2016-08-14

一橋ゲイ自殺で、同性に告白された過去を思い出した。

もう随分昔のことになる。大学時代、同性の「友達だと思っていた相手」に告白された。以下その彼を「A」と呼ぶことにする。Aと俺はサークルの同期で、まあ普通に仲が良かった。サークル仲間複数で遊びに行くことも、Aと二人でメシを食ったり映画を見たりすることもあった。俺にとってAは数ある男友達の一人で、特別感情は全くなかったし、向こうにそう思われていることも全く気付いていなかった。

ある日、唐突にAに呼び出されて、「好きだ」と言われた。その時自分は何故か冷静だった。淡々と「自分同性愛者じゃないし、その気持ちに答えることはできない」と言った。Aも「わかった」と言い、その場は普通に別れて家に帰った。

帰りの電車の中で、さっき起きたことを思い出していたら、なんだか「嫌悪感」としか言いようがない感情が湧きあがってきた。そういえばAはあのときあんなことをした、こんなことを言っていた。あれもこれも全部、俺に対する性的関心が裏にあったのか?なんだか裏切られたような気持ちがあった。

家に帰ってから、当時付き合っていた彼女電話して、告白された話をした(彼女はAと接点がなく、Aのことは知らなかった)。彼女は「裏切られたような気持ちはわかる」と言った。彼女自身、全くそういう対象として見ていなかった先輩(彼女持ち)にいきなりキスを迫られて、ひどく傷ついたことがあったと言う。でもその男と比べたら、手を出してくる前にちゃんと告白したAはまともだ、今後も普通に友達として付き合えるんじゃない?と。そうかもしれない、とその時は思った。

その後しばらくの間は、俺もAも何事もなかったかのように過ごしていた。サークルメンバーも、そんなことがあったとは誰も気付いていなかったと思う。しか告白から何週間か経った頃、ある事件が起きた。

サークルイベントで皆で出かけることになり、「○○駅前で待ち合わせて行こう」となった(まだ誰も携帯電話を持ってない時代である)。するとその前日の夜に、Aから電話がかかってきた。Aは「明日二人で直接会場に行こう」と言うのだ。俺は「いや、皆で行こうって待ち合わせてるじゃん」と言った。するとAは、

「いいじゃん〜、二人で行こうよ〜」

と、甘えるような声で言ったのだ。この時の「虫唾が走った」感覚をはっきり覚えている。俺はお前に、「そういう関係」には決してならないとはっきり言ったではないか。なのにお前は俺を性的に消費しようとするのか。俺の気持ちも都合も御構い無しか。ふざけるな。「いやだ」と強い口調で言って電話を叩き切った。

それ以降、俺はAと距離をとった。ほとんど「無視」していたに近い(向こうからしかけられた時は、必要最低限の返答はしていたけど)。するとAは、サークルに出てこなくなった。他の友達に聞くと、なんか大学にも来ていないらしい。Aは結局、その年の単位が取れず、留年した。

次の四月、大学に戻ってきたAは、俺以外のサークルメンバーカムアウトを始めた。そしてその時、「僕が実はゲイなんだ。去年増田告白したんだけどフラれちゃった」と言っていたらしいのだ。俺はとても悔しかった。あいつは、自分留年が俺のせいだとほのめかしてるのか?俺は告白されたことを、サークル内の誰にも言っていなかった。なのに、なんであいつは自分カムアウトに勝手に俺を絡めているのだ?

俺はそのままサークル引退し、Aともそれ以来全く会っていない。この経験記憶の中に沈んでいたけど、最近一橋ゲイ自殺関連ニュースで、ものすごくありありと思い出した。怖いのは、ひとつ間違ったら俺は「加害者」とされていたんだろうなあ、ということだ。Aには留年という実害があって、その「原因」は結局のところ俺にある。俺はサークル内でアウティングはしなかったけど、それはどちらかというと偶然みたいなもので、もしあの時期にサークルメンバーに「最近Aと何かあったの?」とでも聞かれていたら、たぶん喋ってしまっていたと思う。今回のアウティング舞台になったグループLINEだって、当時はなかったわけだし。

俺は一橋大事件で告白された/アウティングした側の「Z」の話を聞いてみたいと思う。例のグループLINE上の文面を見ても、Zが面白半分でバラしているようには思えない。彼には彼の深刻な思いがあったのではないか。いずれにしても、現時点で手に入る情報だけに基づいて、Zが一方的悪者であるかのように語ることはできないし、すべきではないと思う。

  • おまえらみたいなのには話し合いが足りていない 放置と言う手段を選んだんだからそれで出た結果にぐだぐだ言い訳するな

  • 増田の感じた「怒り」みたいな気持ちは、とてもよくわかる。 別に同性愛がどうという問題ではないよ。はっきり言って、その「A」の態度は失礼極まりない。 告白した、断られた…そ...

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