2023-12-11

anond:20231211182541

自由殺人」っていう小説はそんなのだったな

ある大富豪の男が、それまでの人生わずかながらも関わりがあった者たちにプレゼントを送る

それは大きなスーツケースで、中には爆弾が詰め込まれており、設定時刻になるのを待つか、ロックを解除すれば爆発する

確か12個ぐらいあって、クリスマスのある時間から1時間に1つ爆発するよう設定されている

威力は、小型ビル程度なら跡形もなく吹き飛ばせるほどのもの

受け取ったある主婦は、説明書きを見ても気味の悪いイタズラとしか思えずゴミに出す

庶民ゴミ捨て場に不釣り合いな真新しく高価そうなそのスーツケースに興味を持った弱者男性ホームレスは、4桁のロックを0000から順に試した結果、爆死

そこで主婦警察に駆け込みはじめて爆弾存在世間に発覚

他にもスーツケースを持参して警察にくる者も

しかし困ったことに、警察の把握できた爆弾の数が12個には足りない

報道爆弾が本物だと知った上で、届けを出さずに所持したままのものが何人もいるということになる

爆弾を贈られた者たちはそれぞれ、「爆弾を使って自殺しよう」とか「人が多く来る場所に仕込んでやろう」とか「嫌いな奴のいる場所に仕込んでやろう」と企んでいた

ある弱者男性は、レストランバイトをする中年で、バイト若い女に恋をしていたが、その女はバイト若い男と交際を始めてしまった

爆弾を受け取った弱者男性レストラン爆弾を仕込み、爆発の様子を見届けてやろうとレストランの向かいにあるコンビニ立ち読みするふりして待機

しかし彼が思っていたよりも爆発の威力は凄まじく、コンビニガラスが熱風によって柔らかく変形し迫ってくる姿がスローモーションのように見えたのを最後光景にして弱者男性も死亡した

また別の弱者男性は、世間では爆弾騒ぎがやべえけど俺は引きこもりから関係ねーわwもっと死ねwとマンションゴロゴロしていた

実はそのマンションの住人である男子中学生爆弾を受け取っていた

本来なら思春期一過性で終わるはずの反抗心を家族に抱いていた中学生は、爆弾を自室に追いたまま外出

設定されていた時刻を迎え、爆弾中学生家族弱者男性マンションにいた全員を餌食にした

また別の弱者男性は、なんとか結婚はできたもの家庭内ではATM扱いで妻子に蔑視冷遇されていた

物心ついた頃からからも嫌われ親にもあまり愛されず、幼児の頃に保育士に優しくされた記憶まで遡らなければ温かな記憶はなかった

弱者男性爆弾を受け取っており、爆発の時刻は遅く設定されていた

他の者の爆発が世間を騒がせている中で、弱者男性はこの爆弾をどうするべきか悩み続けた

常に抱いていたうっすらとした希死念慮のまま、爆弾で死のうかと次第に決意を固めていった

無人公園で、弱者男性爆弾を抱きかかえたまま、保育士のことを脳裏に浮かべ、他の誰も巻き添えにせずに孤独に死亡した

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