肯定派というかEuro 7規制の中身をしっかり読んだ連中にとっては耳タコな話だが、Euro 7規制で事実上推進されるのは知られているようにEVやFCVを含んだいわゆるゼロエミッション車である。
例えば独自動車メーカーとして有名なフォルクスワーゲンは水素自動車技術を鋭意開発中であることは2022年の報道から明らかとなっており、プジョーやフィアットを傘下とする仏伊共同自動車メーカーのステランティスは2021年にFCVを販売開始さえしており、日産自動車と関係のあった仏自動車メーカーのルノーもまたFCVの市販化を発表している。
当たり前の話だが、我々は日本人なので日本語の情報を最も早く機敏に反応できるためトヨタの全方位戦略の内容を事細かに知る事が出来る。しかしこれが外国語となるとそうも行かず、自分で調べることが苦手な質であればEV一本化を目指していたはずの欧州勢がまさか全方位戦略を取っているなんて気付かないのではないだろうか?
当然ながらEVの寵児たるテスラやBYDはFCVへ参入していないので次世代のエコカーの話題でテスラやBYDは取り上げられやすくFCVは話題に上がりにくくなるので、これがもしかしたらトヨタ全包囲戦略否定派が生まれる遠因の1つかも知れない。
何故ここに来てFCVが注目されるのか?それは液体燃料の取扱いに関するノウハウとインフラを抜本的な変更をなしに運用できるからだ。
EVはその性質上、送電容量に関してEVの急速充電に耐えうる送電網の再構築という重大な問題を抱えているが、FCVはそもそも輸送する道路があり、燃料タンクを設置する敷地は既にガスステーションという形で存在しておりタンクと一部の設備を更新するだけで済むのだ。
しかも給油速度と同時進行車両数は従来のガソリン・軽油並みであり、航続距離もEVよりも優れているという点から時間対効果の視点から主に法人に向いているとされ、物凄く当たり前な話だがガソリン・軽油の車両での使用量は法人が最も消費しており、法人消費と比較すると個人消費など物凄く少ない。
車両原動機エネルギーインフラ業界の主な顧客は何処の世界でも法人や企業・商店・事業者であり、どう考えてもEVではその需要に答えられないことが判ってしまっている。だからこそ欧州勢もEV一本化にしたかったが泣く泣く折れてFCV参入を決めてしまった。