中学で同じ部活だったっていうのもあってまあまあ親しかった。同じ高校に入ることになって超ラッキー!と思ったのもつかの間、2人とも帰宅部になるわクラスは違うわで接点がゼロになり、話すこともまれになった。
すると思春期特有(?)の拗れた自意識みたいなのが絡んできてがぜんコミュニケーションが取れなくなってくる。視界に入るだけで心臓が良くも悪くもバクバクし、話しかけるなんて夢のまた夢みたいな感じになった。
同じ中学だから最寄駅も同じ、田舎だから電車は2両、帰宅部だから帰るタイミングはおおむね同じ。となると普通に帰ると結構高い確率で近接することになる。もともとは交流があったんだから完全に無視するのは人間として異常だ。でも俺的に彼女はもはや気安く話しかけられる対象ではなくなってしまっている。
どうするか?
授業が終わるなり早歩きで学校を出て、駅まで走るようになった。まあ体力ないから走るつっても休み休みなんだが、それでも電車を一本ぶんくらい早くすることは可能だった。時刻表をみて、普通に帰ったらこれだというのを確認して、その一本前に乗れるように走る。
今思うとマジで何やってんだ、バカか?という感じがするんだが、まあ拗らせた非モテの考えることはよくわからない。
どうでもいいけどひとつ思い出がある。冬のある日、いつものように走って帰ってる途中、ちょうど休憩として歩いてるところで通行人のオバちゃんに話しかけられた。「今日は寒いねえ」俺はわりと走ってきたところだったので身体が暖まっていて全然寒くなかった。「そ…そうですね」イヤ寒くないっスなんて答えるのもヘンだと思ったから話を合わせたが、つかなくていいウソをついている、なんで今その話を振ってくるんだ、間が悪すぎる、いや別にいいんだけど…と世間話にしてはたくさんのことを考えさせられた。クソみたいなエピソードだな。
偶然他校に行ったほかの吹奏楽部の同期なんかと出くわしたときは、駅でしばらく立ち話をすることが多かった。そうすると俺も彼女も同じ駅を通るんでほぼ確実にふたりとも輪に加わることになる。そうすると昔に戻ったみたいに(というか気まずくなったっていうのが俺の妄想だったんだと思うが)普通に話せる。ある時は俺が言ったくだらないダジャレに彼女がすごい反応してツッコミとしてベシベシ叩いてきて、「実は俺のこと好きなのでは?!」と思った。ある時は制服の体育服の話になって、俺が「ウチの高校の体育ズボンすげえブカブカなんだけど女子のやつはあんまりそう見えない、なんでだろう」というようなことを言ったら彼女が「そもそも男女でデザイン違うよ」つってスカートをたくし上げて下に履いた体育ズボンを見せてきて、周りにたしなめられていた。
仲べつに悪くなってなかったんだろうな。そうでもねえのかな。ああ……
でも青春時代の淡い思い出性が高くていいと思う。というかヘタに彼女とよく話す関係になってたらうっかり告白なんかして本格的に気まずくなってたんじゃないかと思う。走ってまで避けてたからこそ俺は暴走せずにすみ、致命的なふるまいに出ないで済んだのかもしれない。
これが、ブクマだけつくタイプの増田か