし……」
愛海「本当なんですって! ただ、さすがのあたしも嬉しいより先に怪しく思う気持ちが先立ってしまいまして」
詩織「そりゃそうよ」
詩織「ありそう」
愛海「そうでしょ! もうねそう思った瞬間、テレビであたしがだらしない顔でお山をうひひしている絵に、クラリスさんが「愛海ちゃんはお山を満喫しているようです」というナレーションをあててるのが、完全に想像できるじゃないですか!」
詩織「クラリスさんがナレーションはちょっとよくわからないけど、でもそういうテレビとかあるわよね……」
愛海「ただですね…… どこを見渡してもカメラとかないですよ」
愛海「その間も、お姉さんはずーーーっと、あたしにすごいスキンシップをとってくるんです」
愛海「もう本当にあたしもくらくらーってしてきたんですけど…… あっここから少し怖い話なんですけどね」
詩織「怖くなるの……?」
愛海「はい…… それが、そのお姉さん二の腕の内側にタトゥーが入ってるんですよ。しかもかなり細かいなんだかガチっぽいのが……」
詩織「あー、これは……」
愛海「その差別するわけじゃないですけど、あんまりドッキリのテレビでタトゥー入った人を仕掛け人にしないじゃないですか」
詩織「そうね…… そういうドッキリならともかく、そうじゃないのそうだと話がブレそうだもの」
愛海「それで、あっこれ週刊誌があたしのスクープを狙うために仕掛けたハニートラップだ! と思ったんです」
詩織「よくない…… これはよくない……」
愛海「そうでしょ! そう思うと、あたし怖くなってきて…… お姉さんにそろそろ次の予定があるからごめんなさい、と伝えて去ろうとしたら」
詩織「ら……?」
愛海「お姉さんが手帳にさらさらーって何かを書いて、一枚破ってあたしにくれたんです……」
愛海「多分LINEのIDなんでしょうね…… よかったら連絡ください! なんて言われちゃいまして……」
詩織「あなたね…… 特定のファンとプライベートで会うのが一番ダメなのよ」
愛海「いやそうじゃなくて! そもそもこれは、ドッキリテレビだったんですか? ハニートラップなんですか? それともあたしにガチ恋してるファンだったんですか? そこがもうはっきりしなさすぎるせいで、会うにも会えないんですよ!」