2021-02-25

キサマ等の居る場所は既に上野千鶴子が30年前に通過した場所だッッッ

https://anond.hatelabo.jp/20210201211448

一枚の切り取り画像をみなで寄ってたかって論評していて、誰も引用元の本を読んでいないようなので、前後を引いてみよう。

古市 上野さんは、社会学者であると同時にジェンダー研究者でもありますが、その2つの間で葛藤はないんですか。

上野 ない。どうして葛藤があると思うの?

古市 社会学者というのは、それが社会科学である以上、中立的物事を見るっていう視点必要だと思うんです。一方でジェンダー研究者としての上野さんは、「社会はこうなるべきだ」という社会運動家の意識も入っているんじゃないですか。

上野 いね、キミは。社会科学者って中立的なの?

古市 でも、経験的な現実にもとづいて何かを研究結果として導き出すわけじゃないですか。そういう行為と、ある方向に社会誘導する行為は衝突しないんですか。

上野 正しい戦略を立てるには、自分が戦うべき対象を正確に理解しないと間違ったことをやるのよ。おまけに効率も悪くなる。

 私はね、『家父長制と資本制』という本を書いた時に、それがつくづくわかりました。家父長制も資本制も、私が嫌いな二つの敵。それを分析したら、どこが弱点なのかがはっきり理解できた。

古市 じゃあ、初めにもう戦うべき相手があるわけですね。

上野 当たり前ですよ。だって、問いが立つというのは、そういうことだから問いに公平も中立もありません。

社会学者科学・公平・中立)とジェンダー研究者社会運動家・嫌い・誘導)は、上野の中では相反も矛盾もしておらず、葛藤はないのである。それは社会学の定義に起因するものだろう。

上野 そもそも社会学というものは、自己言及的な学問。つまり自分の言説そのもの現実の一部を構成していくという言説活動ですから、そこは戦略的に考えますよ。これはどういうことかというと、社会を外部から客観的」に観察することはできない、なぜなら誰しも社会の一員であり、社会の内側から見える範囲を照らしていくことしかできない。しかも照らすことによって、社会自体が変わってしまうこともある、というものです。

 だから社会学的に何かを調査分析する、ということは、社会に対し自分が超然として観察者の立場に立つのではなく(そんなことはできない)、自分社会の一員であり、自分がどうやって社会を見ているのか、ということを自問自答しながら進んでいくものなのです。

 この自問自答から全力で逃走しているのが、「社会学」をヒステリックに叩く人々の実態なのではと私は考えています。なぜ逃げるのかといえば、自分はこう思う、と表明すると、時に間違えることもあるかもしれないし、バカにされたりもするかもしれません。そういったリスクから逃げているのです。

 「社会学」叩きをする人々は、やたら人の意見表明を「お気持ち」と、まるで無意味であるかのように攻撃します。それは、実は碌な意見もない自身空虚を糊塗するために、人を攻撃しているのです。それが誤りであることを指摘した学問こそ、フェミニズムでした。「個人的なことは政治的なこと」という。

 だからそういった人々は、「客観的」とか「科学的」といった概念に逃げ込みます個人的なことは問題ではない、客観的科学的でなければならないのだ! ですが、社会科学人文学では、先の図のように、「客観的」というのは成り立たないのです。自分が何者であるかを問い直し続けないといけません。

社会学という学問についての前提が違うから議論が成り立っていないように思える。

引用元古市憲寿『古市くん、社科学を学び直しなさい!!』(2016) pp.73-74 p.76

記事への反応 -
  • 最近の社会学バッシングにおいて「査読がないこと」に並んで使われがちな「社会学者の上野千鶴子が『自分に不利なエビデンスはもちろん隠す。それを悪いと思ったことはありません...

    • https://anond.hatelabo.jp/20210201211448 一枚の切り取り画像をみなで寄ってたかって論評していて、誰も引用元の本を読んでいないようなので、前後を引いてみよう。 古市 上野さんは、社会...

    • 今の社会学叩きは社会運動だから不利なデータを隠すんだよ、もちろん。

    • 🙅「...ポチっ!アンタまたそんなキチャナイの拾ってきて!ナイナイしてきなさいっ!」 ココデスンナヤー

    • いや、上野は研究者なのにパフォーマンスレベルで不利なデータ出さなかったら 研究者がエビデンス隠してるだけじゃん 「今は活動家だからセーフ」という言い訳が通ったら 任意の研...

      • 不利なデータを示して社会運動が成功するといいですね

        • 反論になってないんだが 社会運動家としての評価と研究者としての評価は別なんだから 前者のロジックで後者としての振る舞いを正当化することはできないでしょ

          • 上野氏は前者と後者の振る舞いを厳格に区別してて、批判側はそれらを混同してるからナンセンスな批判になっているという趣旨の記事に研究者と社会活動家としての振る舞いを混同し...

            • 個人の中で同時に区別できないことを 区別してるって言い張ってるだけだから 意味不明ですよねって言ってるんだが

              • 戦術として、つまり啓蒙の手段として本人の中で区別されているというのは書いてあるとおりで、フェミニズムに限らずあらゆる社会運動は目的のために同様の戦術を利用しているわけ...

                • 本人の中で区別するんじゃなくて 研究者と活動家が別れればいいだけだろ あるいは研究者をやめてから活動家になるでもいい 研究者倫理を批判されたら今は活動家ですが許されたら あ...

                  • 言論の発表媒体で区別すればいいじゃん。

                  • 研究者倫理と活動家としての振る舞いを厳格に区別してるのに 社会運動の目的のために弱点を示さないこと=研究者倫理に悖る になるわけないだろ そもそも上野氏が研究したマルクス主...

                    • 「私は厳格に区別してます」と宣言することは厳格に区別できてるとは言いません

                      • 言葉以外でどつやってそれを示すんだよ 研究者は活動家になってはならないなんて法律でも作るのか?

                      • 研究者以外の目に触れるようなところで発言してるときは全部活動家として発言してると思ってればいいよ。

                • 誤認スレスレの行為をしないと成功しない社会運動なんかやめてしまえ 二枚舌とばれた時点で、大勢の賛同者が運動に共感できなくなって離れていくリスクを考えろ

          • でも、本質的に人間にとっては同じだよね

      • 弁護士兼裁判官みたいなものだね 裁判官としては重要なはずの証拠も弁護士の立場で不利だと思ったら隠さなきゃいけないんだろうな

    • 最近、刑事映画ってやらんのか? 逮捕されたときに黙秘権の説明は受けるだろ あなたは自分に不利な証言を拒否する権利があります。 そうさするのは警察の仕事であり 被告人はそれに...

      • 自分に不利な証拠は隠して良いんだよ なんのために他の学者とかがいるとおもってんだ。 他のやつが、この嘘つきめって証拠を出す それが社会常識

    • このロジックを採用すれば 原子力学者が原発推進のために事故の可能性隠すのも 経済学者が緊縮財政維持のためにデメリット隠すのも 歴史学者が政治運動のために事実を隠すのも 全部...

      • 理屈ではそうなんだけど、社会学者やそのお仲間に理屈は通用しないからね。 彼ら、森友とか隠してるの出せって、政権にずっと言ってるし(政権は社会学者のようにしてるだけなのに...

    • ほらほらこんなの見つけてきたよ!燃やそう燃やそう!をすごく感じるのに無駄に着飾った文章なのがヤダ

    • 民衆はバカだから細かいことまで考える必要無し 我々インテリに従えばよいと言ってるようにしか見えないな

    • 社会運動のためとか言ってるけど自分の目的のために事実を語らないなら詐欺師以外の何なのかね? そちらの方が興味があるよ

    • この増田も 「だから戦略的には動きますよ。私は経験科学の研究者だから嘘はつかないけど本当のことも言わないことがある」を隠してる。この部分を直接取り上げたらその後の正当化...

    • 全然ダメ。一般人が研究者の言葉に耳を傾けるのは研究にもとづく理論的背景があるのだろうと信頼しているからなので。 その説得力の根拠が、博士号であり、大学などの研究機関に所...

      • というか、彼らの言うことを信じてない自分たちはいいんだけど、 彼らの言うことを信じてしまった人たちが怒らないのはなんでかっていう。 もし自分が信じてた学者が「嘘ついてたよ...

        • 自分に都合がよければ、という悪意の自覚があればまだマシで、 公正で健全な社会をつくるためには少々の嘘、詭弁、不誠実さはゆるされる、と正義感で本心から信じているからタチが...

    • あながち間違っているとは言えないけども、えらい大学のえらい先生が賛同・推進している社会運動だからという箔付けとしてその人が扱われているのなら許容されがたい擁護だろう。 ...

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