2015-03-31

オランジーナって

ここまで市民権を得るために相当な苦労があったんだ。

あの企画を持ち込んだのは直前にもヒット商品誕生させたチームで、炭酸飲料市民権再起が期待される一大企画だったんだ。

あの頃コンビニドリンクから炭酸飲料がどんどんと消えていったろ?

健康食ブームは当然ドリンクコーナーの品揃えにも強く影響していたんだ。

炭酸飲料市民権獲得、それはつまりこれから炭酸飲料市場を牛耳ることとイコールとも考えられていたんだ。

炭酸飲料ジャンクイメージを払拭するためには中途半端戦略では絶対に成し得ないと皆が感じていた。

そうして選んだ手段は、全く新しいブランドを生み出すのではなく、海外ですでに成功しているブランドを高いライセンス料を払ってでも持ち込もうというもので、そうしてこのプロジェクトはまさに炭酸飲料未来に社運をかける一大プロジェクトへと拡大していったんだ。

そのために多額のプロモーション費用をかけてメディア戦略を展開し、セールス開始と同時にすでに流行しているというイメージを植え付けようとしたんだ。

日テレビではCMが流れ、様々なタイアップキャンペーン実施コンビニに高めのロイヤリティを設定することで店頭では常に目立つ位置をキープすることができた。

この頃は、まさにオランジーナを目にしない日なんてなかったんだ。

しかし発売当時は5%から8%への消費増税が叫ばれるまっただ中。

高いライセンス料をそのまま価格に反映させることは難しかった。

そうして選んだ手段は、内容量を減らしつつもボトルデザインを変えることでそうした印象を与えなくする一方で、同時に高級路線に向けたの商品訴求への舵取りだった。

ここまで徹底した商品戦略によって、商品のヒットは間違いなしと思われていた。

ところがだ、問題は肝心の味にあった。

日本オレンジジュースといえば、なっちゃんやぽんジュースを始めとする濃厚なみかん味が主流だったんだ。

熟したみかんのように酸味が少なく甘さが際立ったような味が好まれる中で、さわやかさを押し出そうとするあまりオランジーナは薄く味気がないような、それでいて苦味ばかりが目立つできそこないの味のように感じられてしまった。

一番のセールスポイントであるオレンジリキュールを思わせるような独特な香り日本では芳香剤イメージとして根強かったことも災いしてしまったんだ。

一度は手に取られるもののなかなかリピートが伸びず、連日の畳み掛けるようなプロモーションに反して業績は日々低下していく一方だった。

高いライセンス料と大量の販売ノルマに挟まれサントリーに残された選択肢は一つ。

値下げによる多売しか道は残されていなかったんだ。

販売店舗へのロイヤリティはそのままに卸価格を大幅に下げることで店頭でのプロモーションには一層の拍車がかかった。

販売価格も下げられたことで消費者も手が伸ばしやすくなり、そうして今やっと、当初描いていた市場への浸透率を実現することができたんだ。

商品品質には適切な価格設定がある。」

まりにも当然過ぎることを一同が再認識する重要きっかけとなったオランジーナ騒動は、こうして静かに幕を閉じるかに見えた。

しかし、現実はそんなに甘くなかった。

大きく風穴を開けたオランジーナ損失を早急に埋め合わせる必要に迫られていたんだ。

ライセンスもとと幾度なく協議を重ね、新たなオリジナル商品が産声を上げることになった。

そうして再び満を持して登場したのが「レモンジーナ」というわけだが、市場ではもっぱら「カブトムシ味」との評判が高い。

サントリーは再び試練を迎えようとしているわけだ。

ちなみにここまで全て店頭に並ぶオランジーナ境遇の変遷から勝手想像した裏付け一切なしの個人的妄想です。

わたしは飲料関係でも小売関係でもない単なるコンビニ利用客であり、企業商品に対する損害を目的にしているつもりも一切ありません。

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