この文章は、「本気でゼロからのコミックマーケット入門」からの抜粋です。
-----------------------------------
この本が対象としている読者は、
2:知り合いのオタクから「コミケ行ってみようぜ」と誘われた、オタ未満のパンピー
(3:上記に「コミケって何?」と聞かれた、擦れきったクソヲタ)
です。
1,2の人に向けて:
コミックマーケットに行ってみよう、と思い立ってまずググってみると、コミックマーケット準備会のホームページか、wikipediaに行きつくのではないでしょうか。ところが、どちらをとってみても「本当の初心者」向けの情報は限られていて、本当に知りたい情報は限られているのが実情です。
・どれだけお金用意すればよい?
・動画で見たあの長い列に並んでみたい
なんでその辺の解説が少ないからというと、「来るやつは分かって来ているのだから問題ない」と考えている人が多いから、というのがだいたいの答えです。あと、コミックマーケットのカタログにも書かれてるから、という場合もあるでしょう。
でも、あの電話帳のような(電話帳って知ってる? JRの窓口に置かれてるデカい時刻表でもいいけど)カタログから、知りたい情報を探すのはそれだけで骨が折れるし、ちょっと見に行くだけなのにアレ買わないといけないのかとか、考えるとうんざりするというのも分かります。
そういう声のために、この本を作りました。コミケを一度体験してみたいという人の役に立てるように、細かいところまで説明しています。
とりあえず買い物のことは脇に置いて、行って、見て、体験してみてください。何か一冊、気になった本を買ってみるのもよいでしょう。そんな中で、「次も行ってみたい!」と思える何かが見つかれば、それに越したことはありません。
3のヲタに向けて:
いわゆる「一般参加の作法」については、サークル参加のそれに比して、体系的に下の世代へ伝えるという視点が欠けているように思えます。
どこかしら面白おかしく語りたいというエンタメ気質からか、ゆがんだ、とまでは言わずとも『正しいけども違う』という説明がネット上では多く見受けられ、全く知らない人がちゃんと理解できるのか、誤解を招いていないだろうかと不安になる場面もあります。
上の1,2の人に対して、茶化したり裏話だったり個人の(特殊な)体験だったりに逃げたりせず、「コミケって何?」から始まる根掘り葉掘りを、真正面からちゃんと説明できるでしょうか?巷にあふれるコミケの動画をみて、「行ってみたい」と友人や恋人にお願いされたとき、嫌な思いをさせずにその一日を過ごさせることができるでしょうか?
本書は可能な限り平易な説明と豊富な注釈で、超初心者が不安になりがちな個所をなくすようにし、「一般参加としてコミケに来て、一通り見て回って帰る」までをサポートします。たとえば移動手段であったり、食事であったり、買い物であったり、あまり説明されない個所を重点的に記述します。逆に、歴史的経緯や過去のトラブル事例、エピソードの類などは軽く触れるだけになるでしょう。その辺は、自分で調べたり、あるいは体験すればよいものです。
最初の1回を平穏無事に過ごさせること。それが本書の目的です。「ガチ勢に育成する」「兵隊として教育する」は本書のサポートの範囲を超えます。そういうのはご自身でお願いします。