2013-11-12

期待インフレ率が高まれば強制的に引き締めが起きるって論理がまったく分からん

https://twitter.com/makotosaito_v3/status/278295239465254914

専門家として)社会必要インフレ目標ゼロ金利離陸後に導入すべき。ゼロ金利時導入では、期待インフレ名目金利の上昇で滞留日銀券を日銀が回収せざるをえず、大規模売りオペか準預高利付与で資金捻出(厳しい引き締め政策)する必要が生じるから

https://twitter.com/makotosaito0724/status/400035025648775168

金融調節で政策金利を誘導する状況と、貨幣市場の需給均衡で市場金利が決まる状況は、経済理論ではかなり前から厳密に区別されている。日本金融論の教科書がその区別無頓着だっただけ。ナンチャラ論争も無頓着の表れ。『金融技術の考え方・使い方』『NLAS マクロ経済学』では区別している。

インフレ期待が上昇すればタンス預金をしてたら勿体無いのでタンから日銀券が掘り起こされて、一部は消費に回され、一部は銀行に行くってのは分かる。

消費に回った分はその支払を受けたお店が、インフレ期待が高くなればお金のままでは持っていたくないのでやはり使うか銀行に持っていくだろうというのも分かる。

そして、消費者やお店から日銀券を持ってこられた銀行インフレ期待が高くなった状態では目減りする日銀券のままで持っていたくないので、最終的には国債投資しようとするだろう。

しかし、市場にある国債の量は銀行国債を欲しくなったからといって増えたりはしないので(他の銀行だって日銀券よりは国債を持っていたいのは同じ)、

銀行日銀券を日銀に返す代わりに、日銀の保有する市場に出ていない国債を貰おうとする、ここまでは分かる。

ここからが二重に分からない。

一つ目は、仮に日銀が、銀行から持ち込まれた日銀券と日銀が持っている国債とを交換したとして、確かに売りオペが起きていることになるがこれは引き締め効果を持つのか?という点。

銀行タンス預金から蘇って持ち込まれた日銀券を国債と交換しているが、これによってどこかの企業にしていた融資を回収にまわったり、あるいは予定していた融資を減らしたりする必要はない。

まり経済活動に直接的なネガティブな影響は起きていない。

また、銀行による国債への需要増に応じた分だけ日銀国債市場供給するに留まるので、国債価格低下(金利上昇)ともならない(なる必然性がない)。

インフレ期待の上昇にともなう国債価格低下(金利上昇)は起きるだろう。垂直な市場への国債供給曲線に対して需要曲線が左シフトする。それはタンス預金やそれの日銀による回収とは関係なく起きることである。)

まり金利を通じたネガティブな影響も必然ではない。

上記の話は、日本銀行バランスシートが縮小することを嫌って準備預金の付与金利を引き上げて対処した場合も基本的に同じである銀行融資を減らしたりすることはない。

二つ目は、そもそも日銀は、銀行から持ち込まれた日銀券と日銀が持っている国債とを交換する義務があるのか?という点。

日銀銀行から国債を売ってくれと言われた場合に、果たしてそれに応じる義務はあるだろうか。無期限の負債であるというのが、日銀券の大きな特徴なはずだ。

確かに市場価格は大切だ。日銀市場価格乖離した高い値段で国債を購入することには問題がある。利益供与行為だ。しかし、日銀市場価格を提示されたからといってそれで国債を売らなければならない義務はないはずだ。

日銀銀行券を引き受けてくれないとなれば(日銀券と国債の交換に応じてくれないとすれば)、銀行インフレ期待が高くなった状態では目減りする現金を持っていたくないので、何らかの形で使うしかなくなる。

そして、それを受け取った人も同じくそほとんどを使うしかなくなり、そしてまたそれを・・・と続くことになる。いわゆるホットポテト効果である

最終的には経済活動が活発となってそれによりGDPが増え、取引需要が増えて必要とされる日銀券の量が増え、タンス預金から蘇ってきた日銀券が普通に需要されるところまで経済規模が拡大することになる。

このようなケースでは、厳しい引き締め政策となるどころか、タンス預金存在は非常に景気刺激的なものとなる。

確かに、この二つ目のケースは危険をはらむ。タンス預金から蘇ってきた日銀券が普通に人々や企業に持たれるほど取引需要が増えるまでGDPが上昇する前に、供給力が限界になるパターンが考えられるからだ。

この場合インフレが昂進するだろう。しかし、これは経済が活況過ぎるということなので引き締め策が求められることになること自体には何ら問題はない。

問題があるとすれば、インフレ期待の上昇にともなう国債価格低下が大きくて、売りオペを十分にするだけの見合いがないという点になるだろうが、

これは滞留日銀券を日銀が回収するための大規模売りオペが厳しい引き締め政策になってしまうという議論とは明らかに異なる。引き締めが出来ないという問題だからだ。

しかも、滞留日銀券にともなうその問題を抑えるだけなら、銀行融資抑制したりしない日銀券と国債の交換という一つ目のパターンを重視するだけでいい。

うーん、期待インフレ率が高まれば滞留日銀券の日銀還流強制的に引き締めが起きるから、利下げでその影響を相殺できないゼロ金利時には期待インフレ率を高めるな、って論理はまったく分からん

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