2018-03-20

出版業界はもう終わっている

これは出版業に隣接する場所で働く人間にはこう見ているという話だ。出版業は苦境に立たされている、新しい売り方を模索せねば、という声が聞こえてくるが、いや、苦境どころじゃなくてもう終わっているよなーと素直に思う。

編集者はいつ会っても疲弊している。ノルマに追われ、考える時間がない。著者を見つけ、本を作っても、宣伝費がないので売る方法がない。ノルマがあるので完成したらすぐ次の本に取り掛からなきゃいけない。同時並行でやっているので、一冊に力をかけることもできないし、完成したら販売に力を入れることもできない。結果、作ったらあとは放置。売れてくれたらラッキー。そのぐらいの気持ちでやっている。

宣伝費がかけられないので、少しでも売れる確率をあげたければ、すでにファンがいる人間にあたらなきゃいけなくなる。なので、ツイッターフォロワーが多い人間ブログが少しでもバズった人間に声をかける。だから、今はネットちょっとでもバズると、すぐに出版の声がかかる。今やネットで人気のある人が毎月のように本を出す。フォロワーに対して「なんと本を書きました!」と報告する。初版は6000部。編集者からは「普通もっと少ないんですけど、フォロワーが多いので増やしました」と言われている。「うちは新人印税は7%なんですよ……」と申し訳なさそうに言う。ツイッタラーは一生で初めての出版なので、舞い上がり、少ない報酬でも睡眠時間を削って書く。だから出版を報告するのは一世一代のことだし、売れてくれと願っている。だけど、出版社はそうじゃない。出版社は現実を知っていて、売れないことを見込んでいる。フォロワーたちが買って、万が一にもヒットしたらいいと考えている。

売れないことがもはや当たり前なので、本を出してそれが売れなくても、気にしない。というか、気にする余裕がない。次の本を完成させなきゃいけないのだ。売れないことで凹んだりはしない。だけど、著者は違う。報告ツイートは「いいね!」されたけど、レビューもそんなにつかず、ツイッター感想もあまりつぶやかれず、「これでほかの出版からも依頼があるかも」と期待していたけど何もなく、「あれ?」と思っているあいだに、ビックリするほど静かに時間が過ぎていく。そして、また別のツイッタラーが「本を出しました!」と報告する。

そこで出るツイッタラーの本も通り一遍ものだ。生い立ちを語り、私はこうやって成功しました、と成功談をつづる。ちょっとツイッターでバズったぐらいの人間が、ものすごい人生を送っているわけでもない。文章がすごいわけでもない。だから、どこかで見たありがちな内容になって、売れない。

本はビックリするほどたくさん出ていて、そしてビックリするほど売れない。

本屋に行けば、いつも同じ本が並んでいる。「自由に生きよう」「夢を諦めるな」「こうすれば上手くいく」同じような内容を著者を変え、毎日出している。どれかが万が一にもヒットしてくれたらいいと思いながら。

小説はどれも内容違うじゃないか、と言われるかもしれない。だけど、小説はもう本当に売れない。書くのに2年かかって部数は4000部。特に宣伝もされずに一部の書店に一週間ほど置かれてなくなっていく。そして、売れなかったことを理由次回作は出ない。

じゃあ、売れる本は何なのか、というと、偶然としか言えない。たまたまタイトルが時流に合っていた、たまたま表紙がキャッチーだった、たまたま部数が多く出て書店での露出が多かった──これらの偶然が重なって発売数日、書店での売れ行きがいい。すると、出版社は「おっ」と思い、「じゃあ新聞広告出すか」とここでやっと宣伝することを考え始める。宣伝するとそれなりに売れる。だから増刷をする。すると、書店で目につきやすくなるので、また売れる。その売上を見て、また広告を入れる。すると、また売れる。一度売れだすとこういう循環が回り出す。

じゃあ、最初から部数を多くして、宣伝をしていけばいいじゃないか、と思うかもしれない。だけど、そんなことは怖くてできない。すでに数字がないと営業宣伝を説得できない。

こんな構造ができあがっているので、いい本はできないし、著者の期待は裏切っていく。似たような本しかないので読者も離れていく。これはもう「構造改革」でなんとかなる話ではなく、すでに業界が瓦解していると思う。

  • anond:20180320080601

    業界消える時ってさ 寂しさや悲しさと一緒に 少しワクワクするんだよね 衝撃映像見る時のアレに近い 他では言わないけど

  • anond:20180320080601

    中身の良い本の話が全くなくてワロタ はてブブコメやブクマカなんかもそうだけど大体もうパターンが出尽くしてて目新しさがないんだよな 業界でダラダラい続けてる連中が代わり映え...

  • anond:20180320080601

    4000なら売って歩くほうが捌けそう むりなん?

  • anond:20180320080601

    そうだね。気の毒だけど仕方ない。 webで誰もが発言でき、コンテンツが溢れている現状はゲームでの(一般的に言われる)アタリショックの様相が近いかもしれない。 加えて、何か一つ...

  • anond:20180320080601

    ちょっとずつ売れたものを宣伝してさらに売れるサイクルなら 良いものが売れるサイクルになってんじゃん アホ?

  • anond:20180320080601

    森博嗣が少し前からまた公開ブログ始めたけど あれってネット書店の宣伝云々で講談社との連携なのはあまり知られてないよね 森博嗣が自分の本屋作って本売ってるんだよ 彼はそもそ...

    • anond:20180320151911

      聞いたことない「森博嗣」を4回も連呼してる。これがステ増田ってヤツだな。 森博嗣

      • anond:20180320152354

        そのままその森博嗣をクリックして増田たちの日記を見てみろよ

        • anond:20180320152836

          おまえしか書いてないだろ

          • anond:20180320153004

            んなわけないだろ 西尾維新とかが増田に書いてるかもな とりあえずwikiでも見れば。知恵袋でもないんで無知には構わないよ

            • anond:20180320153202

              妙に森博嗣を神格化してる信者っぽいのは同一増田だと思っている。

              • anond:20180320153326

                聞いたことも無いんじゃ無かったの?知ってるじゃーん

                • anond:20180320153428

                  早坂吝や井上真偽なら知ってるけど森博嗣なんて知らんなあ。 京極夏彦ってのはあれだろ、ラブライブの監督だろ。

              • anond:20180320153326

                たしかに増田に森ひろし信者いるけど 別にいいんじゃね ありふれたSFのアイデアの起源を森博司って主張していたときはクソバカだなーって思ったりするけど 森博司トリビアで読んでて...

        • anond:20180320152836

          見る価値も感じないんだなぁ みつを

  • anond:20180320080601

    雑誌とか新聞とか読み切りのものまで紙にするのまじで資源の無駄遣いだと思うからやめてくれ。

  • anond:20180320080601

    逆に考えるんだ、数千年の人類史上、出版業界で万単位の本が一定して売れる環境ができたのはやっとこの数十年。近代以前の識字率なんざたかが知れてた。 加えて、出版点数自体を増...

  • anond:20180320080601

    似たようなものしかないから売れない でも奇抜なものには怖くて投資できない これ名前ないの?

  • https://anond.hatelabo.jp/20180320080601

    この状況、出版社にも弊害めっちゃあるっていうか ある画家の画集が出版される際、 「印刷の都合で3000部刷るけど2000部捌けるかも分からん。だから画廊が1000部引き取ってくれ」 って...

    • anond:20180320202907

      ご想像の通り、今じゃ10刷行くかもねぐらい売れちゃって、 10部程度しか売れなかったってこと? 意味不明 俺の国語力低いから読解してくれ

  • anond:20180320080601

    散々殿様商売やったツケだよ。 出版者様なんて言って高給取りだった奴らの時代は終わった。 人の才能のカスリで飯食ってたんだから良いしっぺ返しだざまあみろ。

    • anond:20180320210855

      そのしっぺ返しが来てるのは出版社の社員じゃなくて、作家側なんですがそれは……。

    • anond:20180320210855

      出版は高給だって思ってる人多いけど 高給なのは3大出版社くらいだよ… 中小は確実にサラリーマン平均かそれ以下

      • anond:20180320223327

        裁量労働制で長時間労働だしな。

        • anond:20180320224200

          時給換算したら300円くらいで本当に笑った 経費落ちないし 打ち合わせで作家におごる飯も自腹なら 差し入れも自腹 勉強用の書籍も自腹

  • 結局のところ 小林よしのり本のような 本物だけが 売れ続ける

                                    anond:20180320080601

  • anond:20180320080601

    でも他の業界よりよっぽど金回りのいい勝ち組でしょ。給料も含めて。

  • anond:20180320080601

    売れる本はたまたまじゃないだろ。何言ってんの? この時代だからこういう風にすれば売れるはず、とかこの時こうだったから少し今風にしてこういうの出す、とか、目利きで流行を作...

  • anond:20180320080601

    ところどころ数字がもっともらしいので、本当に隣接業界にはいるっぽいですが、全体としてはちょっとずれてるかな。 客観的に把握するには、出版科学研究所の年鑑とかで統計にあた...

  • anond:20180320080601

    大手三社の編集者と何回かプライベートで飲んだことあるけど、あの人たち普通に会社の経費で飲み代落としてんのな。あとタクシー代も。完全プライベートなのに。 普通の上場企業と...

  • anond:20180320080601

    ゲーム業界に近いものを感じる

    • anond:20180321094151

      スマホゲー業界は景気いいのでは コンシューマ業界は先細りだけど開発費高騰で新規参入しにくいし

  • 資本が必要ってことでしょ

    みんなで寄り集まって、会議してもネガティブの事実を超えられない 売れなかったらどうする?でも仕事はしなけれりゃならない 業界的に終わってるとしたら、別の業界の資本をいれる...

  • https://anond.hatelabo.jp/20180320080601

    終わってない構造の出版社を起業して欲しいぞ

  • anond:20180322222255

    まさにこれ https://anond.hatelabo.jp/20180320080601

  • anond:20180320080601

    新聞の押し紙と同じく、需要以上に作って返品を繰り返す無謀な構造が正しく壊れているだけ 日本人も減っていくし、可処分時間の中でSNSや動画に時間を取られ続けていくから 短編の書...

  • anond:20180320080601

    ナヌッ∑(・ω・; )

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    • anond:20180721095053

      毎回毎回ブクマが伸びるまでしつこく再投稿お疲れ様でーす

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