もうあの議員のニュースは見飽きている聞き飽きているだろうし、議員辞職がおおよそのグランドフィナーレだろう。
まだ続報の醜聞を期待している悪趣味な連中もいるにはいるだろうが、このゴシップが鮮度を保てるのも長くて今月いっぱいに違いない。
だから俺は今さら彼の人間としてのモラルを論じるつもりはない。不倫は許されない、最低のモラルだ、そんなことはわかってる。
俺がいいたいのは、妻の妊娠中に不倫する人間が男性の育休取得を主張することが、いつの間にか社会的な死に直結する国になっている、
憤り嗤って制裁を下すことが当たり前になっている。これはすごい恐ろしいことなんじゃないか、ってことなんだ。
俺よりもっとうまく表現できるやつは百万といるんだろうし、同じことは何度も言い尽くされているんだろうが、まあもう少し続けさせてくれ。
一連の報道やSNSの投稿を見ていると、よってたかって罵倒し嗤い批判し、彼を許せない奴が多すぎてすごく怖いんだ。
彼は何回か当選経験もあるみたいだから政治家として全く役立たずだったわけじゃないだろう。(俺も知らんが)
でも不倫騒動が出ると、彼の人間性そのものが簡単に否定される。自分は否定していい、否定できると思っているやつが山ほど出てくるんだ。
誰だって後ろめたいことの一つや二つはあるだろう。しかし、典型的な惡に対してはこの国ではだれもが正義の審判を下せる聖人になれる。
コメンテーターだって週刊誌の記者だって悪平等の世間でなんとか自尊心を保ちたい凡人の癖にだ。気持ち悪くないか?
不倫議員を社会的に殺してそれで終わりじゃないぞ。これからもそういうやつはどんどん出てくる。ずっと続けるのか?
恐らく彼が政治家として復活できる可能性は限りなくゼロに近いだろう。だから彼の政治家としての国民に対する最期の言葉は会見の言葉になるだろう。
今回の会見は彼自身の社会的な自殺だったし、彼もその覚悟だったはずだ。会見の途中、彼は子供のことは最後に触れるとしていた。これはその最後の一文だ。
「わが子の顔を見て、最初に喜びと同時に罪悪感を感じました。
子どもは親を選べない。
その直後に子どもは保育器に入りました。なので私は、その日に子どもを抱けなかったのですが翌日、翌日、病院に戻り夜中に子どもを抱いた瞬間に、
子どもは親を選べないけれど、親は子どものために変わらなければならないと思いました。
子どものために私は、生まれ変わって、もう二度と、これから同じ過ちは絶対に繰り返してはならないのだと、父として、父として…、出直していきたいと思います。
いつか、もうこの時計の針は巻き戻せませんので、いつか本当に残酷な話ですが、私の子どもは今回のことを知ることになるでしょう。
そう考えたら胸が張り裂けそうになります。でも、これは私のまいた種であり、身から出た錆であると思っています。
だから、子どもを始めて腕に抱いたときから、決心をした気持ちを忘れることなく、務めを果たしていきたいと思います。
私はこれ以上、責任のとり方は私のない知恵では思い浮かびません。
どうか妻の体調もあります、子どものプライバシー・将来のこともあるので、私の辞職に免じてご容赦いただけますように、ご配慮いただけますようにお願いいたします。
最後になりますが、この度、日本中の、また世界中の皆様に対して多大なるご迷惑をおかけしたことに対しそして妻と子どもに対し、心から深く深くお詫びを申し上げます。
本当に申し訳ございませんでした。」
もういいじゃないか 許してやってくれ 頼むから彼に彼の家族を守らせてやってくれ
妻の妊娠中に不倫する人間が男性の育休取得を主張すると殺される国、仮面をかぶって聖人なフリをし続けないといけない国なんてうんざりなんだ。