はてなで囲碁の話題が出ると一定数「将棋のほうがわかりやすい」というコメントがあるんだけど、囲碁将棋両方やってた自分にはその感覚が全く理解できなくて、そろそろそれが無視できなくなってきたので一回ぶちまけたい。
「将棋の方がわかりやすい」派の皆様におかれましては、もしも可能であれば、時間的・精神的リソースの許す範囲内で以下の論点に反論いただきたい。
囲碁の場合、黒の石が多くある場所は大方の場合、黒が優勢とみていい地点である。
基本的に陣取りゲームで、囲った場所が勝利点となるので、ルールを知らなくとも見た目にたいへんわかりやすいのではないか。
一方将棋について、「王様に迫っている方が攻めているんだなとすぐわかる」という意見を見たことがある。
これは残念ながら頷けない。中級者以上同士の競り合いであれば、中終盤は大抵、お互いがお互いの王を攻めている。特に将棋の上手い人は「手数を計算して相手の攻めより一手早く攻めを間に合わせる」みたいなのが基本なので、そういう叩き合いの状態になると今どちらが攻めているか、どちらが優勢かといった局面を読み切るのは経験がない人には難しい。名人戦とかの終盤の局面、理解できない人の方が多いのではないだろうか?
それに対して囲碁はタイトル戦であってもイラストのように局面を眺めることができ、何が起きているかはわからなくとも大まかな戦況は比較的わかりやすかったりする。
囲碁のルールは少ない。互いに石を置く。囲ったら取れる。囲った場所が陣地。細かいのを除けばだいたいこれだけだ。
こういうと将棋の方が互いに一手動かすだけでシンプルだと言う人もいる。
しかし、それは駒の動きが頭に入っていればの話だ。将棋には駒が八種類あり、さらに成駒もある。それら駒の動きと成りの総体、そして初期配置も含めたものが、将棋のルールとなる。
囲碁に駒は一種類しかない。石という一つのオブジェクトに全てのルールが込められている。これにより、将棋と比較してルール総体が極めてシンプルとなっている。
上に述べた「だいたいのルール」から逸脱する処理は、取られる石は置けない(着手禁止点)、千日手、コウ、セキ、それに敢えてコミ(先手ハンデの6.5点)を入れても5つくらいだろう。
対して将棋では、動けない駒の禁止、千日手、二歩、打ち歩詰め、入玉計算、ステイルメイトが挙げられる。まあステイルメイトはさすがに抜きにしても、例外処理の数としては同じになるし、中身も将棋のほうがいかにも例外処理チックという感じがする(個人的見解)。
囲碁にも将棋にも定石(定跡)というものがあるが、囲碁のそれは将棋に比べて覚えるべき数は少なく、手順も長くないものが多い。
対して将棋は、矢倉に相掛かりに角換わり、四間飛車三間飛車中飛車、それぞれの中でも速攻だの持久戦だの腰掛け銀だの藤井システムだの丸山ワクチンだの無数の定跡があり、自分が型を絞って戦ったとしても相手の振る舞いでそれぞれ違う定跡に分岐せねばならない。
手筋とかは、囲碁にしろ将棋にしろちゃんと覚えないといけないが、こと序盤においてはそういう意味で囲碁のほうが遥かに覚えることは少なく、シンプルであると思う。
将棋のほうがわかりやすいとする意見を読んで思うのは、将棋のほうは駒の動きや全体の流れなどある程度知っている人間、囲碁のほうはルールや全体の流れも含めて全く知らない人間を前提に、意見を組み立てているのではないか?ということ。
自分は囲碁も将棋も全く知らなかった小学生の頃、初めてその二つにセットで出会って、将棋の方は駒の動きが覚えられず苦手だったが囲碁はすんなり入っていけた。
その点LoLはゴールドが多い方が有利と定量化されてるからわかりやすいやでという話
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