2020-09-03

猫が急逝して、明日でちょうど一週間経つ。

年始めに入院し、危篤状態我が家に帰ってきた猫(獣医に「このままだとここで息を引き取ることになります。連れて帰りますか?」と訊かれた為連れ帰った)

死に水ではないが、母がミルクを飲ませようとすると健気にペロペロしたと聞き、大急ぎで違う病院へ連れて行った。

ミルクを飲む力があるのなら助かるのではないか?とセカンドオピニオンした(以前通っていた病院だが)

その病院で一週間ほど入院し、なんとか帰宅することが出来た。

ぐったりはしているものの、彼が家に居てくれるだけで幸せだった。

最初毎日。次第に3日おき、一週間おき。最近では二週間おきで病院に通った。

獣医に「にゃあ!」と挨拶し、注射に「いてー!」と反抗する元気が出てきて安心していた。

寒い時期に入院退院し、体が冷えない様に気を使っていたが、

日差しが強くなり気温が上がる頃には自力で家の中の快適な所へ勝手に出向いてドテンと転がっていることもしばしばだった。

母は睡眠時間を削って、よく世話をしてくれた。

うちには3匹猫が居るが、一番下の猫もとても心配して様子を見てくれていた。

容態が安定してから定期検査は2ヶ月に一回になっていた。次は9月の予定だった。

私は毎月検査して欲しいと思っていたが、獣医がそう言うなら良いかとも思った。

しかし先月末、突然療法食を食べなくなった。

猫缶は食べていたが、買っておいた腎臓病用のリキッドを飲ませてみようとした(飲まなかった)

おしっこは出ていたがぐったりし始めた為、慌てて病院へ。

検査すると内蔵全体が悪くなっていた。肺にも白い影がかかっていた。

各種数値は非常に悪い。

獣医は出来るだけのことをすると言い、入院になった。

帰る時、猫の様子を見るといつも通りゴロゴロと喉を鳴らしていた。

がんばるんだよ。と声を掛け、後ろ髪を引かれる思いで帰宅

どきどきしながら一晩過ごし、翌日仕事前に見舞いに行った。

その時、母の顔を見てニャー!と一声鳴いた。

もうゴロゴロは言えず、苦しそうに胸を上下させていた。

こんなに苦しそうなのに、頑張れなどと声をかけることも出来ない。

そう思ったけれども、なんとか生き抜いて家に帰ってきて欲しいと願わずはいられなかった。

また長く入院して苦しめることになるのかなあと思いながら。

仕事に行き、夕方の休憩時間スマホを見ると母から着信が入っていた。

力が抜ける思いでLINEを開くと「息を引き取りました」とあった。

ぼんやりしながら仕事をこなし帰宅すると、氷に囲まれて冷え切って固くなった彼が横たわっていた。

冷たくて固いけど、見た目は寝ている様にしか見えない。

腹を撫でると毛並みがさざめいて息をしている様だ。

抱え上げると、病院に連れて行った時よりも重みを感じた。

入院する2日ほど前の夜、私の部屋にドタドタと駆け込んできて何やら沢山鳴いていた。

否、ここ半月程やたら鳴いて甘えていた。

「具合悪い!」と訴えていたのかもしれない。

具合が悪いから、いっぱいよしよししてくれと言っていたのかもしれない。

それなのに、あの日私は「うんうん。どうした?」と顔を覗き込んで頭を撫でるだけだった。

なんで膝に上げてやらなかったんだろう。

元々人の膝で寝るのが大好きな猫だった。

老いて体が難儀なせいか、その体勢が辛い様であまり上がらなくなっていた。

こちらも気を使って抱え上げたりすることがなくなっていた。

あの温かく柔らかい重みをこの手に抱える最後のチャンスを捨ててしまったのが悔やまれてならない。

彼は本当に人間が大好きな猫だった。

そして何故か私の手を舐めまくるのが好きだった。

ひとしきり舐めさせて手を引っ込めようとすると、爪を出して押し止めるくらい。

美味しかったのだろうか?

自分の子猫だとでも思っていたのだろうか?

他の人間の手を舐めることはなかったので、何かしら意味があったのだろう。

最後に手を舐められたのはいつだったかなあ。

遺骸になった猫を撫で付けながらそんなことを思い出すと涙が止まらなかった。

このまま家の庭に埋葬するのはなんだかとても嫌だった。

部屋に寝かせている姿は以前のままだったから。

その存在を全て土の下に埋めてしまうのがとても躊躇われた。

何か残しておきたい。そう思って、火葬業者を頼むことにした。

家まで来て貰い、家族みんなでお弔いをした。

炉に横たえた彼はやっぱり生前のままだった。

ツヤツヤの白い毛並みの大きな体は、2時間ほどで白い骨になった。

しっかりとした骨を桐の小箱に詰めていく。

股関節が悪くてドタドタ歩いてたけど、骨は立派なままだった。

最後にちっちゃな頭蓋骨を私が拾って収めた。

容態急変から葬儀まであっという間の出来事だった。

でも不思議と落ち着いている。

酷いペットロスになるのではないかと思っていたが、何故か一区切りついた様な感覚だ。

亡くなった猫について人と話したり、こうして文章にしたりするとやっぱり涙が止まらないけれども。

前回倒れて奇跡的に回復し、この半年強という時間を与えられ、みんなで見守り続けて出来るだけのことをしたという感覚があるからだろうか。

思い返せば悔やまれることもあるけれども。

病院に居たせいで、家族の誰も看取ってやることが出来なかったのも辛いけれども。

それでも、最期は長く苦しまずに逝けたから…。

今月7日で18歳になる筈だった彼。

しかっただろうに、7ヶ月以上も頑張って生きてくれた。

とても愛しく、大切な子だよ。

これまで傍に居てくれて本当にありがとう

  • 新型コロナウイルスはネコの間で感染伝播する https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00004.html 他の猫を守るためだ。 飼い主としてよんどけ。あまりいいふらすなよ。お前だけに教え...

  • うちの猫もそのうち死ぬんだろうけど、可愛い寝顔みてると不死身の化け物であってほしいと思う

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