2020-07-30

とある二次創作界隈で文字書きを潰した話

とある二次創作ジャンルの、氷山の一角に私はいました。

どこにでもあるような、同人界隈でのトラブルお話です。

すでに、所謂流行り」であったそのジャンル毎日目まぐるしくイラスト漫画小説などの作品ウェブ上にアップされ、コロナ関係イベント自粛などがありながらもそれなりに盛り上がりを見せていました。

ある時、一つの小説が世にアップロードされました。その作品はそこそこ有名な絵師宣伝され、ブックマーク数を700ほどまで伸ばし、作者のフォロワー数も500近くまでのぼりました。

文字書きでフォロワー500というと、そのジャンルではまあそれなりに有名というような立ち位置で、現に私はその作品で作者を知ることになります

作品自体、とても素晴らしいものでした。原作時代背景やキャラクターの心情などを豊かに描いた、本当に素晴らしい作品でした。

それを受けて、今度はある有名絵師が、その小説漫画をつけたいと申し出ました(これはおそらくDMなどでやり取りされており、公にはなっていません)。

そして小説の作者はそれを了承し、申し出からどれほどか分かりませんがそう遠くないうちに漫画が公開されました。

有名絵師フォロワーは1万人を超えていました。瞬く間に漫画拡散され、ツリー掲載されていた小説も同じように人の目に再度触れることとなり、700ほどだったブックマーク数は数日で1300までのぼりつめました。

まり小説への宣伝効果で言えば、これ以上ないほどの成功だったと言えます

しかし、有名絵師にとって、また、のちの小説作者にとっても、タイミングが非常に悪かったのです。

小説の作者は、この小説の再録本を作る予定を控えていました。漫画公開の二日前に、表紙ができたとツイートしていたので、ああ出すんだなと思ったのを私も覚えています

そして小説の作者は、漫画が公開されたその日に「本の通販が始まりました」とツイートしました。

漫画が出たタイミングだったので、私はその有名絵師が表紙を描くのだとか挿絵をつけるのだとか、まあ何かしらに関わっているのだろうと漠然と思っていました。

しかし表紙にキャラクターイラストはなく、おそらく有名絵師は絡んでいないのだと理解するまでそう時間はかかりませんでした。

描いていないならいないで、別に構わなかったのです。迷っているうちに在庫はなくなり、なんとなく惜しいような諦めのつくような、そんな気持ちで日々の忙しさに戻って行きました。

一か月ほど経過したある日、有名絵師が気になるツイートしました。

宣伝に使われたようで不快だ」

自分には全く話がなかった」

簡潔に書くとこの二点です。

有名絵師のこともフォローしていて、イラスト漫画を逐一確認するくらいにはファンだった私には、最近活動を振り返っても宣伝になりうる要素と言うとあの小説のことしか思い浮かびませんでした。

日付を確認しても、やはり漫画の公開と小説通販開始日は一致しています

そして何より、漫画ツイートした有名絵師の呟きがしっかりと削除されていました。

なんの関係もない、第三者の私が勝手に焦るほどでした。

有名絵師アカウントに鍵をかけ、ツイートを削除したのち解放しました。

「今後描くなら相互だけにする」というツイートを残して。(現在は削除されています)

それから暫くしても、小説の作者はそのツイートに気づいた様子がありませんでした。日常的なツイートをするばかりで、もちろん当事者で話をするなりしていればいいと思いましたが、何せ絵師漫画を消していますから遅かれ早かれ読者は気づきます

そして勝手ヤキモキしているうちに、他の読者が匿名ツールを使って小説の作者に凸しました。

内容は公開されていないので細かいことは分かりませんが、作者のツイートを見て「あのことだろうな」ということは察することが出来ました。

匿名ツールでどんな風に送ったのか、私には分かりません。

けれど、当該ツイート(不快だ、話がなかったetc.)は消えている状況で、確認のしようがないこと。絵師に「不快でしたか?」と聞けるわけがないこと。自分宣伝のために同じ日に通販を開始したわけではないと証明するのが不可能であること。

それらの要素を踏まえ、「痛いところを突いてきた」「笑ってしまった」と作者はツイートし、端的に言えば「誹謗中傷の類い」のメッセージだと捉えたようでした。

どうにも、納得がいきませんでした。

絵師は、事実がどうあれ不快だと感じていました。

小説の作者には本当にそんな意図がなく、また「小説を本にします」だなんて言えばそれこそ「買ってください」というようで言いにくかった、という心情があったかもしれません。

相手は有名絵師です。時間の隙間に読んだ小説の出来が良く、漫画を描いてみたいと思ったけれどお金を出すほど好きかなんて分かりませんから、私が小説を書いた本人なら「本を作ります」とはわざわざお知らせしないと思います

からこそ、小説の作者にも思うところはあったと思うのですが、絵師不快だと思った、その証拠がないからと言ってメッセージ批判だと受け流し、あまつさえ嗤うなんてことには到底納得ができませんでした。

私は作者に、ツイートの内容に心当たりがあること、有名絵師ツイート自身も見たこと、今は消されていることを匿名ツールで送りました。信じられないのであればと、絵師が描いた小説を題材にした漫画が消されていることも付け加えて、送信しました。

それから間もなく、小説の作者はその前のメッセージを笑った、という呟きを削除し、そのうちにウェブ上に上げていた全ての小説も削除しました。

私以外にも、それが事実だと送った人がいたかもしれないけれど、間違いなく私は一人の文字書きを潰したひとりです。

絵師小説の作者は、漫画作成にあたり何度も経過を確認し、やり取りをしたそうです。そのやり取りの中で絵師小説の作者に何かモヤモヤしたものを感じていて、今回のことで爆発したのかもしれないし、なにもなかったけれど何か逆鱗に触れてしまったのかもしれません。

小説の作者は、作品を全て削除した後で「もう自分の手から作品を手放さない(誰かに手を加えさせない?)」「馬鹿げている(勝手勘違いをされたことに対して?)」とツイートしていたので、全てを明かす気はないようだし、絵師と今後関わる気もないのだろうと解釈しました。

今回、私の心情としましては絵師の味方寄りでした。絵師不快だと言っていた情報を受け止めずに批判だと笑ってしまうところや、事実が判明したあともまるで批判を受けたために筆を折ったような遠回しな言い方しかせず、現にフォロワー心配するばかりで事の顛末を知らないまま今に至るからです。

知らせる必要はないかもしれませんが、あまりに保身的だと思いました。

人は、人の何気ない行動を不快に思い、傷つき、潰れます

自分以外は信じないというのが、一番の解決策かもしれませんね。

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