2016-12-08

[] H26民訴コメント

第1

2.

判例理解ちょっとおかしい?かも?(と思ったら感想に書いてあった。すまん)

45年判決を俺なりに要約すると以下になります

(1) 表見法理は、代理行為によって財産流通が始まった後に、後から代理権が無かったとして取引無効とされると、財産流通によって増えた資本がパァになってしまうのが困るために設けられた規定である(いわゆる取引安全)。

(2) 他方、訴訟場合代理人による訴訟行為によって財産流通することはないので、後から無権代理を主張されても増加資本がパァになって困るという事態が生じない。だから表見法理を適用する必要はない。

これを前提として、本件の和解を見ると、これによって損害賠償債権債務が発生していて、財産貨幣)の流通が始まっている。これが後から無効とされると増加資本がパァになってしまう。これは困るので、訴訟上の和解場合に限っては表見法理を認めてもいいのでは?というのが問題意識だったと思う。

3.

「多くの訴訟行為が積み重ねられるとはいえず」とあってその通りなんだけど、和解には訴訟終了効(267条)があって、それ以上訴訟行為が積み重なりようがないってことを書けるといいと思う。

第2

いいと思う。和田曰くこの問題は出題ミスらしいっす。

第3

2.

コメントにもあるけど三段論法にするともっと良かった。

マニアックな話>

この問題、実は聞きたかったのは既判力の縮小でもなければ、117条でもなく、一時金賠償判決の既判力の問題だったと思います(出題趣旨にもその旨がちらっと書いてある)。

一時金賠償ってのは、交通事故とかにあったときに、将来の逸失利益とかを諸々計算に織り込んで3000万円とか賠償させる、あれです。

これ将来発生する損害を賠償させているのに、現在給付の訴えです。なんで将来給付の訴えじゃないか分かりますか。民709条の「損害」の解釈として、将来発生する損害も不法行為時に発生するという解釈民法で採っているからです。

まり判決の1年後に判明した後遺症だろうがなんだろうが、全部不法行為時に生じたことにしちゃうということです。

しかしこういう無理な解釈によるとやっぱり問題がいろいろ出てきまして。本件のような後遺症損害の問題の他に、例えば事故後あと30年は生きるだろうと思ってその分の逸失利益賠償を命じたら、その1年後に自殺してしまいました、みたいなときにどうすんの?みたいな問題が出てきました。

倉田という裁判官がこの問題を何とか解決したいと思ってたくさん論文を書いた結果、定期金賠償という仕組みが作られました。要は一気に3000万円を払うのではなく、分割払いにするということです。

けれども定期金賠償にしても、支払方法を分割払いにしただけなので、既判力の内容は変わりません。なので問題全然解決しませんでした。ここは倉田判事理解に間違いがあって、こうなってしまいました。

そこで登場したのが117条です。既判力を解除して損害額を調整することを認めてやろうというわけです。

ただ、この問題ってほんとは上で書いた民709条のムチャクチャ解釈から始まっているわけで、そこを放置したまま117条を作ったために、理論的にはかなりヤバい制度になっています。なので立法もびびって定期金賠償しか適用を認めませんでした。

けれど、定期金賠償ってそんなに使われていなくて、やっぱり実務では一時金賠償が主流です。じゃあこの117条って一時金賠償にも使えないの?ってのが今回の設問3の問題意識だったと思います

これをストレートに聞けばいいのに、無理に和解の話と既判力の縮小に絡めたせいで、訳わかんなくなってますしか類推適用するなとか意味不明)。

この流れを理解していると、117条の趣旨とか、何でそれが本件和解妥当するのか、とかが分かりやすく(書きやすく)なると思います

どうでもいい話ですいません。

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