2015-01-14

世界と相対することから逃げられない時代

http://anond.hatelabo.jp/20070521144122記事を書いてから7年が経った。

個対群のネットワークは何をもたらしたのか考察してみたが、つまらない結論に達してしまった。順を追って説明しよう。

まず全ての前提として、個対群のネットワーク、というのは、まだマイナーであるということが観測される。正確に言うならば、個対群のネットワークの個の側に立っている人間はまだ少数である

どういうことなのか?

世界意識した発信者は少数である、ということだ。blogTwitterなど、世界に向けて情報を発信するツールは多々あれど、世界意識してそれを使っているユーザはまだ少数で、多くのユーザ自分が知っている人の範囲に伝えるためだけに、もしくは世界も知人も意識せずゆるく言いたいことをいうためにしかそれらを利用していない。別にそれが悪いという話ではない。

少し整理しよう。まずはネットワークの分類から

1.個対個

必ずしも1対1を意味するものではない。お互いに面識のある人間だけで構成されたネットワークはこれに分類される。互いが互いを個人として認識しているからだ。

2.群対群

一番簡単な例は民族の対立など。他の民族の個人を憎んでいるわけではないのに、その民族であるというだけで憎しみの対象になったりする。

3.個対群

例えば、芸能人対そのファンなど。群の方は個を知っているのに、個の方は群の中の個人を知っているわけではない状態の時、このネットワーク構成される。

ニコニコ動画界隈やYouTubeでのパフォーマンスなど、個対群のネットワークの個の側に立つためのコストは非常に安くなったことが観察される。

しかしそうして個の側に立つにはどうしても能力の高さが求められるし、まだまだROM専の方が多いだろう。

それにこれらがもたらした世界は、新しく見えて実はそうでもなかったりする。『能力の高い個』だけが個の側に立てる、という点において、インターネット以前の個対群の関係がそのまま持ち込まれただけと言うことが出来る。

これが私の言うつまらない結論だ。

個の側に立つためのコストが非常に安くなったことに意味がないとは言わないし、そのために新しく現れた世界もあるだろう。しかしこの文章ではそれを論じない。他の方に任せよう。

私は、『誰しも』が個の側に立つ可能性を考えてみた。

今までの個対群の関係は個はいつまでも個であるし、群は群のままであった。だが、インターネットの個対群の関係として今までの個対群の関係と決定的に違うのは、誰しもが個であり同時に群の構成員でもある、ということだ。

しかし、インターネットが広く公開されてから20年では、まだその認識ユーザ一人一人に行き渡るには時間が足りていない。

そのため、個対個の中で収めておくべき話が全世界に公開され炎上したり、群の中の一人のつもりで言った放言祭り上げられやっぱり炎上したりする。

炎上というのは意図せずに他人に注目されてしまうことである、ということに注意をおきたい。

さて、炎上などという話ばかりではなく、もうちょっと別の目線でも話したい。

それは、群の側のつもりでいても関係性を持った個の側に非常に捕捉されやすくなったということだ。個対群のコミュニケーションのつもりでいたのに、個対個のコミュニケーションへと移行することが簡単になった。同時にそれは、個対群のネットワークのうち個の側に立たされてしまう、ということを意味する。

これは、前回7年前に記事を書いたときには見られなかった現象である

この2点で重要なのは能力の高低から個の側に立つ人間が決まるのではなく、他者に注目されるか否かで個の側に立つ人間が決まる、と言うことである

そして、一度個の側に立たされた以上、それ以降の発言世界意識せざるを得ない。

人が個であることを拒否して群の中の一人でい続けることのできる世界は、インターネット世界にはもうない。

やはり、全ての人が個対群の個の側であることが当たり前である世界があと何十年か何百年か後には訪れるのだ。

もしも個の側に立つのかどうかが個人の能力にのみによって決まるのであったら、個対群の関係は今まで通り、個の側は個、群の側は群と動くことはなく世界は変わらなかっただろう。

そして、一度群に認識された個が簡単に群に戻れるなら、やはり世界は変わらなかったはずだ。しかし、そうではない。

ユーザ一人一人が世界意識したネットワーク、それは個人同士が争い合う世界なのか、宥和し合う世界なのか。

個人的には、宥和し合う世界へ向かうのではと感じている。世界意識した発言をする際、世界と争うつもりで発言できるほど強い人は滅多にいないだろう。

それよりは、他者に対する思いやりと慎みを持つよう心がける人の方が多いのではないか?そんな予想である

世界と争うつもりで発言できる人は、その能力によって従来通りの個体群の関係性に落としこまれるだろう。

最後に、この内容で匿名ダイアリー投稿してしまう私の弱さを笑っていただきたい。

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