余震も収まってきたしそろそろ動き出さなければ、ということで、事務所のテナントの耐震診断をしてもらうために不動産屋に電話をかけてみたがまだつながらなかった。HPを見たら営業再開のめどが立てられないとのこと。人や車の往来が多い立地で築年数も結構経っている建物なので、地方議員をしているという家主に直接連絡を取ることにした。
連絡先の控えが取り出せる状態ではなかったのでFBで探し出し、メッセンジャーで連絡をした。
丸一日経ってもメッセージは開封されず、今はいろいろな連絡が殺到しているだろうし、かつFB上で友達ではないので受信箱も仕分けがされていてそもそも気づいていないかもしれない、とも思い、自宅の電話番号が公開されていたので、申し訳ないとは思ったがそちらに電話をかけた。
「不動産屋が営業再開のめどが立たないとのことで、申し訳ないとは思ったがやむを得ずこちらに連絡した。
もっと緊急度が高いところが一段落してからでもちろんいいので、順番を待っている」
ということをていねいに伝えたはずなのだが、それに対して返ってきた的外れな返答が、本当に不快だった。
「あの建物は丈夫に作っているので、すぐに倒壊する危険はないとわたしは思いますよ」
→おまえの私見を聞いているのではない。今後のために専門家に見てほしいということを言っている。
「いいですか、優先順位というものがあるんですよ。おわかりですか?」
→最初に言ったでしょ。この状況を経験してわからないとでも思ってんの?
「窓が開かなくなったと言いますが、開いたまま閉まらないよりはずっといいでしょう」
→窓が開かないこと自体に困っているのではなく、建物に歪みが発生したのでそれを調べてくれとさっきから言っている。
いちいち言い返すのもめんどくさいし不毛だし、だいたい頭が回らなくて言葉が出てこなくて、終わるまで黙って聞いていようと思ったが、窓のくだりでもう耐えられなくなって話をさえぎり
「確認ですが、借主から家主への、調査をしてくださいという依頼のお電話です」
「はい、その依頼のお電話です、順番が来てからでいいですからね。診断をお願いします」
という調子で、なんとか「診断する」という言葉を引き出せたので、そこで電話を切った。
一晩明けた今も腹立たしい気持ちが消えない。
なにしろ議員さんのところにはいろいろ頭おかしい電話もかかってくるのかもしれないし職業柄どうしても会話の調子が説教臭くなるのかもしれないが、それにしても、現状認識のレベルの低さというか頭の悪さというか、はなから「何もわかっちゃいない」という調子で一方的に誰でもわかってることをあたかも自分だけがわかってるかのような調子でとうとうと語り続けるそいつの語り口に、ああこんな馬鹿が議員をやっているうちの地方ってもうダメやん、という暗澹とした気持ちになったし、被災者がお互いに共有している「大変なのはみな同じ、お互いに譲り合って、協力しあって乗り切ろう」という気概にものすごい傷をつけられたような気持ちになった。
といった、東京から来たテレビの連中並のことしか書かれてなくて、当事者意識がまるで感じられない。
もしかしたら、見えないところでいろいろ駆け回ってるのかもしれないけどさ。
それならあんな言い方にならないはずなんだよね。
頭が回らなくて言い返すこともできなかったというのがますます腹立たしい。
こっちはいまだに毎晩車中泊なんだよ。自宅も損壊してんだよ。そっちもいつ見てもらえるかわかんない状況なんだよ。
風呂入るのに、移動時間と待ち時間と合わせて4時間かかんだよ。
足りないものは分け合って、励ましあってやってんだよ。
馬鹿にするな。
どんだけ毎日頑張ってると思ってんだ。どんだけ我慢してると思ってんだ。
何もわかっちゃいないのはお前のほうだよ。